ヤマハが満を持して提供するスイッチ「SWX2200」試用レポート

ヤマハルータのユーザーなら「使えばその良さがわかる」、21日からモニターキャンペーンも


 ヤマハがレイヤ2スイッチ市場に参入し、「SWX2200シリーズ」を販売開始した。対応ルータと連携することで、ポート監視や帯域制御、VLANといった設定機能を持つスイッチ製品だ。8ポートモデルの「SWX2200-8G」と24ポートモデルの「SWX2200-24G」からなる。想定価格はSWX2200-8Gが2万円前後、SWX2200-24Gが6万円前後と、設定機能を持つスイッチとしては低価格だ。

SWX2200-8GSWX2200-24G

 ヤマハは、ルータ市場ではブランドを確立しているが、スイッチ市場では後発となる。そこで、特徴として、同社のルータであるRTX1200から管理する機能が打ち出された。「スイッチをルータから管理」というと抽象的だが、つまり「ネットワーク全体をルータから管理する」機能といっていい。言葉ではピンとこないかもしれないが、実際に試してみると、意味と便利さは一目瞭然(りょうぜん)だ。

 その様子を実例で紹介してみたい。

 

ルータを設定していたと思っていたら、ネットワークを設定していた

筆者宅に設置したところ。上から、RTX1200、SWX2200-8G(2台)、SWX2200-24G

 ここでは、RTX1200のLAN1ポートにSWX2200-24Gをつなぎ、さらにその下にSWX2200-8Gを2台つないだ。

 企業向けルータはコンソールのコマンドラインから操作するイメージが強いが、RTX1200では出荷状態からWebブラウザのGUIで設定できるようになっている。そこで、SWX2200-8GにPCを接続し、WebブラウザでRTX1200のGUI管理画面にアクセスしてみよう。

 RTX1200のファームウェアを最新版にアップデートすれば、管理者向けトップページの左端のメニューに「スイッチ制御」の項目が追加されているはずだ。ここをクリックすると、スイッチ制御のメイン画面が表示される。デフォルトではスイッチの制御がオフになっているので、まずは「使用する」に変更しておこう。

管理者向けトップページ。最新ファームウェアでは左端に「スイッチ制御」の項目が追加されている。ここをクリックスイッチ制御の画面。デフォルトでは制御がオフになっている。「設定」をクリック
「LAN1」のスイッチ制御を「使用する」に変更するスイッチ制御の画面に戻ると、LAN1に「実行」ボタンが追加されている

 準備ができたので、早速スイッチを制御してみよう。スイッチ制御のメイン画面で「実行」ボタンをクリックすると、新しいウインドウが開いて、自動的にネットワーク構成がアイコンと線で図になって表示される。ここには常にそのときのネットワーク構成が表示される。例えば、ケーブルを抜いて、スイッチひとつを接続から外すと、ほぼリアルタイムに画面が更新され、最新のネットワーク構成が反映される。

スイッチの管理画面には、ネットワーク構成が図で表示されるスイッチとスイッチの間のケーブルを抜くと、ほぼリアルタイムに画面が変更される

 この画面でマウスカーソルをSWX2200のアイコンの上に持っていくと、その機体の概要や状態などの情報がポップアップで表示される。また、SWX2200のアイコンをクリックすると、ポートの並んだ図に変わる。実際に接続されているポートは、1000BASE-Tであれば青で、100BASE-TXであれば緑の色で示される。

 ここでさらにポートの上にマウスカーソルを持っていくと、各ポートの概要や状態がポップアップで表示される。また、ポートをダブルクリックすると、そのポートの設定ダイアログが表示される。このダイアログから、ポートの接続・切断を切り替えたり、速度やQoSなどを設定したりできる。スイッチの機能が、GUIでネットワーク構成を見ながら簡単に設定できるわけだ。

SWX2200のアイコンにマウスカーソルを合わせると、概要や状態が表示されるSWX2200のアイコンをクリックすると、ポートの並んだ図に変わる
ポートにマウスカーソルを合わせると、そのポートの概要や状態が表示されるポートをダブルクリックすると、設定ダイアログが表示される。ここから、ポートの接続・切断や速度、QoSなどを設定できる

 スイッチのポートを切断するシチュエーションとしては、ウイルス感染やハードウェアの不具合などで異常なパケットを送信しているPCを、強制的に切り離す場合が考えられる。そのときのために、特定のPCがどのスイッチに接続されているのかを探す検索機能も用意されている。

 ネットワーク構成の画面で「ホストを検索する」をクリックすると、ルータが持っているDHCPクライアント情報の一覧と、ルータが持っているDHCPクライアント情報とARPテーブルエントリの一覧が、ダイアログで表示される。ここで、検索ボックスにホスト名やIPアドレスを入力して検索を実行すると、ネットワーク構成図の中で、そのPCが接続されているスイッチが赤い線で囲まれて表示される。あとは、そのスイッチの設定ダイアログを表示し、問題のPCが接続されているポートを切断すればよい。

「ホストを検索する」をクリックすると、接続しているPCなどホストの一覧として、DHCPとARPの情報が表示される。ここからホスト名などを入力して、どこに接続されているかを検索できる検索した結果、該当するホストが接続されているスイッチが特定され、ネットワークの図の中に赤い線で示された

 ネットワーク構成の画面からは、一般的には難しいとされるVLANの設定も、GUI上のマウス操作だけで、間違いなく設定できる。「新規タグVLANの作成」を選び、ネットワーク図のSWX2200のアイコンをクリックしてポートを選ぶだけで、ポート単位でVLANに参加させられるという簡単さだ。親スイッチの該当ポートもいっしょに追加されるため、うっかり追加し忘れて通信できなくなるというミスも防げる。

VLANの設定もマウスクリックだけでできる。「新規タグVLANの設定」を選び、画面上でVLANに参加させるポートをクリックした上で設定ボタンを押すと、それだけでVLANが設定される。意外に忘れがちという親スイッチのポートが自動的に追加されるなど、設定し忘れがないように工夫されている

 さて、あらためて、いままで操作してきたのが「ルータの管理画面」であることを思い出してほしい。「ルータを設定していたと思っていたらネットワークを設定していた」ということに驚かされる。個々のスイッチを設定するのでも、SNMPツールから設定するのでもなく、まるでルータがスイッチに神経を巡らせてネットワーク全体を管理下に置いているかのようだ。

 実際に、SWX2200のポートはRTX1200からは、自身のポートであるかのように見える。そのため、SWX2200にPCをつないだときに、そのリンクアップがRTX1200に直接検出され、ログにも残る。RTX1200をSMNPで管理する際にも、SWX2200のポートをRTX1200のポートとして管理できる。さらに、リモート拠点のルータに本社からログインして、スイッチを含むネットワークを管理できる、というのも、ネットワークの運用を円滑にしてくれるだろう。

 RTX1200のひとつの特徴であるLuaスクリプトによる制御と組み合わせることもできる。例えば、異常パケットを送信しているPCや、社内で禁止しているP2Pアプリケーションを使っているPCを自動的に遮断するといったことができる。

 より高度な使い方としては、例えば、RTX1200に2台のSWX2200を接続し、SWX2200のリンクダウンのログイベントをスクリプトから検出することで、アクティブ・スタンバイ形式の冗長化構成を実現するといったことも考えられる。このような例はすべてのユーザーが使うものでもないが、必要な場合に必要な形でネットワークを構築できる柔軟性が増えるのは利点だ。

TELNETでログインしたコンソールで、最近のログを表示したところ。上の方の行で「PORT3 link up」や「PORT3 link down」とある部分は、SWX2200にPCをつないだり外したりした様子がリアルタイムで記録されているもの

 以上、SWX2200をRTX1200から管理する様子を見てきた。スイッチを管理する機能をルータに持たせることにより、エンドユーザーにも管理できるようにしているのが新鮮だ。また、ルータとの連携による管理機能を備えているにもかかわらず、一般的なアンマネージドスイッチ並の価格で販売されるというのもメリットだ。

 なお、4月には、SOHO向けルータの「NVR500」にも対応ファームウェアがリリースされる予定だ。ただし、想定ネットワーク規模の違いもあり、NVR500ではVLANの設定は省かれるという。また、執筆時には間にあわなかったが、ヤマハのルータがないユーザーのために、PCからある程度設定できる管理アプリケーションも提供される。

 

「マネージドスイッチに手が出なかった層にも使ってもらいたい」

 SWX2200シリーズの狙いについて、ヤマハ株式会社 サウンドネットワーク事業部から、開発推進部の平野尚志氏、商品開発部の瀬尾達也氏、営業部の馬場大介氏に話を聞いた。

開発推進部の平野尚志氏(右)と、商品開発部の瀬尾達也氏(左)

――このタイミングでスイッチ市場に参入した意図は?

平野:スイッチ市場には、すでにたくさんのメーカーや製品が出ています。その中でアンマネージドスイッチが圧倒的に数が多いわけですが、それがあるべき姿かは疑問に思っていました。ユーザーはネットワークを管理したがっているのに、いままでのマネージドスイッチは高価で難しいため手が出せず、やむをえずアンマネージドスイッチを使っているのではないか、という仮説を持っていたわけです。

 一方で、WANがギガ化されるタイミングで、LANもギガ化が進んで、ネットワークをちゃんと管理する必要が高まっているということも背景にあります。

 そこで、すでにマネージドスイッチを使っている層ではなく、ヤマハのルータを使っている層にターゲットを絞って製品を作りました。われわれに求められるものとしては、手軽に管理でき、比較的安価で、なおかつ壊れにくい品質を持つ製品だと思っています。

瀬尾:操作面でも、ヤマハルータを管理する感覚で管理することを想定しました。スイッチの設定もルータに入ります。そのため、ルータに設定を入れて持っていけば、そのまま他拠点を設定できます。

 

――充実した設定機能に比して、かなり安価でアンマネージドに近い価格になっていますが。

馬場:機能としてはアンマネージドを超える性能を持っていますが、現時点で使いこなせるのは、RTX1200とNVR500のユーザーだけになってしまっています。価格については、将来的にRTX1200、NVR500などのGigabitクラスのルータに切り替える方にも、現時点で、スイッチ単体で検討いただけるような価格帯を目指しました。

 

――想定しているユーザー層は?

平野:「VLAN? とんでもない!」と思っているような層です。例えば、電話工事屋さんに小さな店舗から障害の電話が入ったとき、リモートからログインして対応できるようになります。また、小さい店舗や拠点ではVLANは想定されていませんが、これからは持ち込みPCとPOSを分離とか、VoIPとPCを分離とかいった要望が出てくるのではないかと思います。

 そのほか、ネットワークの管理性が上がることによって、ヤマハのネットワーク機器を販売してくださるSIerの方々が、中小企業に対して付加価値を提案できます。いままでのマネージドスイッチとは発想が違う製品と考えていただければと思います。

 

瀬尾:ルータのLuaスクリプトの機能も、SIerさんがエンドユーザーに提案の幅を広げられるようにするための機能として付けました。スクリプトで設定するものと誤解があるかもしれませんが、通常のネットワーク管理者はあくまでGUIなどから管理することを想定しています。SIerさんがネットワークを構築するにあたってスクリプトを活用する、というイメージです。

 

――Luaスクリプト機能に対するユーザーやパートナーの反応は?

平野:ネットワークエンジニアとプログラマーとの違いもあってか、最初はピンときていなかったようです。ただ、NVR500でもLuaスクリプト機能を付け、展示会でデモしたので、認知が広がりました。そのため、これから試していただけると思っています。

 皆さんも最初戸惑っていましたが、いまはセミナーを開いていたりと、少しずつ理解してくれていると思います。SWX2200で制御の対象がスイッチにまで広がれば、ユーザーのやりたいことも広がるものと期待しています。

 

100名に当たるモニターキャンペーン実施

 なおヤマハでは今回、SWX2200シリーズの発売を記念して、SWX2200シリーズを貸し出すモニターキャンペーンを開催する。SWX2200モニターキャンペーン事務局のサイトでアンケートに所定のアンケートに回答の上、申し込みをすれば、抽選で100名にモニター機材が提供される。

 用意されるのは、SWX2200-8Gが150台、SWX2200-24Gが50台程度を予定。当選したモニターには何度か使用レポートを求められるので、それに答えることにより機材の譲渡を受けることもできる。

【3/11 追記】
モニターキャンペーンの応募期間は、当初3月21日までとされていましたが、応募者多数のため、3月10日で締め切られました。現在は募集しておりませんので、ご注意ください。

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