使えば納得! ヤマハの新コンセプトスイッチ「SWX2200」モニターの声を聞いた


 ヤマハ株式会社から、中小企業向けVPNルーター「RT107e」の後継機種「RTX810」が11月1日に発売された。RTX810は、全ポートがGigabit Ethernet(GbE)に対応した、RTX1200やNVR500の世代の製品だ。

 RTX810を含むヤマハの最新世代のルーターの特徴として、同社のレイヤ2(L2)スイッチ「SWX2200シリーズ」の管理機能がある。本誌でもすでに紹介しているように、SWX2200シリーズは、制御機能をヤマハのルーターに持たせることで、マネージドスイッチであるかのように、ポートや帯域の制御、VLANの設定などができるようになっている。いわば、ルーターがネットワーク上の各接続を直接制御しているかのようになる、新しいコンセプトの製品だ。

 SWX2200シリーズの発売を記念してユーザーに貸し出すモニターキャンペーンも実施され、100名が実際に試した。そのモニター参加者から返ってきたアンケートの内容を、個人情報などを含まない形で見ることができたので、ユーザーの生の声として紹介したい。

ヤマハのルーターRTX810ヤマハのスイッチSWX220000-24G(24ポートモデル)

 

ヤマハルーターの“ベテラン”ユーザーに好感触

 まず、参加したモニターの方々のバックグラウンドや方向性を見てみた。

 職種を見てみると、IT企業勤務や、企業などの情報システム部門の人が多く、日ごろからネットワークの構築運用に携わっている層が応募しているようだ。

 また、RTX1200やNVR500が事実上必須であることもあり、ヤマハのルーターの設定に慣れ、シンパシーを持っている人が多いことがうかがわれた。中にはすでに購入しており、モニターキャンペーンの機体とあわせて複数台での検証をした、という人もいた。

 どこまで試したかの質問を見ると、100人(回答のない人も含む)のうち、SNMPでの監視を試した人が20人、ポート優先QoSを試した人が17人いるという。SWX2200シリーズの特徴ともいえるVLANの設定は、45人が試している(ちなみに、モニター時点ではNVR500がタグVLANに対応していなかったため、RTX1200のユーザーは、ほぼ全員が試している)。

 そのほか、自由記入の項目の中で、ネットワークに高トラフィックを流して負荷をかけるテストをしたという報告も何件かあった。それも含め、自社や客先での導入の検討としてモニターに参加した人も多く見受けられた。

 アンケートでのSWX2200購入意向を、下のグラフにまとめた。モニター100人中、「購入済み」と「導入したい」が合わせて29人、「引き続き検討する」が37人で、合わせると68人(68%)が導入にポジティブな回答をしている。

 「導入は難しい」の理由としても「自社ではマネージドスイッチを導入しているので購入しないが、顧客への提案材料としたい」という回答などもあり、ヤマハルーターの熟練者を中心に、好感触といえそうだ。

モニター参加者のSWX2200購入意向

 

使えば良さがわかる、ネットワークをルーターで一括管理する機能

SWX2200をRTX1200のWeb GUIから管理するところ

 SWX2200は、ヤマハのルーターから一括管理して帯域制御やVLAN設定などもできるという、マネージドスイッチともアンマネージドスイッチとも違う新カテゴリーのL2スイッチだ。そのため、機能を文章などで説明されてもわかりづらいが、実際に自分で操作してみれば特徴がわかるはずだ。

 モニター参加者からの回答でも、ネットワーク上のポートやホストの情報をルーターで直接モニターしたり設定したりできる機能は、使ってみてよかった点として上げる人が多かった。Webベースのグラフィカルな表示や設定、一覧表示などの便利さが、多くのモニターから挙げられると同時に、ヤマハのルーターのコマンドラインに慣れている層からは、ルーターのコマンドライン設定でスイッチも操作できるのがよい、という意見も多数見られた。

 この、スイッチをルーターで管理するのはSWX2200の特徴であり割り切りでもあるが、それは承知しつつも、「でも、いざというときにシリアルポートやIP接続で個別に設定できないと不安」という声も多かった。

 この点について、ヤマハに質問をしてみた。ヤマハでは「導入時期の違いなどで、一時的に単体で運用されるといったこともあると思いますが、基本的にはヤマハルーター配下で、ルーターの制御のもとで動作することを前提としており、ルーターからの制御によりスイッチを個別設定できます。制御するルーター上での設定内容とSWX2200内部の設定は常に一致しているため、安心して使っていただけると思います」とのコメントだった。

 WebベースのGUIでの懸念点として、細かいところでは、「1024×768の画面から操作すると、スクロールしないと下のほうの項目が見えず、最初に気付かなかった表示があった」という回答も見られた。ユニークな利用形態としては、「スマートフォンのブラウザでは設定できない場合があった」という指摘もあった。なお、スマートフォンでもブラウザによっては設定可能なようだが、ヤマハルーターは推奨ブラウザがInternet Explorerのため、ブラウザ依存があるようである。

 ルーターのLuaスクリプトによる制御についても、Web認証を試した人が23人、ブロードキャストストーム抑制を試した人が15人、トラフィック監視制御を試した人が21人、Winny/Share監視制御を試した人が16人、経路冗長化を試した人が13人。個人差はあるが、関心の高い人は一定の割合でいるようだ。中には、実験して浮かんだ応用のアイデアを書いてきた人や、ルーターですでにLuaスクリプトを作ったり使ったりしている人、既存のスクリプトを改造した人もいた。

 一方、Luaスクリプトについては、興味を感じつつも「まだよくわからない」という声も多かった。また、スクリプトのアップロードやデバッグが手間という声もあった。実運用のネットワークでLuaスクリプトを試すのは難しいだろうが、例えば、Windows用シミュレーターなどを、テストやデバッグなどにうまく利用すれば、多くの局面では解決できるのではないだろうか。またLuaスクリプトのサンプルプログラムも、ヤマハホームページで多数公開されている。

 

要望に応え、NVR500でもVLAN設定に対応

 SWX2200の管理に対応しているルーターは、モニター期間中はRTX1200とNVR500の2機種で、その後RTX810が加わった。NVR500からの管理を試した参加者から数多く寄せられたのは「NVR500では機能が限られる」「NVR500ではタグVLANに対応していない」という声だ。

 このNVR500でのタグVLAN設定については、ちょうどこの記事を書いている間の11月上旬にリリースされた、Rev.11.00.17ファームウェアから新たに対応された。モニターの声が、きちんと製品に反映されたといえる。

 そのほか、ヤマハのルーターを利用していても、それ以外の機種を持つユーザーから、対応機種の拡大を望む声もあった。一方、スイッチやルーターをベンダー混在で導入しているとネットワーク構成が難しい、という声も一部あった。

 SWX2200自体のハードとしては、作りやデザインなど評価が高い一方で、SWX2200-24G(24ポートモデル)について「データセンターやサーバールームにはいいが、オフィスに置くにはファン音が大きい」という声も多数見受けられた。これについては「24Gにもファンレスのモデルを」「オフィス用に16ポートでコンパクトでファンレスのモデルを」「設定やLuaスクリプトからファンを制御できるといい」などさまざまな意見も寄せられた。ポート数やサイズについてはユーザーごとに個別の事情があるためか、「48ポートモデルが欲しい」「6ポートモデルが欲しい」という声もそれぞれあった。

 この点についても、ヤマハに質問をしてみた。それによると、「16ポートモデルなどについて弊社も検討しましたが、価格的に中途半端なものになってしまうこともあり、現在は8ポートと24ポートで展開しております。ラインアップを集約することで価格を抑えていきたいと考えています」とのコメントだった。

 購入に関係して意見が二分されたのが価格設定だ。製品の性格として、「マネージドスイッチと比べて安価」という声と「アンマネージドスイッチと比べて高価」という声の双方とも多く寄せられたのが印象的だ。

 実際の価格づけもさることながら、既存のスイッチ製品と比べたコンセプト上の見せ方に、ヤマハのマーケティング面での課題もありそうだが、逆にいえば、価値を十分に生かせる環境では、価格以上の効果を発揮できる、ともいえる。このあたりの声は、ユーザーの理解が進むとまた違ってくるかもしれない。

 

学生寮のネットワークにSWX2200を採用

学校法人電波学園 高山敏昌氏

 モニター参加者の中から、参加後に実際にSWX2200シリーズを導入したという、学校法人電波学園の高山敏昌氏に、導入に至る経緯とポイントを聞いた。

 電波学園グループは名古屋無線電信学校が母体となって設立され、2012年に創立60周年を迎える。現在では愛知県を中心に大学・短大・専門学校・高校を抱えている。

 本部を中心として15拠点にネットワークをめぐらせ、拠点間をすべてヤマハのルーターで接続している。具体的には、本部にはRTX3000を、各拠点はRTX1200やRTX1100を採用している。こうしたネットワークの設計や構築、設定は、施設管理課の高山氏がほぼすべて自分で手がけているという。もちろん、大量の機材を導入するような大拠点では協力会社の手を借りるが、「コンピュータを教えている学校なので、失敗も含め、自分たちが実務で経験したことを教えないといけないと思う」と高山氏は語る。

 高山氏がSWX2200シリーズを知ったのは、ヤマハの講習会に参加したときだった。「ホストを検索できる機能や、ルーターに入ればネットワークの構成が見える機能などが、使えそうだと思いました」(高山氏)。

 電波学園ではちょうど、1つの学生寮を改装工事していた。この寮の各部屋から学校やインターネットにネットワーク接続するためのインフラとして、RTX1200とSWX2200によるネットワークが検討された。ヤマハの講習会ではモニターキャンペーンも案内していたため、早速申し込み試した結果、SWX2200-24G×3台・SWX2200-8G×1台を正式に採用したという。

 ネットワーク構成としては、RTX1200の直下にSWX2200-8G(8ポートモデル)1台を置き、その下にSWX2200-24G(24ポートモデル)を接続している。約16ある部屋をそれぞれVLANで分け、ほかの部屋のPCが見えてしまわないようになっている。そのほか、監視カメラも専用のVLANでIP接続している。

 「規模的にも学生寮に向いていた」と高山氏。SWX2200を導入した最大のメリットは、本部からリモートで寮のRTX1200にログインしてネットワークを設定できることや、スイッチやPCの状態がSNMPやRTX1200のインターフェイスから把握できることだという。

 特にコンピュータ好きの学生が多いため「例えば、1人で1000セッションを張ってネットワークに負荷をかける学生がいれば、それを把握したり、接続を切ったりすることもできる。実際には自主性に任せていますが、いざというときに対応できるのは利点です」。

 ヤマハのルーターの設定に慣れた高山氏にとって、ルーターのCUIからそのまま設定できるのも魅力だった。「GUIで基本的な設定をして、それで設定しきれない細かいところをCUIで設定するのが、自分にとってやりやすいやり方でした」と高山氏。「ただ、GUIで設定したあとCUIで設定を確認すると、スイッチ特有の設定がたくさん追加されるので、それを新しく理解するのには少し時間がかかりました。それでも、ヤマハのルーターは設定例が豊富に提供されているので、それが参考になりました」。

 今後、ほかの拠点での採用については未定だというが、レイヤ3(L3)スイッチをまじえた構成や、スイッチ間のトランクリンク接続などができるかどうかを試したいという。「既存のネットワークを変更できないので、入れやすいのが新しくネットワークを組む学生寮でした」(高山氏)とのことで、既存のネットワークと共存できる導入方法を模索していくようだ。

電波学園グループのネットワークの概要15拠点の接続状況(SNMP管理画面より)
学生寮に導入されたRTX1200とSWX2200によるネットワーク
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