特別企画

IT系ライター荻窪圭、企業向け無線LANアクセスポイント「WLX202」を試してみる

ビジネス向け製品に縁がないライターでも使えるの?

 昔からヤマハが取り組んできたのは、ネットワーク管理者の負担軽減、ということだ。ルータのみならずスイッチも提供して「LANを見える化」した後、無線LANにも取り組み(WLX302)、「電波の見える化」も達成した。その後、LAN環境全体を見渡せる「LANマップ」を開発し、IEEE 802.11ac対応の無線LANアクセスポイント「WLX202」の発売に至るのであった、というのが前回までのお話だ。

 では実際、どのくらい使いやすいのか、LANマップは何をどう見せてくれるのか。

 自分でやってみるのが一番早いのである。

 わたしがはじめて無線LAN環境を自宅に導入したのが1999年だか2000年だか、21世紀になる前のことであったのだが、自宅環境のWi-Fiしかいじったことないので、ビジネス向けのネットワーク環境の設定ははじめてである。さてうまくいくか。

ルータにWLX202とパソコンをつないであれこれテストしているの図

RTX1210を介してWLX202をつないでみる

 WLX202だけあってもしょうがないので、それをつなぐためのルータとしてRTX1210もお借りし、それを中心に組んでみることにした。

 まずはRTX1210にパソコンをつなぎ、自宅環境に合わせてセッティングする。シンプルな環境になってるので、あっさりと接続完了だ。そこまではよし。

 つづいてWLX202をつなぐ。

 初期化されているまっさらなWLX202にACアダプタを接続し、LANケーブルをRTX1210の適当なポートに入れてみる。

 それだけだと何も起きない。

 RTX1210のLANマップにアクセスすると、RTX1210にWLX202がぶら下がっているのが見える。

RTX1210にWLX202をつなぎ、LANポートにパソコンをつなぐ。このパソコンからセッティング

 ここでWLX202を選択し、「無線APの設定」をクリックする。

WLX202は見えているが、まだ設定してないので「2.4GHz」も「5GHz」も動作してないのがわかる。無線APの設定をクリックすると設定がポップアップウインドウで開くので、このあと「常に許可」をクリックする

 これでRTX1210を介してWLX202の設定画面に入れるので、無線設定のSSID管理に入り、VAPをひとつ作るのである。適当なSSIDを付け(yamaha202-01と打ったつもりが201になっているのはご容赦を。あとで直しておきました)、パスワード認証など必要なセッティングを行う。

 そして「設定」をクリックしてやればこれで終わりだ。

 コンソールにつなぐ必要もコマンドを打つ必要もない。

WLX202に入り、無線設定から「SSID管理」を選択。SSIDのセットや事前共有鍵など必要な事項をセットする

 これだけである。なんて簡単。

 少し待つと設定が完了し、使えるようになる。

 あとは設定した無線LAN APにつないでやるだけである。

 いろいろとぶら下げてみる。

WLX202にあれこれつないでみたの図。端末のVLAN ID、種類やメーカーなどが表示される

 WLX202にアクセスして「管理機能」から2.4GHz、5GHzそれぞれにどの端末がぶら下がっているか、伝送速度はどのくらいか信号強度はどのくらい出ているかがわかる。

2.4GHzと5GHz、それぞれどちらにどれがつながっているかはWLX202の管理機能から見ることができる。ここでは電波信号の強度と伝送速度もわかる。5GHzでひときわ伝送速度が速いのがたぶん、802.11acでつながってるiPhone6s Plusかと思う(なぜかベンダーが表示されないが)

 その他ファームウェアアップデート、アクセスポイントの細かな設定、管理、再起動、RADIUSサーバー機能などすべてWebブラウザから行えるのだが、202らしいのはLED点灯機能。

LED管理機能からは日付と時刻やLEDの点灯、設定の保存や復元なども

 WLX202は電源やLANの状態を示すLEDが3つ並んでいるのだが、その表示をオフにできるのだ。たぶん、店舗などに置いた際、LEDの明滅が目立たないようにということだろう。

 WLX302にもあったが「ここです」機能も面白い。LANマップ上で問題のAPを見つけたら「ここです」を実行すると、該当するAPのLEDが明滅して教えてくれる。複数台のAPを置いているときに便利だ。

「ここです」機能でLEDを点滅させる

WLX202のデザインはなかなか

 LEDはPower、WLAN、SLAVEの3つだけとWLX302に比べるとシンプルな構成だ。

各面が斜めにカットされたWLX202。正面に小さくLEDが3つ付いている。上面にはYAMAHAのエンボスが

 正面から見るとこんな感じ。

正面から。角をカットしてある分より薄く感じる

 ボディはやや大きめだが、コネクタが外から見えないよう奥まっているせいもある。

LANケーブルとACアダプタをつけた状態で裏から。これならコネクタはぜったい外に顔を出さない

 これを実際に壁に設置するとどんな感じか試してみた。ケーブルはつないでない。

壁に設置するとこんな感じになる。窓からの光で形がきれいに見える

 WLX202は302に比べるとフットプリントはやや大きいがその分薄く、デザインも凝っていて確かに壁につけたときの見栄えはいい。

 角がすべて斜めにカットされているので、横から光が入ったときに形がきれいに見えるし、影も柔らかくなる。コネクタが奥まっているのでうまく配線すれば目立たない。

 LED類は下向きに。

電源をつないでないので消灯しているが、イメージとしてはこんな感じに

 無線APは目立つべき存在ではないので、こういうのがいい。飲食店に置いても目立たないはずだ。

複数台のWLX202をつけてみる

 さらにもう1台のWLX202をつないでみた。

2つめをつないだ状態でRTX1210のLANマップ。2つめのWLX202はまだ何の設定もしてないのでLAN端子のみが緑色になっている

 無線コントローラーで先ほどつないだWLX202の設定を、そのまま新しい方にコピーしてみたい。

 それにはまず先に接続していたWLX202を「無線コントローラー」で「Controller-AP」に指定する。こっちをコントローラとして使うのだ。

無線LANコントローラーで役割を「Contoller-AP」にセット

 続いて、無線コントローラーの「グループ定義」で新しくつないだWLX202を同じグループに追加する。これで準備OK。

無線コントローラーの「グループ定義」で、新しいWLX202(発見したAP一覧に表示される)をグループに追加する

 「設定送信」から新しくつないだWLX202に設定を送信してやれば、自動的に同じ設定になる。

チェックして「設定」をクリックすると設定が新しいWLX202に送信される
設定送信完了

 これで複数台の無線APの設定をミスなく統一することができたわけだ。

 無事2台のWLX202がつながったわけだ。

 これなら無線APをどんどん増やしても簡単に設定していけるわけである。素晴らしい。基本的な設定だけこれで転送して、ディテールは個別に修正していけばいいのだ。

LANマップで端末を見る

 面白いので、手元にある機器を片っ端からぶら下げてみた。

 LANマップで見るとこんな感じ。全部で10個。iOS機2台、Mac2台、Windows PC1台、Android機3台、プリンター1台、デジカメ1台である。機器名を見るとわかる。

10個ぶら下げてみた

 機器名や種類は「機器一覧」機能から編集可能だ。ここで誰のどんな機器かを端末マスターに登録しておくとより管理しやすい。

つながっている機器一覧を編集して、種類や名前をセットできる
こうなるとすごくわかりやすい。

 複数のVAPを使い分けることもできる。

VLANを2つ作り、それぞれSSIDを割り当てて使い分けてみた。

 複数のAPをつないだ状態でLAN全体を見たいときは「LANマップ」の「一覧マップ」機能がいい。こんな風にLAN全体のマップを見せてくれる。

一覧マップ

 ちなみに、WLX202で割愛された機能ではあるが、WLX302の「電波の見える化」ツールが面白かったので最後におまけで。

WLX302をつなぎ、電波の見える化ツールで電波状況を見てみた
電波の見える化ツールを使うとココの端末の状態も見せてくれる

 今回はシンプルな構成でしか試してないが、細かいセッティングがすべてルータを介してWebブラウザで行えるので、予想以上に楽でびっくり。いくらなんでも、もうちょっと面倒かと思ってたのだから。

 LANマップもわかりやすくていい。

 WLX202をLANケーブルでルータやスイッチにつないでしまえば、あとは手元で全部できるのだ。あらかじめ必要な設定を行ってからつなぐ、という手間がいらない。

 ふだん、ビジネス向け製品を触らないわたしでも、ルータとスイッチと無線LAN APをヤマハで統一するメリットって大きいな、と実感できた次第である。

荻窪 圭