事例紹介
三鷹市が取り組む「コミュニティ創生」、ICTで高齢者の「共助」は育まれるか?
ICT街づくり推進事業(1)
(2014/11/10 06:00)
総務省では平成24年度から「ICT街づくり推進事業」に取り組んでいる。雇用、高齢化、医療、防災・減災、コミュニティ問題など地域が抱える複合的な課題を解決するため、ICTを活用した新たな街づくりについて検証する実証プロジェクト。公募した自治体や事業者に委託し、全国各地で実証実験が進められている。未来の街はどうあるべきか、そんな「ICT街づくり」の最前線を追う。
今回は、平成24年度・平成25年度に実施された、東京都三鷹市における「三鷹市コミュニティ創生プロジェクト」。
「防災・減災」「高齢者支援」という観点から地域コミュニティのあるべき姿を模索している。推進役は株式会社まちづくり三鷹。三鷹市および地域企業・大学・市民と共に街づくりを進める第三セクターとして1999年に設立され、地域の産業創出、コミュニティへの支援、SOHO事業者の集約などに取り組んでいる。
「防災・減災」と「高齢者支援」の取り組み
三鷹市は東京都多摩地域の東端に位置する都市で、人口は約18万人(2014年10月現在)。勤労者が多く住む「住宅都市」のほか、都市の便利さと緑豊かな自然とが調和する「公園都市」としての顔を持ち、市内には「国立天文台三鷹キャンパス」、桜の名所で知られる「井の頭恩賜公園」、小金井市や調布市とまたがる「野川公園」がある。文化施設としては、「三鷹の森ジブリ美術館」が有名だろう。
市北端にはJR中央線が走り、「三鷹駅」を中心に市街地を形成。神田川沿いには京王井の頭線の「井の頭公園駅」や「三鷹台駅」がある。
市の基本理念としては「人間のあすへのまち」を目指し、さまざまな課題に対処するために「ICTを生かして協働を生み出し、持続可能なコミュニティを創生する」という方向性で街づくりを推進。また、平成24年3月に策定した総合計画で定められた最重要プロジェクトである「都市再生」「コミュニティ創生」「危機管理」と連動する形でICT街づくり推進事業に参画し、主に「防災・減災」と「高齢者支援」について検証した。
背景としては「全国で高齢化が進んでいますが、三鷹も例に漏れず。特に多摩地域は東京のベッドタウンとして、昭和30年代に旧住宅公団が日本で2番目に大規模団地を造るなど、比較的早くに都市化したこともあって、高齢化が進んでいます。防災・減災については、3.11発生時に帰宅困難者があふれたことがきっかけで、災害時の情報伝達の仕組みを考える必要がありました」と、まちづくり三鷹 取締役の後藤省二氏は語る。
市が重視するのは「自助、公助、共助」の考え方だ。いかにコミュニティでの助け合いを育んでいくか。そのための仕組みとして、以下4点の実証実験を行った。
取り組み | 内容 |
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駅前Wi-Fi | 主に災害時の情報伝達。平時には商店街へのO2O(Online to Offline)にも活用 |
情報伝達制御システム | 災害時に情報伝達する複数のメディアを一括制御 |
IP告知システム | Android端末による買い物支援や災害時の要援護者支援 |
共通ID | 要援護者支援のために複数のシステムで利用できる共通ID運用。マイナンバー制度を見据えたもの。 |