事例紹介

ICカード統合への幕開けか? 「医療」「交通」の連携に挑んだ豊田市

ICT街づくり推進事業(4)

 総務省では平成24年度から「ICT街づくり推進事業」に取り組んでいる。雇用、高齢化、医療、防災・減災、コミュニティ問題など地域が抱える複合的な課題を解決するため、ICTを活用した新たな街づくりについて検証する実証プロジェクト。公募した自治体や事業者に委託し、全国各地で実証実験が進められている。未来の街はどうあるべきか、そんな「ICT街づくり」の最前線を追う。

 今回は、愛知県豊田市の「平常時の利便性と急病・災害時の安全性を提供する市民参加型ICTスマートタウン」。地方都市にて超高齢化社会や緊急時・災害時への対応を効率化すべく、「医療分野」と「交通分野」を融合して高齢者の安心・安全をめざしたもの。

「医療」「交通」を融合

足助地区

 豊田市は、愛知県北部に位置する。人口は名古屋市に次いで県内2位(約42万人)、面積はもっとも広く、トヨタ自動車が本社をおく企業城下町として有名だ。多くの自治体と同じく高齢化が進行中で、特に中山間地域では高齢化率が高い。今回の実証が行われた足助地区は、人口8392人のうち高齢人口(65歳以上)は3050人と36.3%におよぶ。市全域では20.6%なので、高齢化が際立っているのが分かる(2015年3月1日現在)。

 実証実験は、そんな足助地区で行われた。医療と交通のサービスを1枚にまとめた次世代型ICカードをつくり、高齢者の日々の安心・安全・快適さを追及。加えて、スマホを活用した実証として「市民プローブ」による交通街づくりにも挑戦した。総務省「ICT街づくり推進事業」としては第1期のプロジェクトで、ほかのプロジェクトの参考例にもなっている。

 実証時期は、平成24年度から平成25年度。豊田市のほか、名古屋大学、岐阜大学、複数の民間企業により進められ、現在は協議会で今後の方針が議論されている。その詳細について、名古屋大学 研究員の剱持千歩氏に聞いた。

取り組み内容
あすけあいカード「いつも」使えて「まさか」の時にも役立つICカードの普及促進
市民プローブによる街づくり自動車のプローブ情報を活用して交通状況を可視化。市民力を生かしたデータ収集・活用も検討

(川島 弘之)