ニュース

NRI、金融機関・事業会社向け「マイナンバー登録・管理サービス」

 株式会社野村総合研究所(NRI)は20日、マイナンバー制度(社会保障・税番号制度)の施行にそなえ、金融機関や事業会社に対して、顧客や従業員などのマイナンバーを安全かつ効率的に管理・活用できる「マイナンバー登録・管理サービス」の提供を開始した。

 マイナンバー制度では、「個人番号関係事務実施者」となる企業などに対して、厳格な手続きや安全管理を要求している。2016年1月に迫った施行に向けて、企業などでは短期間のうちに全組織を対象とした事務作業の確認や見直しが必要となる。

 また、マイナンバーの記載が必要となる書類は多岐にわたり、その事務負荷が大きくなるばかりでなく、特定個人情報を扱うため、安全管理にかかる負担も増大する。対応が十分でなければ、重大な法律違反となる可能性もあるため、その取り扱いにかかる負荷を軽減できるソリューションとして、NRIは今回の新サービスを発表した。

 同サービスで対象とするのは、証券会社や銀行、保険会社など金融機関が抱える顧客のマイナンバーと、事業会社における従業員のマイナンバーの登録・管理。マイナンバー自体を企業内の情報システムに置かず、NRIのデータセンターで一括管理するため、特定個人情報を社内で保管する必要がなくなる。既存業務システムと同サービスの接続部分に手を加えるだけで利用できるため、既存業務への影響も考慮せずに済み、対応コストも抑えられるという。

 具体的に提供するサービス内容は「特定個人情報保護を考慮した社内態勢整備の支援」「マイナンバーの登録」「マイナンバーの管理・利用」。

サービスイメージ図

 「特定個人情報保護を考慮した社内態勢整備の支援」では、すべての企業が制度の施行までに特定個人情報保護ガイドラインで要求される義務規定に対応しなければならないため、まず現行業務を棚卸しし、関係する事務よおび必要となる特定個人情報の範囲を明確化する。次に事務取扱担当者を決め、基本方針および取扱規程の策定を支援する。

 「マイナンバーの登録」では、顧客や従業員などからマイナンバーの提供を受けたあと、本人確認を行ったうえでデータベースに登録する。マイナンバーは各企業内で個人を特定できる口座番号や契約番号、社員番号などとひも付けてNRI側で管理される。企業側は個人番号カードや番号通知カード、身分証明書のコピーなど本人確認に必要な書類を提出する必要がある。また、同サービスの一部は、NRIグループのだいこう証券ビジネスが提供する。同社は少額投資非課税制度(NISA)の口座開設受付代行業務のように、大量の事務生類の発送、審査、データ作成・電子化といった多岐にわたる事務処理に関するアウトソーシングの実績を有するという。

 「マイナンバーの管理・利用」では、登録されたマイナンバーを管理し、必要に応じて各種書類にマイナンバーを付記して提供する。たとえば、税務当局への提出が義務付けられている支払調書などのデータに口座番号や社員番号などを付けたものを、企業内の既存業務システムから同サービスに送信すると、対応するマイナンバーを決められた書式に従って付記して出力する。関係当局からマイナンバーやそれに該当する職員について照会があった場合、利用企業に対して必要な情報の提供やデータ更新作業などもNRI側で行う。

 なお、同サービスの運営にあたりNRIでは、マイナンバー法、特定個人情報保護ガイドライン、FISC安全対策基準などに準拠した独自指針を策定し、それに基づいた点検計画を立案するという。具体的には、データセンター施設への立ち入り制限や施錠管理、担当業務に応じた要員の役割や責任範囲の明確化、関係者へのセキュリティ教育、本人確認やID不正使用防止、外部からの不正侵入防止など、物理的・組織的・技術的な観点から点検を行い、常にサービス運営状況を確認するとしている。

川島 弘之