トピック

ニューノーマル時代のハイブリッドワークを実現する、SMB向けアクセス/エッジスイッチ「Cisco Catalyst 1000」

新ブランド「Cisco Designed」のもと、中小企業への支援を強化するシスコ

 シスコシステムズ合同会社(以下、シスコ)は2020年6月、中小企業向け新ブランド「Cisco Designed」をリリースした。同社はこれまでも中小企業向けブランド「Cisco Start」を日本国内で独自展開してきたが、Cisco Designedはグローバルでの取り組みとして中小企業への支援をさらに強化する。

 Cisco Designedが掲げる重点項目、すなわちシスコが中小企業を支援するにあたりポイントとしているのが、①デジタル変革への支援、②クラウド管理ソリューションの拡張、③パートナーとのマネージドサービス強化の3点だ。

中小企業向け新ブランドの「Cisco Designed」。グローバルで共通の取り組みとなる(出典:シスコ。以下、断り書きがないものはすべて同じ)

 新型コロナウイルスの感染拡大だけでなく、働き方改革やデジタル変革など、企業はいわゆる“ニューノーマル”への対応を迫られている。そうした状況は中小企業も同じであり、Cisco Designedはその変革を強力に支援する。

 そして、インフラやセキュリティの専任担当者がいない、もしくは多額のシステム投資が難しい中小企業においても変革を推進するためにクラウド、そしてクラウド管理ソリューションの導入をいっそう推進する。

 さらにパートナーに対しては、製品の設置や保守だけでなく、ライフサイクルサービスやサブスクリプションでの製品・サービス導入など、包括的なマネージドサービスの提供を進めていく。

 こうした点をポイントとしながら、中小企業に対して“厳選された製品とサービス”を提供するのがCisco Designedである。

Cisco Designedでは、中小企業向けに“厳選された製品とサービス”を提供する

 では、ニューノーマルへの対応として中小企業はいかにして変革を進めるべきなのか。シスコ APJCアーキテクチャセールス ビジネス開発担当の中元 聡氏は「ハイブリッドワーク、すなわちオフィスとテレワーク双方の環境をシームレスにつなぐことが重要」と強調する。

 新型コロナウイルス流行により、多くの中小企業がテレワークを導入した。しかし、緊急措置的に始めたテレワークは、将来的な働き方改革やデジタル改革につなげるというよりも、ネガティブな部分をカバーするために始めなければならなかった側面が強い。

 昨今は新型コロナウイルス以外にも自然災害が急増、しかも大規模化しており、事業継続への対応を強化する必要がある。また、テレワークを要望する従業員が増えていることに加え、働き方改革やデジタル変革により生産性の向上が急務の今こそ、ハイブリッドワークへの対応が必要だと中元氏は言う。

 「せっかく導入したテレワークを働き方改革やデジタル変革にどうつなげていくかが重要です。テレワーク環境を継続的に整えるとともに、オフィスとテレワークをシームレスに繋ぐツールやインフラをしっかりと整えることが大切です。また、オフィス環境についてもオンサイトでの業務や働き方に合わせた再構築が必要になってきています」と中元氏。

 ハイブリッドワークを実現するために必要となる要素として、中元氏は次の3点を挙げる。まず一点が、ハイブリッドワークではモバイル×フリーアドレス環境が標準となるため、無線LAN環境+PoEスイッチをメインとしたネットワーク構成。そして、Web/ビデオ会議が前提となることから、LANの高速化や広帯域化、高品質化を支えるネットワーク機器。さらに、専任担当者がいない中小企業においては運用管理の統合や自動化、省力化も重要なポイントとなる。

 「営業部門だけでなく、間接部門も含め、どんな職種の方でもハイブリッド型のワークスタイルに対応できるようにすることが大切です。そうした点を踏まえたネットワーク構成、そして機器を選択し、さらに、統合管理や自動化でしっかりとネットワークを運用管理することが重要です」と中元氏は語る。

SMB向けに強化されたアクセス/エッジスイッチ「Cisco Catalyst 1000シリーズ」

Cisco Catalyst 1000シリーズ

 「Cisco Catalyst 1000シリーズ」は、まもなく販売が終了するCisco Catalyst 2960-Lシリーズの後継となるギガビットイーサネット レイヤ2(L2)スイッチだ。8/16/24/48ポートモデルがラインアップされており、幅広いニーズに対応する。

 「Catalyst 2960-Lシリーズは中小企業やブランチオフィス向けのアクセス/エッジスイッチとして多くのお客さまにご愛用いただきました。新型コロナ禍の対応や働き方改革、デジタル変革の推進に向けてハイブリッドワークのためのネットワークが必要となる中で、そうした時代に即した製品としてCatalyst 1000シリーズをリリースしました」と語るのは、シスコ エンタープライズネットワーキング事業 シニアプロダクトマネージャーの平野晃章氏だ。

Catalyst 1000シリーズの概要

 8/16ポートモデルは島ハブとしての利用も考慮し、幅の小さい省スペース設計を採用。ファンレスで静音性も高い。一方、24/48ポートモデルではコラボレーションの増加などによるトラフィックの増大にも対応可能なように、10Gアップリンクを装備したモデルが用意された。また、8/16/24/48ポートの各モデルにおいて、FullポートPoE給電に対応したモデルがラインアップされている。

Catalyst 1000シリーズの機能概要

 Catalyst 1000シリーズは、SMB向けにアクセス/エッジをターゲットとしたスイッチだ。一般的なL2に必要な機能は当然のこと、ルーティングやセキュリティ機能も装備。そのほかにも、かゆいところに手が届く付加機能が搭載されている。

給電容量の強化

 Catalyst 1000シリーズは、各ポートのモデルでFullポートPoEに対応した機種をラインアップしている。型番で言うと、例えば「C1000-8FP-2G-L」の「FP」の表記がFullポートPoE対応を意味する。

 「従来のPoE+対応スイッチでは、8ポート67Wの供給電力モデルですと、無線LANアクセスポイント2台、16ポート120Wなら4台までしか給電できません。そのため、多くの機器に給電するために24ポートのモデルを購入されるというお客さまもいらっしゃいました。しかし、Catalyst 1000シリーズのFullポートPoE対応モデルなら、8ポートモデル(8FP)で最大4台、16ポートモデル(16FP)で8台まで給電可能になりました。1台のCatalyst 1000シリーズで8台の無線LANアクセスポイントへ給電できるとなれば、中小企業のお客さまのニーズを十分に満たせると思います」と平野氏。

 なお、PoEの電源割り当ては動的に変更でき、すべてのポートで柔軟な電力の割り当てが可能となっている。

Perpetual PoE(無停止型PoE)

 Catalyst 1000シリーズのPoEによる給電は、スイッチの再起動中にも維持される。スイッチ再起動中の中断がないため、医療機器などのクリティカルなエンドポイントや、PoE給電式照明などのIoTエンドポイントにも適していると言える。

 スイッチの再起動による通信断はもちろん発生するが、無線LANアクセスポイントなどエンドポイントの再起動が不要になるため、その時間は大幅に短縮される。

Perpetual PoE(出典:SB C&S共催セミナー「Catalyst1000を触ってみた」より)

Single IP management

 また、アップリンクのポート同士をイーサネットケーブルでつなげてスタックする機能を有する。スタックケーブルと必要としないため、遠距離でのスタックが可能になるとともに、複数のスイッチを1台として管理可能になることから、運用管理コストの低減を図れるのだ。

 「8台までのCatalyst 1000シリーズを1台のスイッチとして管理できます。複数のフロアスイッチを管理しなくてはならない企業や学校などですでにご利用いただいています。単なるスタックだけでなく、LAG(Link Aggregation)構成を組んでスイッチ間の帯域幅を拡大、冗長性を高めることも可能です」と平野氏は言う。

Single IP management(出典:SB C&S共催セミナー「Catalyst1000を触ってみた」より)

 このように、従来機種にはなかった付加機能が搭載されていることがCatalyst 1000シリーズの大きな特徴となる。

 なお、運用については、従来のシスコスイッチと同様に高度なCLIを使用して詳細な設定や管理を実行できるのはもちろん、直感的に操作可能なWeb UIを使用して設定できるため、シンプルかつ容易に運用管理ができるようになっている。

 「初めて使うお客さまには難しいイメージがあるかもしれませんが、日本語化されたGUIを採用することで使いやすく、親しみやすくなっています。大規模なネットワーク管理ではCLIを使いたいというお客さまも多いため、GUI・CLIどちらも利用できるようにしています」と平野氏。

高いコストパフォーマンスで中小企業のニーズに応える製品に

 Catalyst 2960-Lシリーズの後継となるCatalyst 1000シリーズ。価格については「2960-Lシリーズとほぼ同価格帯」(平野氏)とのこと。代理店経由での購入となるため正式な価格についてはここでは出せないが、Catalyst 2960-Lシリーズは「4万円台から買えるシスコスイッチ」としてよく知られていた。後継機種として機能が強化された上に同価格帯で導入できるということで、コストパフォーマンスの非常に高い製品と言えるだろう。

 「時代のニーズにあった形でCatalyst 1000シリーズを今回リリースできたことは、シスコにとってはより幅広いお客さまに対応できるようになったと考えています」と平野氏は語る。

 中元氏も、「これまではエッジスイッチはシスコじゃないという中小企業のお客さまもいらっしゃると思いますが、これからのハイブリッドワークにはアクセス/エッジスイッチも非常に重要なポイントになります。Catalyst 2960-Lシリーズからの移行はもちろん、新たにネットワークを構築・更改されるお客さまにも、ニューノーマル時代のハイブリッドワークを実現するためのネットワーク機器としてぜひ検討をお願いします」と語った。