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オフィスとツールの刷新を両輪に! 日本オラクルの"実践的"働き方改革の進め方とは
- 提供:
- 日本オラクル株式会社
2019年5月31日 11:00
残業時間の上限と、上限を超えた場合の罰則規定も盛り込まれた働き方改革関連法案がこの4月に施行されたことで、「働き方改革」が大企業のみならず、中堅・中小企業でも急速に広がっている。少子高齢化が進む中でのその意義については、改めて多くを語るまでもないだろう。
同時に、働き方改革の厄介さも広く知られるようになってきた。その根本には、働き方は企業ごとに異なり、推進に向けた課題も千差万別なことがある。実際、トップダウンで働き方改革に取り組む企業の中にも、進め方で戸惑うところが少なくない。
日本オラクルは4月26日、この状況の打開を支援すべく、「【事業部門向け】働き方改革へのはじめの一歩」と題したプライベートセミナーを開催。働き方改革の武器として、活動を現場から加速させるオラクル・ソリューションについて解説、そして日本オラクルの中堅・中小企業向け営業組織「オラクル・デジタル」における働き方改革の具体的な内容について、2018年12月に新設された活動拠点である「Oracle Digital Hub Tokyo」の説明も交えながら紹介した。
セルフサービスBIで現場主導の改革を
働き方改革の柱の1つとなる施策が、ITツールの活用による生産性の向上である。ITベンダーである日本オラクルでは、どのようにITツールを活用しているのだろうか。日本オラクル ストラテジー&オペレーションズ統括 クラウドオペレーションズ部の前中貴斗氏は、「営業企画業務を担う私の部署では、現場でできることを積み上げる草の根の働き方改革で成果を上げています」と説明する。具体的にはこうだ。
セールスやプリセールスを支援する営業企画の主要業務の1つがレポーティング、経営への報告やプロジェクト管理のための各種レポートの作成だ。ただし、そのための情報収集やデータ加工などは人手で行っており、「そこで手間暇を要すことが業務効率化や、データのさらなる活用に向けた足枷となっていました」と前中氏は言う。また、データの中には高い機密性が求められるものも含まれ、データ管理のセキュリティ・リスクも長らく指摘されていた。
これらを打開し、大きな成果を上げたのがセルフサービス型BIツールの「Oracle Data Visualization」だ。Oracle Data Visualizationを簡単に説明すれば、ビジネスの現場にいる一般ユーザーが手元のデータを使って分析を行うためのツールだ。
「特別な知識を持たなくても、マウス操作だけで直感的に操作でき、分析対象となるデータの取り込みや加工も、同様の操作で完了します。のみならず、データの組み合わせ方に関する機械学習によるレコメンド機能などより、新たな分析による気づきも促されます」(前中氏)。
では、Oracle Data Visualizationにより、レポート作成業務は実際にどう改善されたのか。
「データ分析ではデータを受け取ってからの『加工』、データを組み合わせる『突合』、分析する『集計』に、特に手間を要します」と指摘するのは、日本オラクル株式会社 クラウドプラットフォーム戦略統括 Analytics営業部の内野航太氏だ。
例えば、データの加工フェーズでは従来、大容量ファイルほど開く時間が長引くことや、ファイル破損に起因する加工作業のやり直しなどに起因する"無駄"が生じることもしばしばだ。対して、Oracle Data Visualizationでは、ツールの機能性の高さに加え、データベースと連携することで、データの管理・処理のオーバヘッドをデータベース側にオフロードすることができる。特に、自律型データベースの「Oracle Autonomous Database Cloud」と組み合わせれば、データ管理の煩わしさ、大容量データの処理によるレスポンス低下、セキュリティ・リスクといった課題を抜本的に解消することが可能だ。
データを理解し分析手法を自動提案
その上で、作業効率化の仕掛けも豊富に用意されている。分析の準備作業で鍵を握るのがマスターデータとの結合だ。例えば顧客マスターと注文明細データを、両データに共通する「顧客ID」により紐づけることで、より多角的な分析が可能となる。ただし、結合をExcelなどのスプレッドシートでやろうとすると、2つのシートをVLOOKUP関数で連携させて、別シートに結合表を作成する、といった作業をその都度行うことになる。
「それもマウス操作だけで簡単に行えます」と内野氏。そのデモンストレーションでは、マスターデータとトランザクションデータをマウス操作で「Oracle Analytics Cloud」に取り込んだ後、画面に自動表示されたデータ項目をクリック。これだけで、注文明細データの「受注額」と所在地などの「顧客」の関係性を示すグラフが、ダッシュボード画面に何種類も自動表示される様子が披露された。
「Oracle Analytics Cloudは、取り込んだデータの関連性をAIにより理解します。それを基に、最適と判断される分析軸を自動的にグラフ表示しいくつも提案するわけです」(内野氏)。
棒グラフであれば、地域と商品名に加え、グラフの「幅」や「色」で売り上げの大小を示すことで直感的に傾向を把握できる。また、同時に表示されているツリーマップの一部をクリックすると、別のグラフ表示でも、クリック操作に対応した場所が強調表示される。商品名をダブルクリックすると商品別の売上グラフが作成される。関係性の把握がこのようにシームレスに行えることで、分析作業に乗り出しやすくなっているのだ。
デモンストレーションの後、再び壇上に登った前中氏は、「各種グラフで現状を容易に可視化できることで、部門ごとの売り上げやシェア、対前週比の比較といった販売分析もクイックになり、顧客分析や市場分析などの分析業務にも時間をかけて取り組めるようになりました。加えて、業務時間はトータルで確実に減少しています」と力を込める。
データ分析は手間暇のかかる仕事だ。それが効率化され、AIによるアドバイスが加わることで分析の幅と深さは自ずと増す。市場と技術の成熟化により新たな差別化施策が困難になる中、分析者のサポートをする機械学習機能を備えたセルフサービスBIは働き方改革を超えた新たな競争の武器となるはずだ。
担当顧客の急増が売り上げ拡大の"壁"に
働き方改革で行うべきことはITツールの活用以外にも、就業規則の改定などの制度改革や労働環境の整備など多岐にわたる。日本オラクルにおける中堅・中小企業のお客さまへの取り組みについて講演したのは、同社執行役員でオラクル・デジタル本部長を務める本多充氏だ。
「当社の商談と言えば、通信事業者や金融機関などの大手企業のお客さまを中心に製品・サービスを販売する、大規模プロジェクトを多く頂いておりました。しかし、我々が今、新たに力を入れている次世代クラウド・インフラストラクチャをはじめとするオラクルのGeneration 2 Cloudサービスなどのクラウド事業では、スタートアップを含む中堅・中小企業のお客さまからもお話をいただき、従来と比較して、小規模の商談を扱うことになります。必然的に従来からの営業手法などを抜本的に見直す必要があったのです」(本多氏)
従来とは大きく異なる働き方が必要とされたゆえにオラクル・デジタルは発足当初からいくつもの課題を抱えていたという。その1つが、営業活動に十分な時間を確保できないことだ。
クラウドはデジタル革新を加速させる現実解に位置付けられ、そこでのオラクルの強みが、IaaSからPaaS、SaaSまでの網羅的な提供を通じて、顧客ビジネスを多面的に支援できることだ。ただし、中堅・中小企業の中にはそれらに対する理解が乏しいところも現段階では少なくない。
こうした中にあっては、顧客への手厚い情報提供が商談の鍵を握る。ただし、オラクル・デジタルがターゲットとするのは、すでに述べた全国津々浦々の数万社。必然的に営業スタッフあたりの担当顧客数は、「多い時で一日当たり50~100社に電話をかけるほど」(本多氏)に達し、そのことが売り上げ拡大の"壁"となっていた。
また、「情報共有の困難さ」にも悩まされていたという。クラウドサービスは競争が熾烈で進化が早く、「提案内容や顧客ニーズの把握、技術知識の共有・アップデートなど、月に1回程度の会議では情報の鮮度が維持できない。到底、他社に太刀打ちできません」(本多氏)。だが、上記の状況にあって、時間捻出も現実的に極めて困難であったのだ。
ツール選択とオープンスペース化で改革を推進
オラクルでは世界中で、顧客のデジタル革新の支援拠点として「Oracle Digital Hub」を設置している。日本のオラクル・デジタルの新たな活動拠点として2018年12月に整備されたOracle Digital Hub Tokyoの特徴は、「最適なツール選択による業務効率化」と「オープンスペース化による情報共有の促進」の2つだ。
まず「最適なツール選択による業務効率化」の代表例が、1つのデスクに複数のモニターを設置した「マルチスクリーン」だ。「一方で常にメールを確認し、もう一方で顧客の最新情報を確認したり、業務を行ったりなどモニターの使い方は社員によってさまざまですが、一度使えばその便利さを理解できるはず。業務効率が上がったとの社員の声も数多く寄せられています」と本多氏は説明する。
いくつもの資料を同時に確認できるよう、デスクも一般のものより大型(幅160cm)だ。より多くのスタッフを配置できるよう、これよりも幅の狭いデスクでレイアウトを組んだところ、それでは生産性が低下すると指摘されたという。ちなみに、写真でわかるとおり、デスクは昇降式になっている。昼食後の眠気が差す時間帯などは、立ち仕事に切り替えると集中力が持続しやすいそうだ。
一方、「オープンスペース化による情報共有の促進」は、フロア内にオープンな打ち合わせスペースがいくつも用意されていることからも容易に見て取れる。
「情報共有で最も伝達速度が速いのは口コミです。そこで、誰でも話が聞け、関心があれば気軽に勉強会などに参加できるようにしました」(本多氏)
この打ち合わせスペースを含めて、フロア内のいたるところに大型モニターを配置。社員間の打ち合わせのほか、顧客とのビデオ会議にも活用することで、出張の時間を削減しつつ、顧客への十分かつ丁寧な情報提供を実現できているという。ちなみに打ち合わせスペースのモニターには4台までのPC接続が可能なケーブルも用意されている。いちいちケーブルを差し替えずにPCを切り替えられるので、各自の持つ情報を手軽に共有することができる。
オープンスペースでの打ち合わせには他の効果もある。閉じた空間ではミスに対するちょっとした注意も厳しい叱責となりかねないが、「オープンスペースであれば周囲の目もあり、言葉が建設的な提言に変わります。その結果、オフィスの雰囲気も良くなり、仕事もはかどるという好循環が生まれます」と本多氏は頬を緩ませる。
実のところOracle Digital Hub Tokyoの開設には、働き方改革の先を見越した狙いもあったのだという。それが、優秀な若手人材の獲得だ。
「クラウドによるデジタル変革を支援するには、起業家精神あふれるデジタルネイティブな人材が不可欠です。人材獲得競争が激しさを増す中、当社に目を向けてもらうためにも、働き甲斐のある"キラキラした"職場を作り上げる必要があったのです」(本多氏)。
狙いはすでに現実のものとなっている。Oracle Digital Hub Tokyoの開設直後から若手の応募が目に見えて増えた。「副次的な効果として、自分の職場を好きになることで、社員のモチベーション向上にもつながっています」と本多氏は強調した。
人手不足が深刻化する中、企業の採用活動は厳しさを増している。優秀な人材を確保し、従業員とのエンゲージメントを強化するうえで、Oracle Digital Hub Tokyoに見えられるようなファリリティ面での改善は多くの企業にとって参考になるだろう。