特別企画
ネットワークの運用負荷を一挙に解決! ティエラコムがNTT西日本のオールインワンネットワークを採用したワケ
(2014/9/22 06:00)
西日本を中心に学習塾「能力開発センター」などの教育事業を展開する株式会社ティエラコムは、プライバシーマーク取得後、さらなる情報セキュリティー強化の一環として、数十カ所の教室に防犯用のカメラを設置。本社と教室に設置したカメラを結ぶネットワーク回線には、NTT西日本が提供するワンストップ型のIP-VPNサービス「Bizひかりクラウド オールインワンネットワーク(フレッツ・VPNワイド版)」(以下、オールインワンネットワーク)を使って、本社から遠隔で監視可能なネットワークシステムを構築している。
前回のNTT西日本へのインタビューに続き、実際にオールインワンネットワークを導入した事例として、ティエラコムに話を聞いた。
「次世代を担う人材を育てる」、西日本一帯に学習塾を展開
ティエラコムは、西日本一帯に、学習塾「能力開発センター」「山本塾」「札幌進学教室」や、個別指導の「能開個別ホロン」など約100校舎を展開。また、フランチャイズとして東進衛星予備校も開校している。
さらに、塾経営パッケージ「Bit Campus EX」などのASP事業や、合宿教育や宿泊研修の事業なども手がけている。
ティエラコムの学習塾では教育理念として「困難にたじろがない、ひとりで勉強できる子に」を掲げている。「詰め込み学習ではない、勉強のしかたを教える教育により、次世代を担う人を育てるのを理念としています」と、同社取締役 管理本部長の延原重則氏は説明する。
ティエラコムでは、このように大規模に学習塾を展開しているため、本社や各拠点の教室には生徒の氏名、住所や成績表などの大量の個人情報が集まってくる。そこで、2005年にプライバシーマークを取得するなど、個人情報の保護について全社で積極的に取り組んでいるという。
不具合発生時の切り分けに総務担当が奔走
ティエラコムでは、2007年に、さらなる安心できる教育環境づくりを目指し、各拠点の教室に監視カメラのシステムを導入している。
当初、自社で調達・導入した監視カメラシステムは、カメラをWindows PCにつなげて映像を記録。固定IPを利用したインターネット回線を各拠点に引いて、本社からはインターネット経由で映像を確認する、という仕組みだった。
しかし、このシステムを2年ほど使っているうちに、不満を感じるようになってきたという。
ひとつには、カメラのシステムが不安定だったことがある。また、通信量が増えるとネットワークが不安定になる、という現象もあった。
さらに、運用面にも問題があった。不具合が出たときに、原因がカメラなのか、ネットワーク回線なのか、ルーターなのか切り分けをするのが難しかったのだ。
同社管理本部 総務部 部長代理の上田和英氏は、「現場にいるのは学習塾の先生です。カメラやルーターなどの知識はありませんし、本業も忙しいので、本社から状態の確認を指示しても、障害に即座に対応し、適切な切り分け診断をするのは難しかったのです」と、当時の状況を説明する。
また、本社側にとっても、障害発生時の対応は大きな負担になっていた。総務部には、当然ながらシステムやネットワークに詳しい技術者がいるわけではないからだ。
ティエラコムにも情報システム部はあるが、情報システム部門は、顧客管理や営業管理システムの運用をメインとしており、監視カメラシステムは電話などと同じく総務部で管轄をしていた。
NTT西日本の提案で、新しい監視カメラシステムへリプレース
こうした状況を改善するため、ティエラコムは、電話をはじめとするさまざまなサービスで取引のあったNTT西日本に相談した。
「ティエラコム様のニーズに合うソリューションを検討し、監視カメラからルーター、そして運用負担のかからないオールインワンネットワークの構成一式をご提案し、カメラは実機を持参してプレゼンをしました」と、当時NTT西日本 兵庫支店でティエラコムの営業担当をしていた岸本英克氏(現:NTT西日本 大阪支店 ビジネス営業部 第一ビジネス営業部 担当課長)は振り返る。
更改前のシステムのカメラは単一指向性型であったが、NTT西日本の提案した監視カメラは、360度全方位を一度に撮影できるため、死角が減る。また、一教室に設置する監視カメラは1台で済むことから、コスト面でもセキュリティー面でも既存のものより、さまざまなメリットがある。
「それまで使っていた監視カメラは、いかにも"監視カメラ"という外見でした。それに対して新しく提案してもらった監視カメラは、一見してカメラとは思えないような作りで驚きました。抑止力だけを考えるとカメラらしい方がいいのですが、塾ですから、あまり意識させない方がよいだろうと思い、導入を決めました」(上田氏)。
こうして、カメラとともにシステム全体を、年間約10拠点のペースで順次入れ替え始めた。カメラで撮影した映像は各拠点のNASに保存し、必要なときには本社からネットワーク経由でチェックする仕組みになっている。映像は2カ月間でローテーションし、古くなったものは消去している。
"おまかせ型"でネットワークの運用課題が一気に解決!
本社と各教室間を接続する監視カメラのネットワーク回線としてティエラコムが採用したのが、NTT西日本のオールインワンネットワークだ。
オールイワンネットワークはIP-VPNサービスの「フレッツ・VPN ワイド」、アクセス回線の「フレッツ光ネクスト」、アクセス回線につなぐためのルーターのレンタル、24時間365日の遠隔監視(ping監視)、運用報告の5つのサービスがパッケージ化されたサービスである。
このサービスを利用すると、本社と拠点の間を、インターネットを経由せずセキュアなIP-VPNで接続できるほか、ネットワークに加えて、ルーターの監視・保守についてもNTT西日本に任せられるようになる。
ティエラコムでは2012年、31拠点にオールインワンネットワークを導入。以後、1年あたり約10件のペースで入れ替え、現在は50拠点強の監視カメラシステムを、オールインワンネットワークで本社と接続している。
オールインワンネットワーク導入により、従来のインターネット回線+固定IPサービスよりも、コストが安価に抑えることが出来ただけでなく、総務部が抱えていた運用保守にかかる稼働がほぼ無くなったことが大きいという。
「何かトラブルが起きても、電話1本でNTT西日本グループのスタッフが現場に駆けつけることができますので、NTT西日本グループの総合力を理解していただけていると思います」と岸本氏。
ティエラコムの管理本部 総務部 次長の金輪英樹氏も「以前のシステムでは、本社から蓄積した映像データにアクセスできない障害が発生した際には、どこが悪いのかわからず、障害切り分けには非常に多くの時間と労力がかかっていましたが、オールインワンネットワークの導入により、そうした問題が一気に解決しました」と説明する。
以前の回線に比べるとフレッツ・VPNワイドは回線も安定しており、「導入後、大きなトラブルは起こっていません」と上田氏は語る。
幸いなことに、本格的に監視カメラの映像を使わないといけないセキュリティー上の事故などは、まだ起こっていない。
「一度、『朝、教室に来てみたら窓ガラスが割れていた』ということがありました。このとき監視カメラの映像を確認してみたら、熱膨張で自然に割れていたことがわかりました(笑)」(金輪氏)。遠隔監視カメラとネットワークがなければ事態の把握までに時間がかかったことは想像に難くないだけに、ある意味では、活躍したと言えるのかもしれない。
社内スタッフのような信頼感と対応力が決め手に
2012年秋からは、本社と全教室(約100拠点)で一斉に、アナログ電話からひかり電話への切り替えを実施した。このとき、監視カメラ用のネットワーク回線をひかり電話と共用することで、さらなるコストダウンも実現している。
「当時、通信コストが安価だったため、NTT西日本以外の他社アナログ電話回線を採用していた時期もありました」と上田氏。すでにある監視カメラ用のオールインワンネットワークが活用できるコスト上のメリットもあり、NTT西日本のひかり電話への更改を決めた。
コストメリットのある提案を採用するのは当然だが、同時に十数年にわたるティエラコムとNTT西日本との関係も重要だったという。「新規の受注のみ一生懸命になる会社はたくさんある。しかし、受注をしたらあとはもう知りませんという会社が多いのも事実。新規契約だけではなく、その後のフォローも総合的に対応し、多岐にわたる我々の要望に真摯に相談に乗ってくれるのは、他社にはない」と延原氏は語る。
監視カメラとオールインワンネットワークの件についても、「システムの導入検討の際には、こちらから課題を投げかけると、その課題を踏まえた上でしっかりと対応してもらえている」と金輪氏は評価する。
前営業担当である岸本氏は「ビジネスですから、価格面やメリットがしっかり提案できなければ、他社に乗り換えられてしまいます。永いお付き合いですが、決して馴れ合うことなく、緊張感を持って真摯に対応してきたから今があると思います。ティエラコム様とは末永くベストパートナーとしての関係を築いていきたいと思っています」と両社の関係を説明した。
延原氏も、「NTT西日本はいつでも、社内スタッフであるかのような感覚で対応してくれているし、非常に信頼度は高い。当初は電々公社のお役人というイメージがあったが、一緒になって課題解決に向けて対応をしてくれている。サービス契約は企業間でするものとはいえ、最終的には『人』と『人』ではないでしょうか。NTT西日本は、対応してくれる人のレベルも高くて、満足しています」と、対応力の高さを評価していた。
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ティエラコムの事例は、NTT西日本の提案力と、"おまかせ型"でネットワークの運用保守の課題を解決できるオールインワンネットワーク、そして長年にわたる信頼関係を構築して成功を収めた好例といえよう。また、オールインワンネットワークは、企業の本社と拠点間を結ぶデータ通信ネットワークとして利用するオーソドックスな利用形態以外に、今回のティエラコムの事例のように遠隔拠点の監視ネットワーク等、様々な用途として利用できるネットワークである。ひかり電話サービスと同時に利用できるメリットもあり、様々なシステムの構築を考える上で、企業ユーザーにとって有益なヒントになるのではないだろうか?
次回も、オールインワンネットワークの特長を活かしたBtoBtoBモデルでの活用事例をお届けする。