特別企画

仮想環境に特化して設計された新世代ストレージ「Tintri VMstoreシステム」【前編】

仮想化時代を支えるTintri独自のアーキテクチャについて

業界に先駆けてVM-Aware Storageの製品化にこぎ着けたTintri

 このように、多くのシステムが仮想化されつつある現在、ストレージシステムも仮想環境に適したものが強く求められている。仮想環境では、仮想マシンごとにディスクスペースを割り当て、さらにはストレージ自身が仮想マシンの存在を認識した上で、それぞれの仮想マシンが適切なパフォーマンスを発揮できるように振る舞ってくれるものが望ましい。

 近年では、こうした仮想環境特化型のストレージを『VM-Aware storage』と呼んでいるが、このVM-Aware storageをいち早く製品化したのがTintriである。Tintriは、2008年に設立されたストレージ専業ベンダーで、2011年3月に最初のストレージ製品『Tintri VMstoreシステム』(以下、VMstore)を発表している。

 VMstoreは、連携可能なハイパーバイザーとしてVMware vSphere 4.1および5.xをサポートする。また、VMstore本体にはGigabit Ethernetまたは10Gigabit Ethernet(上位モデルの標準、それ以外のモデルはオプション)ポートを備え、上位の仮想マシンとVMstore間をNFS経由でやり取りする形がとられる。

 Tintriの会社設立から最初の製品を発表するまでに約3年の期間を要しているが、Walters氏はその当時の状況を「私たちの強い思いを製品としてまとめ上げるにあたり、それがお客さまにとって本当に必要とされているものでなければなりません。このため、会社設立からの約3年間は、お客さまからできる限りの要望を聞き出し、私たちが目指すべき正しい方向性を見つけることに注力していました」と振り返る。

 さらに、Tintriの経営陣やエンジニアたちの経歴を調べると実に興味深い。特に技術畑のスタッフは、先進的な仮想化技術やストレージ技術を持つVMware、NetApp、Data Domainの出身者がとりわけ多いようだ。

 これに対し、Walters氏は「Tintriのスタッフは、その経歴からも分かるように仮想化やストレージ関連の技術にとりわけ精通しています。彼らが蓄積してきたノウハウを組み合わせることで素晴らしい製品が誕生することも想像に難くありません。しかし、Tintriは仮想環境に特化した唯一無二のストレージ製品を作り上げるため、既存のベンダーでとられていたような考え方を極力避けて通ってきました。そのようにして一から作り上げた製品が当社のVMstoreなのです」と説明する。

(伊勢 雅英)