特別企画
アプリケーションを整理し、ガイドし、さらに自動化する――、Citrix Workspaceが支援する業務効率化への取り組み
米Citrix幹部に聞く
2019年12月5日 06:00
米Citrixは、業務アプリケーションを利用するためのクライアントプラットフォーム「Citrix Workspace intelligent experience」を、2019年5月に発表した。年内のGA(一般提供開始)を予定している。
本稿では、Citrix Workspace intelligent experienceとその背景について、米Citrix グローバルプロダクト&テクノロジー戦略担当副社長兼CTOであるクリスチャン・ライリー氏に話を聞いた。
製品からプラットフォームへシフト
Citrixは2018年5月にCitrix Workspaceアプリを発表した。Citrix Receiverをベースに、業務で使うWindows、Linux、SaaS/Web、モバイルといったアプリケーションへのアクセスを統合し、シングルサインオン(SSO)を提供するものだ。
Citrix Workspace intelligent experienceは、このCitrix Workspaceアプリの新版といえる。
Citrix Workspaceの背景として、ライリー氏は「Citrixは、製品だけを提供するのでなく、プラットフォームを提供する企業へとシフトしている」と説明した。独立したプロダクトではなく、包括的なソリューションとして展開するというわけだ。
「アプリケーションをSaaSに移行したり、従来のワークロードをクラウドに移行したりといったように、お客さまの環境は大きく変わってきている。それに伴いCitrixも、仮想、物理、Web、SaaS、モバイルなどをどのようにサポートするかについて考えてきた」(ライリー氏)。
機能ごとに分解したマイクロアプリを集約して利用者をガイド
Citrix Workspaceの今回の変更について、ライリー氏は「整理からガイドへ、さらに自動化へ」という言葉によって説明する。
2018年にリリースされた最初のCitrix Workspaceは、オンプレミスやWeb/SaaS、モバイルなどのアプリケーションを1カ所に集めるという「整理」を目的としていた。
このリリースに伴って企業ユーザーを調査し、1人が1日平均の40アプリケーションを使っていることを知ったという。単純な作業のために、さまざまな複雑なアプリケーションから情報を取得している。また、SaaSアプリケーションも非常に複雑ということもわかったとのこと。
そこで、新しいCitrix Workspace intelligent experienceでは、目的のアプリケーションを簡単に使えるようにする「ガイド」を目的とした。
具体的には、SaaSなどのさまざまなアプリケーションを機能ごとに解体し、「マイクロアプリ」という形でCitrix Workspaceに組み込む。
Citrix Workspaceの画面でマイクロアプリを選ぶと、そのアプリケーションに遷移するのではなく、その場で必要な情報を表示したり、フォームに入力したりできる。これは、マイクロアプリがアプリケーション本体と通信し、そうした機能を呼び出すことで実現しているという。なお、マイクロアプリは、2018年11月にCitrixが買収したSaphoの技術によるものだ。
さらに、Citrix Workspaceの画面中央の「Activity」では、そのユーザーに関連の高い処理やアプリが自動的に表示されるようになっている。これは、ユーザーの行動などを元にバックエンドで機械学習によって選ばれていると説明した。
マイクロアプリは、Citrixとのパートナーシップにより、各ベンダーから提供される。すでに100~120ほど用意されているという。
それ以外に、ユーザー企業側でマイクロアプリを開発することもできる。そのための開発ツール「Citrix Workspace Microapp Builder」は、Citrix Workspace intelligent experienceと同時に提供される予定だ。なおCitrix Workspace Microapp Builderでは、プログラミング不要のドラッグ&ドロップで開発を行えるという。
長期的には自動化へ
その先の長期的ビジョンが、前述した「自動化」だ。これについてライリー氏は、機械学習型とユーザー定義型の2とおりの自動化について語った。
機械学習型ではシステム自体が学習し、ルーチンのタスクを完全に自動化するという。「これにより、従業員は本来の業務に専念できる」とライリー氏。
もう一方のユーザー定義型では、いろいろなシステムを組み合わせてワークフローを作れるようにするという。「これにより、複数のタスクを複数のシステムにわたって実施できる。これは既存のRPAと競合するものではない。複数のアプリケーションや画面を切り替える従来型の作業から、統合型のプラットフォームにするものだ」とライリー氏は語った。