特別企画

現場のコミュニケーションを盛り上げる――、成功するビジネスチャットの選び方

 ビジネスのコミュニケーション手段としては長らくメールが使われてきたが、スマートフォンなどのモバイル活用、それに伴うユーザー拡大などの変化を受け、より手軽に、誰もが使えるツールが求められるようになった。

 そうした中で世界的に注目され始めたのが、「ビジネスチャット」「メッセンジャーツール」などと呼ばれるクラウドベースのサービスだ。簡単に言えば、プライベート領域で広く普及しているLINEなどのコミュニケーションアプリをビジネス向けにカスタマイズしたもので、タイミングを逃さない簡潔なやり取り、スタンプを利用した気持ちが伝わるコミュニケーションなどが高く評価され、多くの企業で導入が加速している。

物事をなかなか決められないメールに代わる、新たなツールが求められている

 ビジネスの主要なコミュニケーションツールとして、まず思い浮かぶのがメールだろう。だが、メールのやりとりは延々とリプライやフォワードが繰り返されるばかりで、物事がすんなり決まるケースは意外なほど少ない。

 「ビジネス文書」として、あいさつなどの体裁を整えないと相手方に失礼とされる風潮もあり、1通のメールを作成するのにも非常に手間がかかる。結果、後回しにしているうちにどんどん返信が遅れる、時間が経つうちどんな用件だったか忘れてしまうといった悪循環に陥ってしまうのだ。

 では、グループウェアの掲示板や社内SNSなどの情報共有基盤はどうかといえば、こちらもビジネス上の議論は一向に盛り上がらないのが現実だ。積極的に情報発信を行っているユーザーはごく一部で、大多数は傍観しているだけである。

 ところがプライベート領域のコミュニケーションに目を向けてみると、まったく異なる状況が広がっている。いまや日常の主なコミュケーション手段として使われているのはチャット(メッセンジャー)ツールだ。伝えたい用件だけを単刀直入、簡潔にやりとりできるツールの便利さ、楽しさを知ったユーザーは、もはやメールには戻れない。

 ちなみに、その代表格であるLINEの国内利用者数は、すでに6800万人(日本の人口の53.6%)を超えている。驚くべきはその高いアクティブ率で、実に70.8%のユーザーが毎日LINEを利用しているのである。

LINEの月間アクティブユーザー数(MAU)は、2016年6月時点で4100万人を突破したという(出典:LINE株式会社)

 一般的なアプリケーションは、ユーザー数が増えるほど関心の薄い層も取り込んでいくことになるためアクティブ率は下がっていく。LINEはそれとは逆に、「皆が使うから自分も使う」という好循環でアクティブ率を高めている。

 こうした状況を見たとき、企業内のコミュニケーション手段も再考すべき時期を迎えているようだ。現在はスマートフォンに象徴されるように、コンシューマ側で発展してきたテクノロジーが続々と企業に流入してくる時代である。

 実際、LINEについてもすでにかなりのユーザーが、いわゆる"シャドーIT"の形で業務利用していると見られる。だからこそ、なし崩しではない新しいビジネスコミュケーションのあり方を、今のうちから社内に確立しておくことが求められているのである。

日本企業のコミュニケーション習慣に合ったツールを読み解く5つのポイント

 「そもそもコミュニケーションはスタイルが重要。日本企業の組織文化やコミュケーション習慣に向いていないツールは活用されません」と説くのは、LINEの兄弟会社として設立されたワークスモバイルジャパンのプロダクトマーケティング・セールスサポートチームで統括ヘッドを務める萩原雅裕氏である。

ワークスモバイルジャパン プロダクトマーケティング・セールスサポートチーム 統括ヘッドの萩原雅裕氏

 具体的に日本企業には、どのようなコミュニケーションが"合っている"のだろうか。萩原氏が示すのが、次の5つのポイントだ。

 第1は、オープンとクローズの両方のコミュニケーションニーズに対応できること。欧米から普及が始まった社内SNSは、「組織の壁を取り払ったオープンな場で、アイデアを共有することでイノベーションを起す」という思想のもとで作られている。しかし、日本企業のユーザーはどうしても気おくれしてしまい様子見になりがちだ。やはり知っている者同士のクローズドな環境でないと議論は進まない。「すなわち社内SNSとメールの中間にホットスポットがあるのです」と萩原氏は語る。

 第2は、既存の時間がかかるメールのやりとりをスピードアップできること。実際のビジネスでは、「電話で割り込むほどではないが、早めに伝えておきたいことがある」「ちょっと話せば解決することなので、いちいちメールを送りたくない」といった場面が非常に多い。まさにこのコミュニケーションニーズにフィットしたのが、LINEなど のチャット(メッセンジャー)機能である。

 第3は、誰にでも使いやすく、なじみやすいツールであること。企業の隅々にまでPC操作などの高いITスキルが浸透しているとは限らず、むしろこれまでITの恩恵を受けることが少なかった業務現場とのコミュニケーションをいかに活性化させるかが、重要な鍵を握っているのだ。「コミュニケーションツールの使い勝手の良さは、成果に直結します」と萩原氏は強調する。

 第4は、セキュリティと管理機能、サービス性能が自社のニーズに合っていること。企業内のコミュニケーションのあり方は千差万別であり、自社の運用(ポリシー・利用者・利用環境)に合わせて柔軟にセキュリティの設定や管理を行える必要がある。加えて、サービスの安定性やパフォーマンスにも配慮し、コミュニケーションニーズを妨げないことも重要だ。

 第5は、思いや気持ちを伝える意義を軽視しないこと。ビジネスコミュケーションというと効率やスピードに重きが置かれがちだが、例えばメールで微妙なニュアンスが伝わらず、トラブルになったことは誰しも経験があるだろう。思いや気持ちといった感情を共有しないと、本当の意味でのビジネスコミュケーションは成り立たないのだ。「スタンプを使うことで感情や温かみまで上手く伝えることができれば、これまでメールではやり取りされなかったような内容が組織内でコミュニケーションされるようになり、仕事がスムーズに進むようになります」と萩原氏は語る。

LINEの使い勝手の良さを継承した新世代のビジネスチャットWorks Mobile

 上記のポイントを踏まえ、ワークスモバイルジャパンが2016年1月より提供を開始したのがWorks Mobileである。クラウドベースで利用できるビジネスチャットのサービスだ。全体感としてLINEとほぼ同じユーザーインターフェイスを継承しているため、プライベートでLINEを使ったことのあるユーザーであれば、特別な研修も受けることなくすぐに使い始めることができるだろう。

 モバイルでもPCとほぼ同じフル機能が使えるのも、Works Mobileの大きな特長だ。「店頭販売や巡回サービスの現場など、これまで社内システムのアカウントやメールアドレスを付与されていなかった社員にもコミュニケーションを拡大していく上で、スマホさえあれば使えることは非常に重要なのです」と萩原氏は言う。

 標準的な機能としては、特定メンバーや所属部門、任意のグループとタイムリーなコミュニケーションを行う「トーク」、同じトークグループ内のメンバーと情報共有やディスカッションを行う「チームルームノート」、全社や組織全体に対する情報周知や記録を行う「ホーム」の大きく3つがあり、オープンとクローズドの両方のコミュニケーションに対応することが可能だ。また、上位プランでは、メールやカレンダー機能なども含めた統合コラボレーションサービスを利用することができる。

(左から)トーク画面、トーク画面にノートが投稿された状態、ノート画面
ホーム画面

 これらの機能をシームレスに連携させることで、「例えば特定のメンバーと1対1でトークを行っている過程で議論が盛り上がってきた際に、関係するメンバーに召集をかけてチームミーティングに移行するといったことも可能です」と萩原氏は言う。

 LINEキャラクターのスタンプを使って「思いや気持ちが伝わる」コミュニケーションを容易に行えることも、多くのユーザー企業から高く評価されているポイントだ。

スタンプの例

 もっとも、ビジネス専用のコミュケーションツールとして設計されたWorks Mobileには、LINEとは根本的に異なる部分も多い。ユーザー管理もそのひとつだ。LINEでは誰とでも「友だち」になることができるが、セキュリティや情報漏えい防止が厳しく問われるビジネスシーンでは、さすがにそうはいかない。「Works Mobileは特に日本企業で必須となる階層的な組織情報(アドレス帳)と連動したユーザー管理によって、全社的なガバナンスを効かせたアクセス制限を行うことができます」と萩原氏。

管理画面

 セキュリティ対策としては、ほかにもIPアドレスによるアクセス制限、モバイル端末へのファイルダウンロード禁止、紛失時のモバイル端末初期化、アクセスブロック、パスワードポリシー設定といった管理機能を自社の運用に合わせて取捨選択し、設定することができる。また、国内データセンターからサービスを提供すると共に、ISO/IEC 27001およびSOC 2/SOC 3の国際認証を同時に取得するなど安全性が裏付けられている。

 もちろん今後に向けても、Works Mobileはさらなる機能強化が期待できる。「ビジネスコミュニケーションツールは各国・各地域のローカルニーズに密着していることが何よりも重要であり、ワークスモバイルジャパンとしても日本のお客様が抱える課題やリクエストを素早く吸い上げながら改善を図り、Works Mobileの新機能としてフィードバックしていくことに注力し続けます」と萩原氏は言う。

 例えばユーザー端末にアプリをインストールさせたくない企業に向けたブラウザベースの操作環境、無料通話時の画面共有、Woks Mobileを導入している企業間でのトークなどさまざまな機能強化の構想が進められており、今後の展開が楽しみだ。

(制作協力:ワークスモバイルジャパン株式会社)