ニュース
ティントリ、仮想化専用ストレージのオールフラッシュモデル「VMstore T5000」
これまでは適用できなかった領域での利用を促進
(2015/9/24 06:00)
ティントリジャパン合同会社(ティントリ)は23日、仮想化専用ストレージ「Tintri VMstore」において、同社初のオールフラッシュモデル「Tintri VMstore T5000 オールフラッシュシリーズ(以下、T5000)」を発表した。
「Tintri VMstore」は、仮想マシン(VM)を認識しているストレージ(VM aware storage)。各VMの状況を可視化できることから、例えば、あるVMの性能が極端に落ちてしまった場合に、サーバー、ネットワーク、ストレージといった各レイヤでのレイテンシを把握可能なことから、管理者はどこに原因があるのかを容易に特定できる。
従来製品の「T800」はSSD(フラッシュメモリ)とHDDを組み合わせたハイブリッド構成で提供されてきたが、今回の新製品である「T5000」は、ハイブリッド構成ではなくオールフラッシュ構成で提供される。
従来製品でも、フラッシュメモリを有効に使うことを前提として開発されており、アクセスはリードもライトもまずSSDに行われるようになっているため、高速なI/O性能を実現している。また、データに対してはインラインの重複排除と圧縮が行われ、実容量以上のフラッシュメモリがあるかのように利用可能。HDDは、利用頻度の低いデータが格納されるのに使われている。
ティントリ 技術本部長の村山雅彦氏によれば、ハイブリッド構成の従来製品でも、要求されたデータがフラッシュメモリ上にある確率“ヒット率”は99%あるそうで、1%の違いでそんなに性能が違ってくるのかという疑問が浮かんでくる。これに対して村山氏は、「実際、これまでの利用用途の場合、99%のヒット率をVM単位で実現できれば、オールフラッシュと遜色ない性能が出せる」とする。
では、どういった領域でオールフラッシュが必要なのか。これは、「Tintri VMstore」があまり入っていなかったような、新しい領域なのだという。「仮想化が進化してくると、物理環境での利用が当たり前だったものも仮想環境に載せてみよう、という考え方が出てくる。(データへのアクセス頻度の)偏差がなく、TBを超えるようなデータをフルスキャンするDWHや、巨大なデータベース、ビッグデータ、エンジニア系の仮想デスクトップといったアプリでは、ハイブリッド構成では対応できない。そうした用途に対しても利用できるようにしたのがオールフラッシュの『T5000』だ」(村山氏)。
ラインアップには、いずれも2U筐体の「T5080」(最大VM5000)と「T5060」(同2500)を用意した。ディスク構成はそれぞれ24×960GB SSD、24×480GB SSDで、重複排除と圧縮を適用した後の論理実効容量は73TB、36TB。2つの冗長化されたコントローラの接続は、従来の10Gigabit Ethernet(GbE)ではなくNon-Transparent Bridge(NTB)を採用し、64GbpsのPCIeバスで通信させることにより、通信のオーバーヘッドや遅延を最小限にしている。
参考価格は、「T5080」が7400万円、「T5060」が5000万円。
村山氏は、「まったく同じOSが稼働するので、違う製品が出てきたわけではなく、既存製品とシームレスに使っていただける。筐体が小さくなっているので集約率を上げたいケースにも活用できるだろう」と説明。またティントリ 職務執行者社長の河野通明氏は、「日本のお客さまはオールフラッシュありきではないだろう。今の予想値では、2割のお客さま、2割の環境がオールフラッシュを選択するのではないか。コストメリットに長けたハイブリッドを大部分のお客さまが選ぶと予想しており、以前より仮想化されてきた業務やアプリは、引き続きハイブリッド構成の『T800』をお勧めしていく」と述べた。
なお今回は、オールフラッシュ構成に対応した最新OSの「Tintri OS 4.0」、ならびに統合管理ツール「Tintri Global Center 2.1」も販売を開始する。
Tintri OS 4.0では「SyncVM」を拡張し、仮想ディスクの中にあるファイル単位でのリカバリに対応したほか、SyncVMのタイムマシンがHyper-Vでもできるようになった。一方のTintri Global Center 2.1では、管理するVMに対し、グルーピングによって共通ポリシーを適用する機能を拡張し、従来から対応していたデータ保護(スナップショットとレプリケーション)に加え、手動でのQoSに対応している。