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ブリッジ、B2B型マーケティング自動化ツール「Lead Navi」 インサイドセールスのノウハウ活用で差別化

 ブリッジインターナショナルは、B2B市場をターゲットとしたマーケティングオートメーションツール「Lead Navi(リード・ナビ)」を、7月3日から提供開始する。

 セールスフォース・ドットコムのSalesCloudに対応。ブリッジインターナショナルのアクセスログ解析「AshiAto」と、スコアリングツール「SCOBLE」、トライコーンのメール配信ツール「Autobahn for AppExchange」によって構成。見込み顧客を自動的に抽出することができる。

 SalesCloudに蓄積した顧客データベースをもとに、指定した条件でメール配信対象者を抽出し、それらの対象者に、指定した時間に、指定した内容のメールを自動的に配信する。

 配信結果は、各顧客担当者の情報にひも付いて蓄積。HTMLメールによるクリックカウントの取得や、メールリンクからのオプトアウトの取得と、顧客データへの反映も可能になる。

Lead Naviの基本的な仕組み
対象者へ指定した時間に指定した内容のメールを自動的配信する「Autobahn for AppExchange」

 また、「AshiAto」機能によって、配信したメールによって訪問したWebサイトの訪問者数、セッション数、ページビュー数を集計する一方、Webサイトにタグづけをすることで詳細な情報を取得。顧客データベースと連動させて、Webサイト内での閲覧行動を自動的に蓄積する。

「AshiAto」によるWebアクセス分析

 蓄積した顧客データは、スコアリングツール「SCOBLE」によって、あらかじめ設定された条件に応じてスコアを算出する仕組み。これによって、案件化した際に、期待できる「期待規模スコア」、案件化の確度が高い「案件化スコア」などに分類し、フィールドセールスなどの営業部門へと案件を引き継ぐことになる。

 スコアのための条件設定は、顧客企業の売り上げ規模や従業員数、部門、セミナー来場回数、Webでの滞在時間やクリック頻度など、自由に設定できる。「顧客企業の属性、顧客個人の属性、顧客個人への活動履歴の属性および件数が設定できる」(ブリッジインターナショナル システムソリューション事業本部長の杉浦啓介執行役員)という。

あらかじめ設定された条件に応じてスコアを算出する「SCOBLE」
ブリッジインターナショナル システムソリューション事業本部長の杉浦啓介執行役員

 料金(税別)は、初期費用が5万円、月額費用が8万円から。月額費用は、アクセスログ解析対象となるWebサイトのページビューや、月内に送信するメール通数と送信回数により変動する。最低料金の場合には月間10万件までのメール配信が可能となる。

 「Lead Naviを構成する3つのツールを個別に導入する場合には、合計で9万円からとなっているが、Lead Naviは8万円からと、それよりも低コストで導入できる」(杉浦執行役員)という。

 また関連サービスとして、スコア設定やスコア条件、メール配信設定などを代行する設定支援サービスを用意。料金は10万円から。さらに、ユーザーの顧客情報を用いて、スコアリング運用やメール配信運用に関するコンサルティング、運用代行などを実施する運用支援サービスも、40万円からで提供する。

 「Sales Cloud以外のデータベースに蓄積された顧客情報も、運用支援サービスを通じて活用できるようになる」(杉浦執行役員)という。

案件熟成に最適化したマーケティングオートメーション

 今回の「Lead Navi」には、いくつかの特徴がある。

 ひとつは、B2Bをターゲットとしたツールであるという点だ。マーケティングオートメーションの場合、昨今では、B2Cへの取り組みが注目を集めているが、ブリッジインターナショナルでは、B2Bの案件醸成に最適化したマーケティングオートメーションツールと位置づけている点が特徴という。そのため、B2Bの案件熟成のために不要な機能は提供していない。

 2つ目には、ブリッジインターナショナルが、本業としているインサイドセールスにおいて、リード(見込み客情報)醸成のために活用している、すでに実績があるツールをそのまま使用しているという点だ。

 インサイドセールスとは、メールや電話を活用した非対面型営業手法で、新規見込み客の創出や、商談機会の醸成のほか、製品販売後の関係の熟成、継続販売、あるいは新規顧客へのアポイント獲得といった営業業務を担うもの。インサイドセールスによって醸成された案件は、対面営業を行うフィールドセールスに引き継がれ、具体的な提案を行い、商談をクロージングすることになる。

 米国では、すでに営業リソースの50%以上がインサイドセールスといわれており、日本でも、IT業界を中心にインサイドセールスを活用する動きが出ている。

 ブリッジインターナショナルでは、アクセスログ解析ツール「AshiAto」と、スコアリングツール「SCOBLE」を社内で活用し、見込み客情報の分析・評価を行って、それをインサイドセールス事業に活用してきた。

 同社の吉田融正社長は、「実績のあるツールを組み合わせることで、低コストで、気軽に使ってもらえるマーケティングオートメーションツールの提供が実現できた。メールやWebを活用して得られたリードの分析、評価を行い、成約確率の高い案件を自動的に作り出すことができる。また、マーケティング担当者は気軽にトライ&エラーを繰り返すことができ、マーケティング活動の効率化を図ることができる」としている。

ブリッジインターナショナルの吉田融正社長

 そして、3つ目には、同社が提供するインサイドセールスとの連動を図れる点だ。これは、他社が提供するマーケティングオートメーションとは大きく異なる点となる。

 「Lead Naviによって抽出されたデータは、成約の確度が高いものといえるが、当社のインサイドセールスのサービスを活用することで、より確度の高い案件へと絞り込むことができる。一般的に、セールスオートメーションで抽出された情報を、そのままフィールドセールスに引き継いでも、適切ではない案件が含まれていることがある。フィールドセールスの効率化や成約率を高めるという点でも、コールセンターを活用したインサイドセールスによって、より案件を醸成した形で、フィールドセールスに引き継ぐことができる」(吉田社長)とする。

ブリッジインターナショナルの製品、サービス領域
マーケティングオートメーションにインサイドセールスを組み合わせることでリード醸成をさらに高める

 ブリッジインターナショナルでは、個別製品として、これまでにAshiAtoで約20社、SCOBLEで約10社への導入実績があるが、今回のLead Naviでは、業種や企業規模を問わずに導入できるものと位置づけており、今年中には20社への導入を計画している。

大河原 克行