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米Microsoft、クラウドサービス「Azure」の大幅アップデートを計画
(2014/4/4 11:55)
米Microsoftは3日(米国時間)、米国サンフランシスコで開催している開発者向けカンファレンス「Build 2014」において、Microsoft Azure(Windows Azureから改称)の大幅なアップデートを明らかにした。
まず、Visual Studioから、Microsoft Azureの仮想マシン(VM)をセットアップし、アプリケーションを発行して、リモートでデバッグすることが可能になる。
さらに、Microsoft Azure上でDevOpsを実現するために、VMの構成管理を行うPuppet(Puppet Lab)やChef(Opscode)をサポートすることで、データベースやアプリケーション、Webといった3階層モデルのシステムを自動的に配置可能になる。さらに、AutoScale機能により、システムの負荷によって自動的にVMを起動して、システムのパフォーマンスを拡大していくことができるようになった。
Web関連の新機能としては、新しいStaging機能により、本番環境と開発環境を簡単に入れ替えられるようになる。これにより、システムをいったん落とさず、サービスを継続したままでWebサイトのアップデートを行うことができる。
また、処理をキューイングに入れてスケジュールに従って行うWebJob機能も追加される。Traffic Managerでは、複数のリージョンでシステムを提供している企業などに向けた機能で、ネットワーク的にもっとも近いサイトへユーザーを自動的に誘導する。これにより、ワールドワイドでのトラフィックをコントロールできる。
PaaS関連では、Active Directory(AD)の双方向性を実現。Microsoft AzureのADは、オンプレミスのADと連携して動作するだけだったため、クラウド側でADのデータを変更することはできなかった。しかし今回のアップデートで、クラウド側のADの変更をオンプレミスのADに反映することができるようになった。
また、MicrosoftのクラウドサービスOffice 365の各種機能を、APIから利用できるようにした。これにより、Office 365のSharePointの機能を利用して、モバイルからデータを文書化することも可能になった。
モバイル分野においては、iOSやAndroid端末からAzureのADにログインして、シングルサインオンすることが可能になる。
データ分野では、SQL Serverのセルフサービスリカバリ機能(自動的にデータベースをバックアップし、間違ってテーブルを削除したときにリカバリできるようにする)や、異なるリージョン間でのSQL Serverのレプリケーションをサポート。ビッグデータのHDInsightでは、Hadoop 2.2やYARNのサポートなどが行われている。
もっとも大きな変更は、Microsoft Azureの新しい管理ダッシュボードだろう。現在はベータテスト中だが、Windows 8のModern UIのように、タイルベースでの情報表示ができるようになっている。
また、クラウドの分析ツールも機能アップしており、負荷やトラフィックなどをチェックして、ユーザーにとって最適のVMサイズ(CPUパワー、メモリなど)をアドバイスしてくれる。分析ツールがアドバイスしたVMへ変更する場合、新しいVMサイズを指定すれば、システムダウンせず、自動的にCPUやメモリを追加してVMを変更して、パフォーマンスをアップしてくれる。
なお、ここでは、Microsoft Azureに新しく追加される機能を簡単に紹介したが、より詳細な解説はクラウド特捜部の連載内で行っていく予定だ。