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デル、低価格化したオールフラッシュSANストレージ「SC4000シリーズ」

アジア太平洋地域で先行発売

Dell Storage SC4020

 デル株式会社は、オールフラッシュソリューション向けストレージアレイ「Dell Storage SC4000シリーズ」を発表した。今年4月から、日本をはじめとするアジア太平洋地域で受注活動を開始し、5月に発売。年内には全世界で発売する。価格は、現時点では未定。4月から開始する受注活動にあわせて明らかにする考えだ。

 デル エンタープライズ・ソリューションズ統括本部長の町田栄作執行役員は、「30年前にデルはPCを直接販売するスタイルを構築し、新しい当たり前を作り上げた。今回の製品は、ストレージにおける新しい当たり前を創造することになる」と位置づけた。

 また、米Dell ストレージ担当バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーのアラン・アトキンソン氏は、「Dellは、優れた技術を、いままでにない破壊的な価格で提供することを繰り返してきた。これをストレージの世界でも実現する。当社がミッドレンジストレージ市場を開拓していく上でも、大きな意味を持つ製品である」と語り、今回の新製品に賭ける意気込みを示したほか、「アジア太平洋地域で先行して発売するのは、ファイバチャネル(FC)ミッドレンジストレージ市場の43%をこの地域が占めていることが大きい」などと述べた。

米Dell ストレージ担当バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーのアラン・アトキンソン氏
デル エンタープライズ・ソリューションズ統括本部長の町田栄作執行役員
FC市場ではアジア太平洋地域の占める割合が大きいという

 第1弾となるDell Storage SC4020は、Dell Compellent Storage Centerソフトウェアをベースとしており、2Uサイズに24ドライブを搭載。物理容量で413TBまで拡張が可能であり、ハイパフォーマンスなSANのエントリーポイントや、遠隔地や支店でのストレージソリューション需要に対応する。

 競合他社の製品と比較して、最大76%のコスト削減を実現することで、大規模SANと同様の機能を小さなスペースかつ低価格で提供できるとしている。

 また、既存のDell Compellentストレージソリューションとの相互運用が可能で、HDDやSLC/MLC SSDとの間で、データをインテリジェントに階層化。独自の仕組みにより、シングルレイヤで書き込み、マルチレイヤで読み出すことで、フラッシュの弱点を補完できるのが特徴という。さらにユーザーは、各種フラッシュドライブの間で階層化を行うことにより、1万5000rpmのHDDと同等の価格で、オールフラッシュ並のパフォーマンスを実現できるとしている。

 さらに、Dell Fluid File Systemと組み合わせ、単一の管理コンソールでブロックストレージおよびファイルストレージの双方を管理できるほか、自動階層化、レプリケーション、シンプロビジョニング、スナップショット、複数のローカルSANおよび遠隔地SANの集中管理も可能になる。あわせてDell Copilotサポートサービスにより、24時間365日のシステムモニタリングサポートを提供するという。

Dell Storage SC4000シリーズの特徴
さまざまな拡張オプションを用意する

 アトキンソン バイスプレジデントは、「低予算で高いパフォーマンスを求めるエントリー製品市場のほか、支店/部門向けあるいはディザスタリカバリ向けの分散型ソリューションとして導入、オールフラッシュストレージソリューションあるいはフラッシュとのハイブリッドストレージソリューションとしての導入など」と、ターゲットを説明。

 その上で、「HDDと同等の価格であり、最も安くフラッシュストレージを提供できる点が特徴だ。Dellが提供する新たなストレージは、1GBあたりの単価は4ドルと、トラディショナルなオールフラッシュソリューションに比べて69%の低価格化が図られ、Pure Flashストレージベンダーのソリューションと比較しても76%もの低価格化を実現する。これによって、100%のホットデータを、フラッシュに置き換えることができるようになるだろう。また、エンタープライズクラスの機能を提供しており、信頼性についても99.999%を実現している」などと、製品の長所をアピールした。

 一方、アトキンソン バイスプレジデントは、「Dellのストレージがほかの企業と異なるのは、5年間の保守を提供していること、ソフトウェアが永続的ライセンスとして提供していること、データの特性にあわせて、適切な場所に適切に可能できる階層化が可能になる点である。初期投資額は他社とはそれほど変わらないが、2年半を経過すると差が出てくる。他社は、そこで新たなハードウェアを売ろうとする。ここにはソフトウェアのコストも乗ってくる。だが、Dell製品は継続的に利用でき、適切なところにデータを格納することで効率的な運用が可能になる。6年、7年を経過した際に大きな差が出る」と語り、Dell Compellentのユーザーのリプレースが6.9年なのに対して、他社ユーザーは3.5年ごとにリプレースを実施していることなどを示した。

 また、「Dellはこの8カ月間で、9つのストレージ関連製品をローンチし、過去に例がない数の製品を投入している。500万IOPSを実現した業界トップクラスパフォーマンスを持つFluid Cache for SANや、低コストで2倍のパフォーマンスを実現するPowerVault MD3などを発表した。3週間後には、Storage Center 6.5も発表する。2014年前半には強力なポートフォリオの構築と刷新が完了する」などとした。

製品の主要ターゲット
8カ月で9つのストレージ製品をローンチ
デルのアドバンテージ
高いコストパフォーマンスを提供する

 一方町田執行役員は、「デルは国内ストレージ市場においては前年比18%増の成長を遂げ、国内iSCSI市場では22四半期連続で首位となっている。また、主戦場であるファイバーチャネルストレージ市場においても、前年比89%増という大きな成長を遂げている。デルは、ストレージ市場において伸長する余地はまだ大きい」と、国内ストレージ市場の状況を説明。

 「4年前から積極的な投資を行い、重複排除などのソフトウェア技術も品ぞろえしたほか、運用から管理まで自動化を進め、これをDell Fluid File Systemとして提供してきた。当社は、超高速オールフラッシュストレージの世界において、コストパフォーマンスの破壊を行い、この分野のリーダーを目指す」などと述べた。

大河原 克行