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トレジャーデータ、「アドホッククエリ」でより創造的な分析が可能に

大規模向けの新価格プランも

米Treasure Data 創業者兼CTOの太田一樹氏
トレジャーデータサービスの概要図

 トレジャーデータ株式会社は9日、ビッグデータ関連サービスのラインアップを追加するとともに、価格体系を刷新した。

 同社は、2011年12月に日本人3名で米国・カリフォルニア州に設立された企業。「トレジャーデータサービス」というビッグデータの収集・保存・解析を一手に行えるクラウドサービスを提供、数日で始められるプラットフォームとしての手軽さなどを特徴とする。米Treasure Data 創業者兼CTOの太田一樹氏は「既存データウェアハウスの実装プロセスが6カ月~1年間かかるのに対し、2~3週間で月額課金制で利用できる」と利用開始までの早さをアピール。

 「トレジャーデータサービス」では具体的に、企業保有の構造化/非構造化データを収集するコネクタ、データを保存するクラウドストレージ、クエリ結果をプッシュ表示する「ダッシュボード」や他社BIツールとの連携による分析環境を提供する。

 構造化/非構造化データともに分析が可能だが、特にWeb、センサーなど非構造の新しいデータソースに強みを持ち、構造化データを管理するOracle、IBM、Teradata製品と補完するような活用事例も多い。創業して約2年だがその成長は著しく、顧客数は100以上、登録されたレコード総数は2兆5000億件を突破。その成長を太田氏は「1兆件に達するのに1年かかったが、2兆件目はそれから2カ月、3兆件目はそれから1カ月で達成しようとしている」と指数関数のグラフで説明する。

 「データ解析の世界をシンプルにする」をコンセプトとする同社のサービス。国内でもクックパッド、博報堂DYメディアパートナーズ、GREE、無印良品などで導入されている。

数値で見るトレジャーデータ
保存されているデータ量は指数関数的な伸び

 今回は、新たに「トレジャークエリーアクセラレーター」「トレジャービューワー」という新機能が発表された。

 「トレジャークエリーアクセラレーター」は、アドホック型クエリを実現するエンジン。従来はバッチ型クエリエンジンが提供されていたが、「それより10~50倍の速度を実現する」(太田氏)。また、バッチ型クエリでは毎日定時に終わらせることが目的の定時レポーティングしか行えなかったが、アドホッククエリにより「例えば、小売業なら過去数年分、数百億件のデータから、その場でバスケット分析が可能。商品開発のミーティング中に、過去データをあれこれ参照し、データを基にした商品開発が行えるなど、より高度な価値創造に利用できるようになる」(同氏)。

トレジャークエリーアクセラレーターの概要
バッチ型クエリと比べて何が可能となるのか

 一方の「トレジャービューワー」は、「トレジャークエリーアクセラレーター」を利用し、大量のデータからドラッグ&ドロップでデータを可視化できる簡易ツール。より高度な機能・要件が求められる場合、今まで通り他社BIツールの利用を推奨するが、そこまで必要としないユーザー向けに「トレジャーデータサービス」内で初めて提供する可視化ツールとなる。

トレジャービューワーの概要

 併せて、価格体系も刷新。従来の「Free」「Standard」「Custom」プランに加え、「Premium」プランを新設した。Premiumプランでは年間500億件のレコード数、20ユーザーまでの利用、専任サポートなどに対応する。専任サポートはStandardプランで提供されていたメール/チャットによる問い合わせなどを専任スタッフが24時間365日対応するもの。チケット制の緊急対応にも対応する。価格は7500ドル/月。

新たに「Premium」を追加した価格プラン

日本における今後の戦略

トレジャーデータ株式会社 ジェネラルマネージャーの堀内健后氏

 新機能の発表に続いて、トレジャーデータ株式会社 ジェネラルマネージャーの堀内健后氏が登壇。日本における状況を説明した。

 米Treasureの日本法人が設立されたのは2012年11月。2013年2月には丸の内に事業所を開設、サイオステクノロジー、ウイングアークとのパートナー契約も締結し、同年5月より国内展開を本格化した。社員は現在10名。

 日本における今後の戦略について堀内氏は、「Web関連サービス企業への浸透」「IoT(Internet of Thing:モノのインターネット)やM2M領域への挑戦」をテーマに挙げる。

 「ソーシャルゲーム、アドテック、コンシューマWebとユーザー領域が広がっているので、引き続きECサイトや情報サイトなどを運営する企業を積極的に開拓する。また、製造業が多い日本ではセンサーデータは全く新しい大きなビジネスが見込める領域。この分野に関しては日本から世界にソリューションを広げるつもりで取り組んでいく」。

 なお、今回を機に、会社ロゴも刷新されている。

新会社ロゴ

川島 弘之