ニュース

IPA、情報処理技術者試験で「セキュリティ」出題比率を向上

iパスを含む全試験区分で

 IPA(独立行政法人情報処理推進機構)情報処理技術者試験センターは29日、昨今の情報セキュリティの重要性や人材不足の状況を踏まえ、ITパスポート試験(iパス)をはじめとする情報処理技術者試験の全試験区分において、「情報セキュリティ」に関する出題の強化・拡充を図ると発表した。

出題の見直し内容

 iパスでは、情報セキュリティに関する出題比率を大幅に高める。具体的には「中分類23 セキュリティ」「中分類2 法務(うち、セキュリティ関連法規)」の出題比率を向上。一方、ITユーザー部門の従業員にとってより親和性の高い出題構成とするため、ITシステム開発寄りの出題比率を下げる。マネジメント系でも「中分類8 システム開発技術」および「中分類9 ソフトウェア開発管理技術」の出題比率を低減。そのほか、全分野において技術的に細かい内容を問うものを排除し、学習した知識が実務に生かせるような出題に継続的に取り組むとしている。

 基本情報技術者試験(FE)、応用情報技術者試験(AP)では、午前試験において「中分類11 セキュリティ」の出題比率を向上。午後試験において「情報セキュリティ分野」を選択問題から必須問題に変更する。

 また高度試験についても、「中分類11 セキュリティ」の出題比率を高くする。

 適用時期はiパスが平成26年5月7日以降の試験から、FE、AP、高度試験は平成26年春期試験からとなる。

情報セキュリティの重要性と人材不足

 昨今、インターネットやスマートデバイスの普及で国民全体がITに触れる機会が向上。企業活動においても標的型サイバー攻撃やWebサイト改ざんなど、インターネットに接続されている広範な機器・システムへの攻撃が相次いでおり、「情報セキュリティ」の重要性が増している。その一方で、2013年6月10日に政府から公表された「サイバーセキュリティ戦略」では、現在情報セキュリティ人材は潜在的に約8万人が不足していると指摘されており、人材整備が急務となっている。

 このような背景を踏まえ、2013年6月14日に閣議決定された国家戦略「世界最先端IT国家創造宣言」では、情報モラルやセキュリティに関する知識の向上や実践的な高度IT人材の育成が必要であると盛り込まれ、また「サイバーセキュリティ戦略」においても(今後の新たな課題に対して)情報セキュリティ人材の発掘、育成、活用を進めることが必要であると盛り込まれている。

 加えて、2013年10月にIPAが実施したアンケート調査によると、「資格取得や試験勉強などを通じて、今後身につける必要がある知識」で「情報セキュリティ」と回答する技術者が約5割と最も多く、情報セキュリティ技術の習得や強化のニーズは高いといえる。

 今回の施策は、こうした状況を踏まえ「情報処理技術者試験が、わが国全体における情報セキュリティに関する知識を含めたITリテラシーの向上、及び情報セキュリティ人材をはじめとする高度IT人材の育成・確保に資することを目的」(IPA)としたものとなる。

川島 弘之