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IPA、基本情報技術者試験と情報セキュリティマネジメント試験を通年試験化

 IPA(独立行政法人情報処理推進機構)は25日、国家試験である基本情報技術者試験(FE)および情報セキュリティマネジメント試験(SG)を、2023年4月から通年試験化すると発表した。

 基本情報技術者試験(FE)は、ITに関する基本的な知識・技能を評価する国家試験。これまでの応募者総数は約915万人、合格者総数は約115万人。情報処理技術者試験の中で累計応募者数が最も多い試験区分で、ITエンジニアの登竜門という位置付けの試験となり、応募者数の約7割が社会人、約3割が学生。

 情報セキュリティマネジメント試験(SG)は、組織の情報セキュリティ確保に貢献し、脅威から継続的に組織を守るための基本的な知識・技能を評価する国家試験。現在までの応募者総数は約20万人、合格者総数は約10万人。部門における情報セキュリティリーダー向けの試験となり、応募者数の約9割が社会人、約1割が学生。

 これら2つの試験区分では、新型コロナウイルス感染症の拡大などを背景として、2020年12月からCBT(Computer Based Testing)方式による試験を実施してきた。今回、IPAでは、さらなる利便性の向上を目指し、通年試験化に向けて、試験の実施方式、出題範囲などの変更内容を公開した。

 通年試験化により、これまで年2回(上期・下期の一定期間)実施していた試験を、受験者が都合の良い時期・日時を選択して受験できるようになり、年間の受験可能回数も増えることになる。併せて、試験時間を短縮することにより、受験者の利便性が高まるとしている。

 変更後の試験は2023年4月から開始の予定で、2試験区分(FE、SG)を通年試験化し、随時受験が可能となる。試験の申し込み方法、受験規約などの詳細については、後日改めて通知する予定。

 出題形式については、小問形式への変更による午後問題のコンパクト化、出題数・解答数の変更などによって、試験時間を30~40%短縮する。具体的には、FEの試験時間を300分から190分に、SGの試験時間を180分から120分に短縮する。また、FE、SGともに、午後問題をコンパクト化した小問のサンプル問題を公開するとしている。

 出題範囲については、FEではこれまで、疑似言語(アルゴリズムを表現するための疑似的なプログラム言語)と併せて、個別プログラム言語(C、Java、Python、アセンブラ言語、表計算ソフト)による出題を実施してきたが、普遍的・本質的なプログラミング的思考力を問う疑似言語に統一する。

 IPAでは、今回の変更で、多くの受験者が試験を受けやすくなることによるIT人材の裾野拡大を目指し、2023年4月からの通年試験化の実施に向けて準備を進めていくとしている。