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日本マイクロソフトがDynamicsビジネスを説明、「日本市場には大きなチャンスがある」

米Microsoft ビジネスソリューション エグゼクティブ バイスプレジデントのキリル・タタリノフ氏
日本マイクロソフト 執行役 Dynamics ビジネス本部長の日隈寛和氏

 日本マイクロソフト株式会社は7日、米Microsoft ビジネスソリューション エグゼクティブ バイスプレジデントのキリル・タタリノフ氏来日に伴う記者会見を開催。タタリノフ氏は、「オンプレミスでもクラウドでも、並行してビジネスアプリケーションを提供できるのは当社だけで、他社と比べて非常にユニークな点だ。だからこそ、大企業を含めた多くの企業でDynamicsが選ばれている」などと述べた。

 タタリノフ氏によれば、2013年度(2013年6月期)のDynamicsのビジネスは、グローバルで対前年比12%の伸びを見せたほか、クラウド型のCRMアプリケーションであるDynamics CRMは対前年18%増と、高い成長を記録したという。

 また、好調なのは日本でも同様だそうで、日本マイクロソフト 執行役 Dynamics ビジネス本部長の日隈寛和氏は、「過去6年、日本におけるDynamicsビジネスは2けた成長を継続している」との実績を示す。

 このように、ワールドワイドでも日本でも成功している理由はいくつかあるが、その中でも日隈氏は「ユーザビリティ」を大きな理由として挙げる。特に、ビジネスユーザーが使い慣れたMicrosoft Officeとの高い親和性を持つユーザーインターフェイスは、以前から高く評価されてきた。

 日隈氏はこの点について、「製品を開発するにあたっては、ユーザー視点で行っている。一番大きなチャレンジは、ユーザーが使いたいと思うかどうか。新しいユーザーでも簡単に使える点が大事だ」と述べ、後もこの点は強化していくとした。

 また、前述したように、オンプレミスとクラウドが並行し、常にクラウドからオンプレミス、あるいはオンプレミスからクラウドへの移行性が確保されているのも、大きく評価されているという。

 すでに、こうした移行性が確保されているDynamics CRMに加え、ERP製品のDynamics AXでも、これが踏襲されるそうで、タタリノフ氏は、「次のメジャーリリースにおいてWindows Azureベースのマルチテナント機能が用意され、クラウド上での利用がしやすくなる。しかしこのリリースにおいても、こうした移行に関する対称性は確保される。これが他社に対するユニークな点だ」と述べた。

 なお今後は、さらに日本への投資を強化していくとのこと。タタリノフ氏はその理由として、「大きな成長機会が日本にあるため」と話す。従来、日本企業はカスタムソリューションを展開していたため、CRMの市場は活発ではあるものの、成長機会が小さいと思っていた。しかし、それでは新しい要件に対応できなくなっているので、パッケージソリューションへの切り替えが望まれているというのだ。

 しかも、「.NETなどで当社のテクノロジーになれているところが多い」(タタリノフ氏)ため、抵抗感はさほどないと見ており、「ビジネスアプリケーションについてもMicrosoft製品を使ってもらうことで、フルのアドバンテージが得られる」といったメッセージにより、国内への展開を進める考えだ。

 日本マイクロソフトではそのため、新バージョンの投入(Dynamics CRM 2013)、パートナーとの協業によるソリューションテンプレートの拡大といった面だけでなく、認知度向上のためのマーケティング活動についても、今後は力を入れるとしている。

 ただし、ERPについては、すでに提供されているDynamics AXを日本向けの主力とし、米国など他国で提供されているDynamics SLやDynamics GPについては、引き続き国内での展開は行わない。

 「Dynamics AXは、法制や税制への対応を行うなど、日本向けの開発も行っているので、これを中心に展開する。売り上げ規模が50億ドルくらいまででは、SAPなどほかのレガシーERPからの置き換えを狙う。またそれ以上の規模のグローバル2000企業などでは、コアのシステムを代替するのではなく、2層のERPとして連携して展開することになる」(タタリノフ氏)。

石井 一志