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「イーサネットファブリックがネットワークを進歩させる」~米Brocade・カーニーCEO

米Brocadeのロイド・カーニーCEO

 ブロケード コミュニケーションズ システムズ株式会社(以下、ブロケード)は12日、ネットワーク戦略に関する記者会見を開催。来日した、Brocade米国本社のロイド・カーニーCEOが説明を行った。

 カーニーCEOが再三強調していたのは、サーバーやストレージといったデータセンターの他の構成要素に対して、ネットワークだけが古いままだ、という点である。サーバーやストレージの仮想化、インテリジェント化が進む中で、「20年間、ネットワークは変わっていない」という点を指摘したカーニーCEOは、これに対応するネットワークが、ブロケードの提供しているファブリック技術だとアピールする。

 SANのファブリックをEthernetに適用した「イーサネットファブリック」は、シンプルな運用性と、ECMP(Equal Cost Multi Path)によるネットワーク稼働率の向上をもたらす。同技術を利用できる「Brocade VDXシリーズ」では、2000ノード環境の設定でもわずか3行のコマンドラインで済むのに対し、競合のレガシーな製品では、実に3834行かかるとの違いを示したカーニーCEOは、「簡素化という点では、当社のネットワークは大きな進歩が見られていることがわかる」と述べた。

 実際の導入費用の比較でも、競合ベンダーの製品と比べてはるかに安価なコストで済むほか、自社の従来製品と比べても約半分のコストを実現しているとのことで、「もちろん、従来製品を売った方が当社ももうかるが、VDXシリーズは将来のネットワーク要件にも対応できるもので、お客さまにはぜひこちらを利用していただきたい」と呼びかける。

VCSシリーズと他社製品では、ネットワーク設定の手間がこれだけ違うという
それが、初期導入時のコストの違いになってくる

 もっとも、他社もイーサネットファブリック技術をアピールするようになっており、すでにブロケードだけが提供できる技術ではなくなっている。この点については、「(当社の)ファブリック技術は2、3年前に出てきたものではなく、(SANの時代から)17年手掛けてきたものだ。すでに6世代目には行っており、最適化されている」との実績を強調した。

 ブロケードの青葉雅和社長も、「イーサネットファブリックはSANからポーティングされた、6世代目の技術を利用している」と、差別化できる実績を訴えたほか、「VDXシリーズは、ワールドワイドでは1100社へ導入されており、すでに主要な国内クラウドサービス事業者の約半分が、本番環境へ導入済み。実際にお客さまから、クラウドのネットワークを作るのに適していると評価されているし、設定や運用が楽になったと言ってもらえている」と述べ、他社に先駆けて実績を残している点を示している。

 また将来のネットワークについて、カーニーCEOは、ソフトウェアでネットワークコンポーネントを制御するSDN(Software Defined Networking)と、ネットワーク機能を仮想化し、汎用サーバーの上で動かすNFV(Network Functions Virtualization)の2つより、ソフトウェア化が進むだろうと予測する。

 この流れの中でBrocadeでは、仮想ルータ技術を持つVyattaを昨年買収し、ソフトウェアルータを自社製品群に加えたほか、仮想ロードバランサーの「Brocade Virtual ADX」を5月に発表。物理・仮想ネットワークを組み合わせ、さらなる自動化を進める「オンデマンド・データセンター」構想を進めることも明らかにしている。

 その際には、イーサネットファブリック技術をOpenStackからコントロールできるようにしたことや、ロードバランサーの「ServerIron ADX」、Virtual ADX、VyattaソフトウェアルータのOpenStack向けプラグインを、2013年下期に予定されている次期OpenStackを通じて提供することも発表されており、今後もこの方面での強化が行われそうだ。

将来のデータセンターアーキテクチャ
SDNとNFVの2つがキーテクノロジーになる

石井 一志