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NTT Com、OpenFlowネットワークを実環境と同じ条件で設計・試験可能なシステムなどを開発

 NTTコミュニケーションズ株式会社(NTT Com)は11日、SDN(Software Defined Networking)によるネットワークを、実環境と同条件で設計やテストできるシステム「VOLT(Versatile Openflow vaLidaTor)」と、SDNにより通信経路や帯域をリアルタイムに変更可能なリソース制御システムを開発したと発表した。いずれも、6月12日から幕張メッセで展示会が開催される「Interop Tokyo 2013」のSDN ShowCaseに展示される。

 今回開発されたシステムのうちVOLTは、OpenFlowの実ネットワークの構成や経路情報を丸ごと複製したテスト環境を作成し、実環境と同じ条件下で新たなネットワークを設計・試験できるシステムである。

 OpenFlowによるネットワークは柔軟に設定変更や制御を行える反面、トラブル発生時の原因解析作業が複雑になるといった問題があった。VOLTではこれを解決するため、テスト環境でネットワーク構成と経路情報の組み合わせが正しいかをチェックする機能や、実データを流して正常性をチェックする機能が用意されている。

 この機能は、設計段階におけるトラブルの原因解析以外に、運用中のネットワークで故障が発生した際の原因解析にも利用できるという。また、テスト環境で設計した内容をそのまま実ネットワークに反映させる機能も備えているため、新たな拠点追加やネットワーク構成変更、サービス追加の開発時にも迅速に対応可能とのこと。

 一方のリソース制御システムは、SDNを既存のネットワークに活用し、MPLSによる1対1もしくは1対多の通信経路・帯域(パス)を、好きな時間・場所・帯域で高度に変更・制御できるシステムで、MPLSパスのコントローラと、仮想環境に対応したMPLSエッジルータ(富士通との共同開発)から構成される。

 これまでのネットワークでMPLSパスを作成する場合は、主にネットワーク管理者が個々のネットワーク装置に設定する必要があり、MPLSパスの経路や帯域を変更できたとしても、その変更には時間を要していたため、リアルタイムにネットワーク全体の状態を把握して、効率の高い一元的な制御を行うことは困難だった。

 しかし今回NTT Comが開発したシステムでは、コントローラがMPLSパスの制御を集中的に制御する仕組みを採用することで、好きな時間・場所・帯域でのパスをリアルタイムに利用できるようになったという。これにより、限りあるネットワークのリソースをさまざまなユーザー間で自由にシェアしつつ、全体の利用量の超過を防げるとのこと。さらに、これまで難しかった時間単位でのリソース確保を可能にした。

 あわせて、コントローラとMPLSエッジルータには、MPLSパスの状態をリアルタイムに把握できる新技術「Stateful-PCE」が実装され、利用するアプリケーションの品質と連動した、最適なパス制御を実現している。

 なおNTT Comでは、これらのシステムの技術検証を進め、商用利用を検討する考えである。

(石井 一志)