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NTTファシリティーズ、あらゆるICT機器に対応するHVDC給電システム
DC380VをAC200V、AC100V、DC-48Vに変換
(2013/5/9 13:05)
株式会社NTTファシリティーズは7日、販売中の高電圧直流(HVDC)給電システムについて、500kW HVDC整流装置(最高効率98%)、およびHVDC整流装置から出力されたDC380Vの電力をAC200V・AC100V・DC-48Vに変換する変換装置(HVDCマイグレーション装置)を開発完了、6月より販売すると発表した。
HVDC給電システムでは、データセンターなどにおけるICT機器への給電電圧を約380Vにすることで、通信用直流給電システムの高い品質を維持しつつ、交流給電システムと比較して消費電力量を最大20%削減、給電信頼度10倍向上、電源スペース最大40%削減の効果が期待できる。費用も交流給電システムと同等という。
しかしながら、データセンターなどに向けたさらなる導入にはいくつか課題が考えられると同社。現在ラインアップされているHVDC対応ICT製品だけではデータセンターを構成する機器をそろえることが難しく、HVDC給電システムのみでの構築が現状では困難であることや、ICT機器の高密度化に対応する大容量給電システムが必要になってきたことが挙げられる。
NTTファシリティーズは、これまでに105kW HVDC整流装置システムや分電盤、コンセントバーを開発・販売してきた。今回、変換効率をより向上させた大容量の500kW HVDC整流装置をラインアップに追加し、さらなる省エネに貢献する。
また、大容量HVDC整流装置と、HVDC給電システムを利用しながらも、従来から使用されているAC入力、DC-48V入力ICT機器への給電を可能とするHVDCマイグレーション装置をラインアップすることで、HVDC給電システムの導入を促進。HVDC対応ICT製品のみでの運用が難しい顧客においても、一般的なICT製品を使ってHVDCを活用した柔軟なシステムを構築できるようにした。
今後の展開としては、主としてクラウドサービスを提供するデータセンターでの適用を目指し展開。今回のラインアップ追加により、大規模データセンターを含めたあらゆるサイトでの導入が可能となるため、より幅広い顧客へ提案を進める考え。
一方で、HVDC給電システムを普及させるには、国際標準化が重要であるという認識の下、IEC、ITU-T、ETSIなどの国際標準化機関での活動もNTT環境エネルギー研究所と協力し、並行して進めている。標準化、規格化にあわせて各ICT機器ベンダと連携し、HVDC対応装置のラインアップもそろいつつあるが、さらなる拡充を図っていく。
また、NTTグループが提供するDC380VをDC12Vに変化するサーバーラックシステムのソリューションも含め、一体となった適用領域の拡大、システム全体の普及促進に取り組む。将来的には、データセンターだけでなく、太陽光発電システムなど直流で発電する再生可能エネルギーや燃料電池を活用・連携したスマートグリッドへの適用も視野に入れ、開発を進めていく。