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富士ソフト、クラウド型ドキュメント共有ツール「moreNOTE」のWindows 8対応版を発売

発売記念セミナーを開催、活用事例も紹介

 富士ソフト株式会社は4日、ドキュメント共有ツール「moreNOTE」のWindows 8対応版の販売開始を記念し、セミナーを開催した。

 moreNOTEは、富士ソフトが開発した、ドキュメント・動画などをクラウドやサーバー経由で共有するツール。昨年12月にiPhone/iPad用のVersion 2.0を発売したが、発売から2カ月で130社の企業が利用しているとのことで、「セキュリティ、管理のしやすさの観点から、Windows版はまだかという声をいただいていたが、3月4日、念願のWindows 8版を発売できた」(富士ソフト moreNOTE事業部の松浦直樹事業部長)。

 会場では日本HPの最新タブレット「HP ElitePad 900」が全部の席に置かれ、これを使用し、実際に操作しながらセッションが行われた。

moreNOTEの概要
Windows版の画面

ビジネス向けタブレットの本命、Windows 8との組み合わせに期待

 セミナーの冒頭、富士ソフトの代表取締役 社長執行役員 坂下智保氏が登場し、富士ソフトのキーストラテジーとして、ロボットテクノロジーとともに、クラウドを含むネット関連、さまざまなデバイスを含めたモバイル関連があると紹介。クラウドとモバイルに対応したmoreNOTEのWindows 8対応版を発売したことで、「タブレットをビジネスで利用する際の本命となるWindows 8が発売され、各社からタブレットが出そろったが、moreNOTEによってB2Bに新たな付加価値を提供していきたい」と話した。

富士ソフトの代表取締役 社長執行役員 坂下智保氏
Windows 8とmoreNOTEでタブレットの活用を促進するという

 Windows版moreNOTEは、iPad版同様の機能を持っている。動画、ドキュメント、カタログなどのデジタルデータを利用する際、データの登録は、Webブラウザで動作する管理システム「moreNOTEマネージャー」や、簡単にアップロードできるWindowsツール「moreNOTEシューター」から、クラウドあるいはオンプレミスのサーバー「moreNOTEサーバー」に行う仕組み。タブレットにデータを表示する際には、「moreNOTEアプリ」を通して表示される。

 「簡単にいえば、EvernoteやDropboxの企業に特化したものだと思ってもらえばいい。しかも、これらのツールにはない便利な機能を搭載している」(松浦事業部長)。

 ビジネスでの利用はセキュリティを重視するユーザーが多いことから、データを利用する際は三段階の認証を用意。さらに、利用するデジタルデータをクラウドやサーバーに登録する工程、クラウド/サーバーからタブレットにダウンロードする工程など全行程はすべて暗号化している。また、データの利用期間は管理者側が設定することが可能で、任意の日時のみデータを利用する設定とすることができる。

moreNOTEの特徴
moreNOTEの利用シーン
富士ソフト moreNOTE事業部の松浦直樹事業部長

コーレルや大阪維新の会などが採用

 導入事例としては、ソフトメーカーであるコーレル株式会社がこの製品を導入し、営業資料、製品案内などをスマートフォンで利用するために営業担当者が持ち歩く際に利用している。コーレルではパソコンではなくスマートフォンを利用することで、パソコン持ち歩きによって起こる事故が減り、その実現にmoreNOTEが役立っているとしている。

 データの登録は、データをスキャンした後、そのままクラウド/サーバーに登録することや、撮影した写真をそのまま登録することもできる。セミナーでは、小さなスキャナで読み込んだドキュメントがmoreNOTEシューターを経由して一瞬で登録される様子や、タブレットで撮影した写真をアップロードする様子が紹介された。

 また、登録されたタブレット間でのデータ共有については、高速に同期できるペアリング機能を搭載。Windows 8タブレットだけでなく、iPhone、iPadとの混在環境でも利用できる。ペアリング機能ではペンを使った画面への書き込みにも対応。書き込まれたデータも共有できる。

 簡単にデータを登録できるメリット、ペアリング機能を生かしている事例として、大阪維新の会の、市会議員団の例が紹介された。官報、議事録、陳情書など資料が膨大なことから、それを事務局がスキャナで読み込み、ペアリング機能を使うことで、資料共有することが容易となり、配布の手間も大幅に軽減。大量の資料の管理も容易となったという。

コーレルでの活用事例
大阪維新の会 市会議員団での活用事例

どのデータをどのくらい利用したか確認できるトラッキング機能を搭載

 タブレットごとに、どのデータを、どのくらい利用したのかについては、端末ごとにログを取得して集計するトラッキングデータによって確認できる。データを配布する対象のグルーピング、グループごとに配布するデータを決定することも容易で、ケース・バイ・ケースで配布対象、配布するデータの見直しが可能となっている。

 これらの機能を生かした事例としては、楽器の輸入・製造・販売を行っている企業の例が紹介された。この企業では見込み客にタブレットを貸し出し、中に入っているさまざまな楽器のカタログや商品紹介などのデータを自由に見てもらう。タブレット回収後、その顧客がどの楽器のカタログをどのくらいの頻度で利用しているのかを確認。その内容に応じて営業活動を行ったところ、営業成績が大幅に向上したという。

 また、富士ソフト自身でも当初、営業担当者経由でmoreNOTEを販売したところ、思うように成果が上がらなかった。ところが、moreNOTE事業部の担当者が客先に出向くと成果が出る。この違いはどこにあるのかを調べるために、トラッキングデータで営業担当者がどの程度moreNOTEを利用したのか確認してみると、営業担当者はほとんどmoreNOTEを利用していないことが明らかになった。そこでmoreNOTEを利用し、客先でプレゼンを行うことで成果が上がるという結果を明らかにすると、営業担当者の成果も大きく変わったそうだ。

 このほかの機能としては、アイコンの変更からほかのシステムとの連携まで柔軟に対応し、さまざまなシステムとの連携がとれるように柔軟なAPIを提供している。

楽器の輸入・製造・販売を行っている企業での活用例
富士ソフト社内での活用例

 価格はクラウド版の場合、1~30IDまでの利用で1IDあたり1200円、31ID以上の場合は1IDあたり600円。このほかに別途初期費として3万6000円、DISK費として1GBあたり月額1200円。

 オンプレミス版の場合、100IDまでの接続で120万円、接続数無制限版が170万円。別途保守費用が30万円、その他個別に構築費用がかかる。

“後出しじゃんけん”のメリットを最大限に生かす

日本マイクロソフト 代表執行役社長の樋口泰行氏

 3月4日のセミナーでは、発売を記念し、東京・秋葉原にある富士ソフトアキバプラザでセミナーを開始。日本マイクロソフト 代表執行役社長の樋口泰行氏、同社のエバンジェリスト・西脇資哲氏を招き、Windows 8タブレットの魅力について紹介した。

 樋口社長は、「Windows 8搭載マシンは、日本では250機種以上が登場し、遅ればせながら日本マイクロソフトでも3月15日にSurfaceを発売する。当初、Windows 8タブレットはタッチパネルの供給が追いついていなかったが、ようやく供給が追いつくところまで来た。このタイミングでタブレットを投入したことは、後出しじゃんけんではないかとの指摘もあるが、後出しじゃんけんのメリットを最大限に生かして、セキュリティ、管理性などお客さまのニーズがある機能にも対応したい」とこのタイミングでタブレットビジネスを行うメリットを強調した。

 西脇氏は、iPadの画面とWindows 8の画面を比較し、「iPadも情報を見るにはよい端末だが、Windows 8は情報を加工するのに適している。さらに、Liveタイルはアイコンをクリックすることなく、最新の情報を確認することができる」とWindows 8のメリットを強調した。

 富士ソフトでは東京以外にも、大阪、名古屋、札幌、福岡でもセミナーを実施。moreNOTEの優位性をアピールしていく。

(三浦 優子)