日立、クラウド環境の構築・運用プラットフォーム「UCP」

事前検証・テンプレートの提供で初期コストを50%削減


UCP

 株式会社日立製作所(以下、日立)は22日、ITシステム構築・運用の自動化やサーバー、ストレージ、ネットワークの一元管理を可能とすることで、クラウド環境の迅速かつ容易な構築・運用を実現する統合プラットフォーム「Hitachi Unified Compute Platform(以下、UCP)」を発表した。23日より販売する。

 同製品は、サーバー・ストレージ・ネットワークなどのハードウェアを統合し、事前検証や基本設定を済ませて提供することで、迅速なシステム導入を可能とする統合プラットフォーム。「Hitachi Storage Solutions」「BladeSymphony」「JP1」「Cosminexus」などの製品のほか、多様なシステム構築・運用で日立が培ってきたノウハウをテンプレート化して提供するのが特長。

 具体的には、新たに開発したオーケストレーション機能(IaaS基盤統合管理ソフト)を実装し、「VMware vCenter」管理画面からサーバー・ストレージ・ネットワークを一元管理するIaaS基盤モデル「Hitachi UCP Pro for VMware vSphere」と、JP1などのミドルウェアを統合し、多様なテンプレートによりITシステムの構築・運用を自動化するPaaS基盤モデル「Hitachi UCP with OpenMiddleware」の2モデルを提供する。

 IaaS基盤モデルについては、「従来各ハードウェアをそれぞれ異なる管理者が管理していたため、各管理者間の調整や連携に時間がかかり、運用手順も複雑化していたが、同モデルでは仮想サーバーの管理者がvCenterの管理画面から、すべてのハードウェアを一元的に管理できる」(日立)。

 一方、PaaS基盤モデルについては、「JP1/Cosminexusなどのミドルウェアを統合することで、ITシステム構築・運用を自動化する。具体的には、運用手順書に従い運用管理者が手作業で行っていた仮想サーバーの割り当てなどの運用作業を自動化するとともに、アプリに応じて必要となるシステム要件やパターン化したテンプレートを用意することで、PaaS基盤の構築作業を大幅に軽減する」(同氏)。

 日立 情報・通信システム社 ITプラットフォーム事業本部 事業統括本部長の橋本崇弘氏は「出荷時から基本設定がすべて済んでおり、ユーザーは任意の設定で迅速に仮想化環境を構築できるのが同製品のメリット。初期導入コストを約50%削減し、VMデプロイ時間を15日から15分に短縮、VM設計作業期間を40人日から13人日に短縮できる」としている。

UCPの提供価値

 日立では、2015年度業績目標として、売上高2兆3000億円、営業利益率8%超、海外売上高比率35%、サービス売上高比率65%を目指している。そのためにはグローバルで戦える情報・通信システム事業の推進が不可欠として、「高信頼クラウド事業」「スマート情報事業」「ビッグデータ利活用事業」に注力している。それを支えるのが「システムソリューション事業」と「プラットフォーム事業」の拡大であり、今回は「プラットフォーム事業拡大」のための施策となる。

 日立 執行役常務 情報・通信システム社 プラットフォーム部門CEOの佐久間嘉一郎氏は「新製品の特長を“グローバルビジネスを支える統合プラットフォーム”と“国内の顧客に最適な統合プラットフォーム”の2点を両立している点だ」と説明。今後は「One Platform for All Data」として、仮想化されたITリソースの効率活用であらゆる業務に対応する柔軟性の強化、アプリケーションからプラットフォームまでを含むリソース統合管理の強化、スケーラビリティとデータセンター間連携の強化を図ると展望を語った。

佐久間嘉一郎氏プラットフォーム事業のビジョンと成長戦略

 価格は、サーバー(8/16ブレード構成)、ストレージ、ネットワーク、IaaS基盤統合管理ソフト、仮想化環境管理ソフトを含んだIaaS基盤モデルが個別見積もり。サーバー(2/4//8/16ブレード構成)、ストレージ、ネットワーク、仮想化環境管理ソフト、システム管理ソフト、PaaS基盤ミドルウェアを含んだPaaS基盤ミドルが3371万6235円から。

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