インタラクティブ・インテリジェンス、最新IPコミュニケーションプラットフォームの日本語版


「CIC」の基本機能
インタラクティブ・インテリジェンス 日本支社長のキース・マーティン氏

 米インタラクティブ・インテリジェンスは23日、オールインワンIPコミュニケーションプラットフォームの最新バージョン「カスタマー・インタラクション・センター 4.0」(以下、CIC4.0)の日本語版を販売開始すると発表した。

 「CIC」は、コンタクトセンターに必要なあらゆる機能をオールインワンで提供するIPコミュニケーションソフトウェアスイート。幅広い環境に対応するオープンプラットフォームと直感的に使用できるGUIを採用しており、ユーザーニーズに合ったカスタマイズや設定変更を柔軟かつ迅速に行うことができる。また、マルチメディアコンタクトに対応しており、専用のAPIを使用することで、既存のCRM製品との統合も可能。さらに、SIP標準に完全準拠しているため、あらゆるサードパーティ製のソフトおよびハードと容易に融合することができる。

 今回、最新バージョン「CIC4.0」の日本語版をリリースするにあたり、日本支社長のキース・マーティン氏は、「最新バージョンでは、多くの新機能を追加するとともに、サポートできるユーザー数も拡大するなど、大幅な機能拡充を図っている。すでに、昨年11月から英語版の販売を行っているが、今回、日本語版として正式に市場投入する。オンプレミス型とクラウド型のどちらにも対応できるが、日本語版の発売にともない、今後は日本でもクラウド型のニーズが高まると見ており、現在1カ所の国内データセンターに加え、今年中に新たな国内データセンターを開設する」との方針を述べた。

 「CIC4.0」の主な機能強化点は、(1)アーキテクチャ、(2)ユーザーインターフェイス、(3)管理機能の拡張--の3つ。

音声制御処理を自社開発モジュール化「CIC4.0」の構成イメージ図

 まず、アーキテクチャについては、「従来までは、アプリケーションを制御する『CIC Server』と、音声を制御する他社製アプリケーションを内部連携させるアーキテクチャだったが、最新バージョンでは、音声制御アプリケーションを自社開発のモジュール『Interaction Media Server』に変更し、音声制御の処理を完全に独立させた。これにより、『CIC Server』への負荷を大幅に軽減し、ソリューション全体の信頼性と拡張性の向上を実現した」(日本支社 エンジニアリング マネージャーの浅田逸朗氏)という。あわせて、最新バージョンから「CIC Server」を仮想化環境に正式対応しており、「Windows 2008 R2 Hyper-V」と「VMware ESX 5.x&4.1」をサポートしている。

オペレータ向けユーザーインターフェイススーパーバイザー向けユーザーインターフェイス

 ユーザーインターフェイスの強化としては、オペレータ向けのクライアント「Interaction Client」を改良。「特に、旧バージョンでは、オンプレミス型の.net版に比べて、Web版のインターフェイスは弱い部分もあったが、最新バージョンでは、.net版とほぼ変わらない機能をWeb版のインターフェイスでも実現した。これにより、シンクライアント環境などでWeb版を利用しているオペレータの利便性・生産性を向上できる」(浅田氏)としている。このほか、メール取り扱い機能やエージェント・アシスタント機能などを強化している。

インタラクティブ・インテリジェンス・インク 日本支社 エンジニアリング マネージャーの浅田逸朗氏
インタラクティブ・インテリジェンス・インク マーケティング部マネージャーの田村善律氏

 「また、従来まで、スーパーバイザー向けのユーザーインターフェイスとして『Superviser』と『IC Business Manager』の2つを用意していたが、最新バージョンでは『IC Business Manager』にすべての機能を統合。さらに、スーパーバイザーアラートの編集機能や音声レコーダーの波形表示機能、インタラクションのサマリーを表示するトラッカー機能を追加した」(浅田氏)という。

 管理機能の拡張では、「Interaction Analyzer」(英語版)と「Interaction Mobilizer」を新たに提供する。「Interaction Analyzer」は、コンタクトセンターのSLA指標となるキーワードをあらかじめ設定しておき、音声認識エンジンによって、そのキーワードをリアルタイムに識別することでオペレータの評価を行う機能。一方、「Interaction Mobilizer」は、モバイルユーザー向けのコンタクトポイント拡張を支援する機能。モバイルアプリを開発するためのフレームワークを提供する。

 「CIC4.0」日本語版の投入にともなう、今後の日本市場での販売戦略について、マーケティング部マネージャーの田村善律氏は、「従来のオンプレミス型に加えて、クラウド型の『CaaS』による提案を推進していく。『CaaS』の利用によって、BCP対策や在宅勤務の用途にも対応できるとともに、初期費用や運用コストの削減を図ることができる。一方で、『CaaS』からオンプレミス型への移行にも対応していく」との考えを示した。

 「また、『CIC4.0』日本語のリリースを機に、大規模コンタクトセンターへのアプローチを強めていく。最新バージョンでは、拡張性と安定性を向上するとともに、従来の2倍の席数をカバーすることができる。これにより、大規模コンタクトセンターのニーズにも対応しやすくなった。そして、今後の課題として、認知度のさらなる向上を目指していく」と、日本市場での拡販展開に意欲を見せた。


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(唐沢 正和)
2012/5/24 06:00