シスコ、Nexusシリーズのラインアップ拡充

クラウド管理の自動化ツールなども提供


データセンタ/バーチャライゼーション事業 データセンタースイッチングプロダクトマネージャの及川尚氏

 シスコシステムズ合同会社(シスコ)は26日、Cisco Unified Fabricポートフォリオを拡充する新しいスイッチ製品を発表した。

 同ポートフォリオは、「Cisco Nexusデータセンタースイッチ」と「Cisco MDSストレージスイッチ」から構成される。

 新製品として第2世代「Nexus 7009」を発表。同7000シリーズではローエンドモデルでありながら、336個の10Gigabit Ethernet(GbE)をサポートし、「大規模データセンターだけでなく、キャンパスコアなどにも適合する製品となる」(データセンタ/バーチャライゼーション事業 データセンタースイッチングプロダクトマネージャの及川尚氏)。

 併せて、Nexus 7000シリーズ向けの新Fabric 2モジュールと新高密度レイヤ(L)2/3 10GbE F2シリーズラインカードを発表。これにより、Nexus 7000シリーズ1シャーシに768個のラインレートL2/L3 10GbEポートのパフォーマンスと、10GbEポート1ポートにつき10W未満の低消費電力を実現するという。

Nexus 7000シリーズに14RUのキャンパスコア向けスイッチ「7009」を追加従来比2倍の処理能力を持つ第2世代モジュールも

 また「Cisco FabricPath」の対応モデルに「Nexus 5500」を追加した。FabricPathは、L3ルーティングの利点である信頼性とスケーラビリティ、L2ネットワークにおける柔軟性を組み合わせたマルチパスイーサネット技術で、Nexus 5500では2011年度第4四半期に対応する予定。また、アダプタFEXおよびVM-FEXの機能(新IEEE 802.1BR標準ベース)も追加された。これにより、Nexus 5500シリーズは何千もの仮想マシンを一元的に管理することが可能になり、物理・仮想ドメインを統合し、一貫した管理運用性を提供するという。

FabricPathをNexus 5500にも対応ファブリックを仮想環境にも拡張するアダプタ「FEX」
Nexus 3000シリーズでも新2製品

 さらにNexus 3000シリーズでは、HFT(高頻度取引)、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)、ビッグデータ、Web 2.0向けに設計された「Nexus 3048」「同3016」を11月より提供する。両製品では、サブマイクロ秒低遅延と高密度40GbEオプション(10/40G 16ポート)、RJ45オプション(100M/1G 48ポート)を提供するのが特長という。

 このほか、クラウド環境の管理ツールも発表した。IaaS/PaaS/SaaSを実現するためのエンドユーザーが利用する「Cisco Cloud Portal」、サービス構築を自動化する「Cisco Tidal Enterprise Orchestrator」、ネットワークを仮想化・抽象化する「Cisco OverDrive Network Hypervisor」を含め、「Cisco Intelligent Automation for Cloud(CIAC)」として提供する。「各サービスを提供する共通統合インフラ基盤として、基本部分の自動化機能を提供し、資源活用のムダを減らしてリソース循環型インフラを実現する」(同氏)としている。

Cisco Cloud Starter Kitの概要

 また、ハードウェア・ソフトウェア・コンサルを一体化し、開発・テスト用に最適な最小構成でスピーディにクラウド環境を立ち上げられる「Cisco Cloud Starter Kit」も提供。必要な機器、設定、運用ガイドが同梱され、最短5営業日で稼働する製品として提供する。

 データセンターの役割は、一元管理されたメインフレーム環境からクライアントサーバー環境、SOA/Web 2.0による仮想環境、クラウド環境へと進化している。そうした中、シスコはデータセンター全体を1つの大きなコンピュータととらえ、サーバーという小さな箱の中で行われているリソースの割り当てがデータセンター全体で実行され、ネットワークがそのためのプラットフォームになるという構想を描く。

 その実現に向け、アドバンスドサービスなどのコンサルも提供。「シスコ社内事例や世界の多様な事例を参照したクラウド成熟度分析などを基に、顧客のクラウド展開ライフサイクルの全フェーズ(準備・計画・設計・導入・運用・最適化)に対する適切な支援を行う」(専務執行役員の富田泰正氏)としている。

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