シスコ、Data Center 3.0を進化させた新データセンターアーキテクチャ
データセンター製品およびサービスのポートフォリオを拡張
データセンター事業統括 専務執行役員の石本龍太郎氏 |
シスコシステムズ合同会社は28日、データセンター製品およびサービスのポートフォリオを拡張し、新たなデータセンターアーキテクチャ「Cisco Data Center Business Advantage(シスコ データセンター ビジネス アドバンテージ)」として展開することを発表した。
「Cisco Data Center Business Advantage」は、同社が従来まで展開していたデータセンターアーキテクチャ「Data Center 3.0」を発展させたもの。データセンター事業統括 専務執行役員の石本龍太郎氏は、「Data Center 3.0は、『ユニファイドファブリック』と『ユニファイドコンピューティング』の製品ラインアップで構成されていた。今回発表した『Cisco Data Center Business Advantage』では、ここに『ユニファイドネットワークサービス』を加えることで、3本柱にポートフォリオを拡充し、デスクトップ仮想化やパブリック/プライベートクラウドといったデータセンター仮想化への対応を実現した」と、新たなデータセンターアーキテクチャについて説明。
「このデータセンターアーキテクチャは、デーセンターの統合化・仮想化・自動化・クラウド対応を支えるものであり、当社のもつパートナーエコシステムと組み合わせることで、従来型のデータセンターにおいて効率性・機動性・変革を促すソリューションを実現する。これにより、新しいサービスの創造と収入増加、コスト削減による収益性の向上、さらには新しいビジネスモデルの確立など、顧客に新たなビジネス価値をもたらすことができる」(石本氏)と、「Cisco Data Center Business Advantage」によって新たなデータセンターのあり方を提唱していくと意欲を見せた。
新たなデータセンターアーキテクチャ「Cisco Data Center Business Advantage」 | 「ユニファイドネットワークサービス」のビジョン |
今回ポートフォリオに追加した「ユニファイドネットワークサービス」では、物理・仮想を含め、あらゆる環境やフォームファクターにおいて任意のネットワークサービスを提供できるよう設計された豊富なサービス製品を提供する。新製品として、マルチテナントクラウド環境でのセキュリティを最適化する仮想アプライアンス「Cisco Virtual Security Gateway(以下、Cisco VSG)」と、業界初のクラウド対応WAN最適化ソリューション「Cisco virtual Wide Area Application Services(以下、Cisco vWAAS)」を11月から販売開始する。あわせて、仮想スイッチの最新バージョン「Cisco Nexus 1000Vスイッチ リリースv1.4」も、ユニファイドネットワークサービスのラインアップとして11月から投入する予定。
また、「ユニファイドファブリック」と「ユニファイドコンピューティング」についても製品ラインアップを拡充。「ユニファイドファブリック」では、「Cisco Nexus 5000」シリーズの第2世代モデルとなる「Cisco Nexus 5500」シリーズの新製品「Cisco Nexus 5548 スイッチ」および「Cisco Nexus 2000」シリーズの新製品「Cisco Nexus Fabric Extender 2224TP」を9月末から販売開始する。一方、「ユニファイドコンピューティング」では、「Cisco Unified Computing System(以下、Cisco UCS)」のポートフォリオに高性能・高密度の「Cisco UCS B230 M1 ブレードサーバ」を追加し、10月末から販売開始する。
プロダクトマネージメント シニア マネージャのディーン・ホウアリ氏 |
プロダクトマネージメント シニア マネージャのディーン・ホウアリ氏は、「仮想化されたデータセンターには、俊敏性やダイナミック性を始め、アプリケーションのワークロードにあわせた柔軟性、さらにはデータセンター間でのバーチャルマシンのモバイル性など、さまざまな要件が求められる。また、管理の容易性、コンプライアンス対応のためのモニタリング機能も重要であり、これらをオンデマンドで必要に応じて提供していく必要がある。今回の新製品群によって、こうした仮想化データセンターにおけるさまざまなニーズに対応することが可能となる」と述べている。
各製品の具体的な特徴は、「ユニファイドネットワークサービス」における新製品「Cisco VSG」は、データセンターのVLANや共有コンピューティングインフラの内部およびそれらの間で、仮想マシンレベルのセキュリティポリシーを提供するための仮想アプライアンス。仮想マシンの状況に応じた、より粒度の細かいポリシーベースのコントロールや活動の監視によって、仮想化データセンターやマルチテナントクラウド環境においてクリティカルなセキュリティおよびコンプライアンス要件に対応する。
「Cisco vWAAS」による柔軟なシステム展開 |
また、「Cisco vWAAS」は、VMware ESX/ESXiハイパーバイザーおよびCisco UCS、またはx86ベースのサーバー上で作動する仮想アプライアンス経由で提供される業界初のクラウド対応WAN最適化ソリューション。プライベートおよび仮想プライベートクラウドインフラからのアプリケーション提供を高速化することで、最善のユーザーエクスペリエンスを保証する。クラウドプロバイダは、同製品によって、最低限のネットワーク設定でWAN最適化サービスを迅速に提供できるようになる。
「ユニファイドファブリック」の新製品「Cisco Nexus 5548 スイッチ」は、「Cisco Nexus 5000」シリーズの第2世代モデルとなるもので、48ポートの新型1ラックユニットを採用。同一のフットプリント内のポート密度を2倍にすることでコスト効率の向上を図っている。また、拡張モジュールスロットにおいてすべてのポートをEthernetまたはファイバーチャネルとして設定可能なユニファイドポート技術により、導入の柔軟性を強化。さらに、レイヤ3およびファブリックパスに対応することでスケーラビリティの向上を実現している。
併せてリリースする「Cisco Nexus Fabric Extender 2224TP」は、Cisco Nexus 5000用の新たなFEXオプションで、100M/1Gbps対応の24ポートを備え、2×10GEのアップリンクポートを搭載。Cisco Nexus 5000と併用することで、ラックあたりのサーバー密度が低いユーザーに新たな導入の選択肢を提供する。
「Cisco Nexus 5500」シリーズ | 「Cisco UCS B230 M1 ブレードサーバ」の概要 |
「ユニファイドコンピューティング」の新製品「Cisco UCS B230 M1 ブレードサーバ」は、Intel Xeon 6500/7500プロセッサシリーズベースの2ソケットシステムで、コンパクトなハーフシャーシにメモリ、パフォーマンス、密度の向上を実現した高密度コンピューティングプラットフォーム。トランザクションが集中するデータベースのワークロードやサーバー仮想化、デスクトップ仮想化などに最適なモデルとなっている。