シーゴ、仮想Ethernetリンクで仮想サーバー間をつなぐ「Server Fabric」~I/O仮想化を拡張


米Xsigoのロイド・カーニーCEOは、自社製品の特徴を説明した

 シーゴシステムズ・ジャパン株式会社(以下、シーゴ)は5日、自社のI/O統合ソリューションを拡張するサーバー向けソフト「Xsigo Server Fabric」を発表した。これを導入すると、I/O統合環境において独立した仮想Ethernet環境を構築できるようになるという。

 データセンターにおける通常のサーバーでは、EthernetやFC(ファイバチャネル)など複数のI/Oを利用しているケースが多く、配線が複雑化してしまっている場合がよく見られる。こうした課題を解決するためにシーゴでは、EthernetでのEthernetスイッチに相当する「I/O仮想化コントローラ」を用いて、EthernetやFCのケーブルをいったん集約。一方、サーバー側にはInfiniBandのアダプタ(HCA)を装着して、サーバーとI/O仮想化コントローラの間の接続をInfiniBandに一本化するといった手法を採用した。これによって、EthernetとFCとで最低2本必要だったケーブルの本数が半分になるため、配線の簡素化が実現する。

 このI/O仮想化ソリューションでは、最大40Gbpsの高速なInfiniBandを利用できる上、1つのケーブルを複数の仮想的な回線に分割することが可能。1つ1つの回線に対するQoSもサポートされているので、多くの仮想マシンが集約された環境においても、確実なI/Oパフォーマンスの提供が可能になるという。

 また2010年9月には、InfiniBandの代わりにEthernetを利用した新製品を投入し、サーバーに搭載されているEthernetポートを利用して、I/O仮想化を利用できるようにした。Gigabit Ethernet(GbE)や10GbEを利用する場合は、遅延や速度といった性能面ではInfiniBandに劣るものの、新たにHCAを導入する必要がないため、コスト面では有利になる。もちろん、I/O仮想化のほかの機能はInfiniBandの場合と同じように利用できる。


サーバーI/Oに潜む課題シーゴの仮想I/Oソリューションであれば、こうした課題を解決できるという

 

I/O仮想化を用いた“ファブリック”を構成する「Server Fabric」

Server Fabricの特徴
シーゴ 代表取締役の尾形一成氏

 今回発表された「Server Fabric」は、こうしたI/O仮想化を一歩進めるもの。シーゴ 代表取締役の尾形一成氏によれば、現在のデータセンターでは、仮想/物理サーバー、ストレージなどのリソース間を接続するにあたって、複雑なネットワークの設定を行わなければならず、ネットワーク管理者が苦慮しているのだという。

 また、VLANによってデータセンター内の環境を論理的に分割するのも普通で、「仮想サーバーの設定は複雑な上に、仮想サーバーのライブマイグレーションによる設定変更も強いられているのが現状。マルチテナントでサービスを提供しているプロバイダでは、VLANの複雑な設定に悩まされている」(尾形氏)。

 しかし「Server Fabric」では、I/O仮想化コントローラに接続したリソースを、PVI(Private Virtual Interconnect)と呼ばれる仮想Ethernetリンクで接続することで、こうした課題を解決できるという。PVIを構成するリソース間は、I/O仮想化コントローラのみを介して結ばれ、複雑な構成になっている通常のネットワークを通過しないことから、パフォーマンスの最大化や管理の簡素化を実現しているのだ。

 VLAN技術を利用していないことから、従来のVLAN管理で行っていたような複雑な設定変更と管理も必要なく、また管理ツール「XMS(Xsigo Management System)」により、データセンター全体の可視化を実現しており、構成変更も容易に行える。

 「Server Fabric」はサーバーにインストールするソフトウェア(ホストドライバ)として提供され、物理サーバー数に応じて課金される仕組み。価格は1サーバーあたり9万8000円からとなる。

 なお適用領域としては、1)マルチテナントの拡張、2)サーバー間通信の高速化、3)光速ストレージ環境の統合、4)VDI環境の最適化を挙げた。1)は、設定可能なVLAN数を拡張するもので、尾形氏は「通常、設定できるVLANの最大数は4096だが、PVIを使うと、1つのPVIグループごとに4096のVLANが設定可能になる」と、この意味を説明。3)では、パートナー企業のストレージアプライアンスに「Server Fabric」を搭載することで、高速ストレージ環境の提供が可能になるとしている。


Server FabricのメリットPVIの中でVLANを使用できるため、設定できるVLANの限界数を拡張可能
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