シーゴ、2Uに小型化したI/O仮想化アプライアンス「Xsigo VP560」

省スペース、スモールスタートを可能に

Xsigo VP780の特長

 シーゴシステムズ・ジャパン株式会社(以下、シーゴ)は5月11日、I/O仮想化コントローラの新製品「Xsigo VP560」を発売した。

 Xsigo VPシリーズは、サーバーのI/OをInfiniBandで集約し、I/Oリソースの仮想化を実現するアプライアンス。多数のサーバーのI/Oを仮想化することで、ネットワークやストレージ機器間接続の配線や運用管理を簡素化し、システム障害のリスクやI/O拡張コストを低減する。

 新製品は、従来の「Xsigo VP780」の全機能をサポートしながら、サイズを4Uから2Uに小型化したのが特徴。省スペース設置が可能なほか、消費電力も抑えられ、少ないサーバー台数からスモールスタートし、サーバー増設に伴って段階的に拡張できるのがメリット。


Xsigo VP78020Gbps HCA
【STEP01】スモールスタートから【STEP02】サーバー増設まで【STEP03】10GbE化と【STEP04】FCストレージの導入
【STEP05】サーバー60台の本格クラウド環境構築へ仮想化システムの構築・運用コスト削減効果
代表取締役の尾方一成氏

 発表会では、代表取締役の尾方一成氏が、「サーバーの仮想化、ストレージの仮想化が進む中、機器や運用コストの増大、作業ミスによる障害、ボトルネックなどI/Oにまつわる課題が生じた。特にクラウドでは、リソースをオンデマンドに提供する環境が必要となり、通常の方法ではケーブルが信じられないほど複雑となり、コストも増大してしまう」と、I/O仮想化が求められるようになった背景を説明。

 I/O仮想化のキーポイントとして「柔軟性」「広帯域」「低コスト」「低遅延」「高信頼」を挙げ、「当社では、1ポートあたり20Gbps、技術的には40Gbpsを実現。10Gbpsあたりのコストは1万8000円で、チップ内レイテンシを140ナノ秒に抑えるなど、これらキーポイントをすべて満たしている」とアピールした。

 また、統合管理ツールとして「Web GUIやCLI、さらにはiPhone用管理アプリケーションを提供している」とし、実際にiPhoneから遠隔地のサーバーに仮想I/Oを追加する様子を紹介。

iPhoneから遠隔地のサーバーに仮想I/Oを追加する様子を紹介クラウドのI/O環境もiPhoneで統合管理出来る

 これらのメリットを踏まえ、「Xsigo VPシリーズを利用すると、仮想化システムの構築・運用コストを大幅に削減できる。例えば、サーバー20台を3年間運用した際に、初期投資コストを19%、ランニングコストを49%、構築・運用コストを82%、合計で45%のコスト削減が確認されている」と述べた。

 価格は300万円(税別)/台。CTC/SCS/NVC/ネットワン4社の販売代理店を通じて、企業内システムのクラウド化を検討する企業に販売していく。また、日立をはじめとするソリューションパートナー製品との連携や、VMware/Microsoft/Citrix/Dell/Juniperなどの米国テクノロジーパートナーとの国内連携を図り、2011年4月末までに3億円を目指す。



I/O仮想化方式の中で「InfiniBand」の強みは?

I/O仮想化の各方式について

 なお、I/O仮想化ソリューションには、InfiniBandで仮想化するXsigo製品のほか、HPやIBMが提供する「ブレードサーバー型」、NECなどが提供する「PCI Express型」、Ciscoなどが提供する「FCoE型」が存在する。

 特に「FCoE型」については、「InfiniBandと競合する技術で、ネットワーク管理者の視点では使いやすい技術だろう。ただし、データベースやアプリケーションを重視する技術者には、I/Oの視点で最適化を図るInfiniBandが好まれる。Xsigo VPシリーズでは、FCoEに対応する技術も確立しており、今後の動向を見ながら提供する方針だ」と述べた。

 また、他社の方式がサーバーの機能として提供される一方、シーゴは独立機器を提供している。これについて「他社のI/O仮想化技術は囲い込み戦略のようなもので、環境全体にわたって利用するためには、サーバーすべてを1社でそろえなくてはならない。それに対して当社製品では、ベンダー混在でブレードサーバー、ラックマウントサーバーなどの種別も問わず、共通して利用できるのが強みだ」とした。



(川島 弘之)

2010/5/11 18:14