「新しいデバイスやサービスを企業内で使うために」、VMwareの出した答えは?

新プロジェクト「AppBlast」「Octopus」などを説明


Windows PCだけにとどまらない、エンドユーザーコンピューティング環境を提供するという
米VMware エンドユーザーコンピューティング担当副社長兼ゼネラルマネージャのクリス・ヤング氏

 ヴイエムウェア株式会社は15日、報道やアナリストに向けた説明会を開催。8月末に米国で開催されたプライベートイベント「VMworld 2011」で発表された各種製品について、解説を行った。

 今回、説明の大半を占めたのはエンドユーザーコンピューティングに関連した製品だ。ヴイエムウェアの代表取締役社長、三木泰雄氏が「従来はWindows端末、PCを中心に考えていて、今ある仮想デスクトップもWindowsを仮想化してデータセンターに置く、という考え方だが、今後は個人でも端末をたくさん持つようになり、これが変わってくるだろう」と指摘するように、最近では、スマートフォンやタブレット(スレート)端末を業務で使いたいというニーズが強くなっている。また、SaaSを始めとする便利なクラウドアプリケーションも、続々と提供されるようになった。

 しかし当然ながら、IT部門としては、このようなデバイス、サービスを野放しで利用させるわけにはいかず、セキュリティやコンプライアンスのリスクにも対応した形での、適切な利用が求められている。「VMworld 2011」では、製品・サービスが数多く発表されているが、こうしたクライアント側の仮想化を拡張するためのものを多数発表しているのは、そうしたトレンドを踏まえたものといえる。

 例えば、クラウドアプリケーションに管理機能を付加するための「VMware Horizon App Manager」では、新たにWindowsアプリケーションの管理に対応しているし、モバイル向けの「VMware Horizon Mobile」によって、1台のAndroid端末上に、業務向けとプライベート向けといった複数の環境を併存させられるようになる。米VMware エンドユーザーコンピューティング担当副社長兼ゼネラルマネージャのクリス・ヤング氏は「完全に暗号化され、分離されたワークスペースを個人の電話機に提供することで、それが企業の中に持ち込まれても、“エンタープライズフォン”として利用可能になる」と、その意義を説明した。端末メーカーとしては、LGに加えて、今回からサムスンがパートナーになった。


「VMware Horizon App Manager」は、新たにWindowsアプリケーションに対応「VMware Horizon Mobile」によって、Android端末にハイパーバイザーを搭載し、複数の仮想環境を動作させられるようにするという

 また、新たなプロジェクトも2つとして発表された。1つ目の「Project AppBlast」は、HTML5をサポートするデバイスへアプリケーションをリモート配信する技術で、「利用シーンでは、完全なデスクトップは必要なく、1つのアプリケーションにだけアクセスしたい、といったケースもあるだろう。そうした場合に、標準プロトコルであるHTML5を使って、Webブラウザで(Windows)アプリケーションを利用可能にするものだ」(ヤング氏)という。

 2つ目の「Project Octopus」は、企業内のコラボレーションを支援するもの。買収したZimbraのコミュニケーション技術と、Mozyのデータ同期技術を利用しており、企業レベルでのデータ同期や情報共有をサポートする。ヤング氏は、「企業の従業員は、IT部門の管理外でDropBoxなどを使いデータを共有し始めているが、IT部門からすれば、コントロールも監査もできないといった問題がある」という点を指摘。「Project Octopus」によって、こうした課題を解決する手段を提供するとした。

 なお今回、中核となる製品「VMware View 5」によるデスクトップ仮想化の強化も、もちろん行われている。機能としては、VMware vSphere 5との併用による3Dの強化、AvayaなどのUC(ユニファイドコミュニケーション)と連携するためのAPI、ネットワークパフォーマンスを最大75%向上させるPCoIPプロトコルの機能強化などが提供されるとのことだ。


「Project AppBlast」により、HTML5での配信を可能にする「Project Octopus」でデータ同期と情報共有を支援
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