日本IBM、コラボレ―ティブなソフト開発を実現するRational新製品
理事 ラショナル事業部長の渡辺公成氏 |
日本IBMは6日、開発支援ソフトの新製品を発売した。
提供するのは、要求・開発・テストといったソフト開発ライフサイクル全体でチームメンバーが成果物や進ちょく状況を共有してスムーズな協働作業を行う「コラボレーティブ・ライフサイクル・マネージメント(CLM)」を実現する3製品の新版と、設計に関する情報を開発メンバーと共有する「コラボレーティブ・デザイン・マネージメント(CDM)」を実現する2つの新製品。
CLMでは、要求定義を改善・効率化する「IBM Rational Requirement Composer V3.0.1」、作業管理や構成管理を行う「IBM Rational Team Concert V3.0.1」、テスト管理と品質管理を行う「IBM Rational Quality Manager V3.0.1」を発売。これら新版をシームレスに統合し、同一の画面から連携できるようにした。これにより、要求・開発・テストといった開発ライフサイクル全フェーズのデータに関連メンバーがアクセスできる。例えば、開発者が要求を再確認したり、バグ一覧からテストチームが実施したテスト結果(影響)を確認することが可能。
また、複数のツールを統合するオープン基盤技術「OSLC(Open Services for Lifecycle Collaboration)」を活用して、オフィスツールや他社製ソフトなど既存のツールと連携できる。さらにTeam Concert V3.0.1にソーシャルソフト「IBM Connections」の機能を統合。Wikiや部ログなどを活用して、例えば、エンドユーザーからのフィードバックを参考にして開発を進めるといった、開発者以外の人との協働作業を実現した。
CLMの概要 | 画面例。1つの画面に要求、開発、テストに関する情報が集約されている |
ロードマップ画面 | IBM Connections画面 |
ALM(Application Lifecycle Management)とは、ツールを用いて開発の全フェーズにおいて情報を共有し、全体最適化を図る手段である。日本IBMでは、さらに推し進めて「データの共有だけでなく、開発にかかわるすべての人のステータスも管理する、あるいは意図の共有やコミュニケーションの促進も支援する。そうやって人の関係も見える化する“コラボレーティブALM”を戦略として推進している」(理事 ラショナル事業部長の渡辺公成氏)という。
日本IBMの“コラボレ―ティブALM”戦略 | 新製品の概要 |
CDMの概要 |
一方のCDMでは、組み込み開発向けの設計管理ツール「IBM Rational Rhapsody Design Manager V3.0」、IT開発向けの設計管理ツール「IBM Rational Software Architect Design Manager V3.0」の2つの新製品をリリースする。
開発メンバー間のコミュニケーションを促進し、関連する多様な設計要素を統合することで設計開発の効率化、品質向上を図る。例えば、設計リーダーはWebブラウザ上でレビューすることが可能。設計図や設計要素を表示させ、ブラウザ上で図やコメントを付与し、設計担当者にレビュー結果を伝えられる。一方、設計担当者は既存の設計ツール(IBM Rational Rhapsody/Software Architect)を使って、設計リーダーの指示をリアルタイムに受け取り、設計要素を編集できる。ブラウザから設計要素の検索や、ある要素を変更する際に影響を受ける設計要素の分析も実施可能なため、遠隔地での作業者とも適時に設計情報のすり合わせができる。
さらにOSLCを活用することで、CLMとの連携も可能。設計に対して要求、開発、テストをひも付け、あるシステム要求に対してそれを実現する設計が定義できているか、その設計に対してその品質を確保するテストを定義できているかなどのトレーサビリティを実現するという。
価格は、Requirements Composer V3.0.1が61万9200(税別)、Team Concert V3.0.1が62万2100円(同)、Quality Manager V3.0.1が75万7900円(同)、Rhapsody Design Manager V3.0が25万7400円(同)、Software Architect Design Manager V3.0が25万7400円(同)。
日本IBMでは、2011年中にCLM新規案件20件の立ち上げを目指す。そのための販売施策として、CLM拡販パートナーとの協業促進、新規パートナー5社の獲得、ビジネスパートナー向けCLM研修プログラムの実施、IBMクラウド環境にて30日間の無償トライアル提供などを進める考え。