京大と富士通、スマートコンセントを利用した省エネを共同研究


 国立大学法人京都大学(以下、京大)と富士通株式会社は17日、電力センサー内蔵のスマート電源タップ(以下、スマートコンセント)を活用したエネルギーマネジメントに関する実証実験を4月から開始したと発表した。

 2012年3月までの1年間、京大本部のある吉田キャンパスにスマートコンセントを設置し、接続された機器のコンセント単位のエネルギーデータを収集。そのデータから個人や機器ごとのエネルギー利用状況を把握し、1人1人の省エネ(節電)意識を高めて具体的な削減効果に結びつけられるような、新たなエネルギーマネジメントシステムを共同研究する。

スマートコンセント

 具体的には、職員が業務を行う本部事務棟や、多くの学生が利用する学術情報メディアセンター、付属図書館にスマートコンセントを150台設置。1台に4つのコンセントを接続できるので、最大約600台のOA機器や情報家電を接続し、コンセント単位でエネルギーデータを収集する。これを基にエネルギー利用状況を把握し、利用者の業務や行動などと比較して、エネルギー利用の「ムリ・ムダ・ムラ」を詳細に解析する。

 さらに時間ごとのエネルギー利用状況の把握から、ピーク電力の削減方法を研究し、また利用者の省エネ活動を促進させる機能や画面も検討する。

見える化画面

 京都議定書発祥の地に位置する京大では、全キャンパスでのエネルギー使用料と温室効果ガス排出量について、5年間の合計で10%削減を目標としている。目標の達成に向けて、全キャンパスで環境賦課金制度の導入するほか、エネルギー使用量の見える化施策として、桂キャンパスに富士通の施設総合管理システム「Futuric」を活用したWeb検針システムなども導入している。

 そうした取り組みの一環として、また東日本大震災の影響による夏場の節電を受けて、今後節電への意識改革に寄与するため、今回の実証実験に踏み切った。

 将来的にはエネルギーマネジメントの活用領域を省エネ以外にも広げ、収集したエネルギーデータから人の行動パターンを把握。ワークスタイルやライフスタイルの変革や、安心・安全といった分野へ応用する手法も創出し、人々の生活とエネルギーを結ぶエネルギーマネジメント基盤の構築を目指すとしている。

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