インフォマティカ・ジャパン、2011年度の事業戦略を発表

3つの“S”にフォーカスして営業体制を強化


代表取締役社長の吉田浩生氏

 インフォマティカ・ジャパン株式会社は12月9日、2011年度に向けた事業戦略発表会を開催し、11月1日に代表取締役社長に就任した吉田浩生氏が、2011年度の重点施策に掲げる3つの“S”について具体的な取り組みを説明した。

 まず、吉田氏は、グローバルでの同社の事業概況について、「2005年から2009年までの過去5年間で、当社の総売上高は5億ドルを突破し、平均成長率は18%となっている。顧客数も4200社以上に達している。また、四半期ごとの売り上げ推移を見ても、2010年第3四半期におけるライセンス売り上げは対前年同期比40%増を達成し、サービス関連を含めた売り上げも対前年同期比33%増と堅調に伸びている。これで、30四半期連続で対前年同期比プラス成長となった」と、データインテグレーション市場におけるビジネス展開が好調に推移していると述べた。

グローバルでのインフォマティカの事業概要四半期ベースでの売り上げ推移

 2011年度に向けては、「経済環境の大きな変化や国際化の進展、企業買収・合併などにともなう市場構造の変革により、業務プロセスはさらに複雑化し、企業のデータ量も飛躍的に増大している。そして、重要なデータの社内外への散在が加速している。これに加えて、最近ではクラウドコンピューティングへの取り組みが積極化しており、今後、データ統合やデータ連携は、企業にとって最も重要なビジネス課題になるだろう」(吉田氏)と指摘。

 こうした市場ニーズに応えるため、2011年度の事業戦略では、重点施策として、「ソリューション(Solution)」、「セクター(Sector)」、「セールス(Sales)」という3つの“S”を実行し、営業体制を強化していく方針だ。

2011年度のソリューション展開製品別の導入トレンド

 「ソリューション」では、2011年度の新たな製品戦略として、「マスターデータ管理(MDM)」、「アプリケーションライフサイクル管理(ILM)」、「クラウドデータ統合」の3つの分野に着目し、積極的にソリューション展開していく。「当社はこれまで、データ連携・統合ツールのPowerCenterを中心に、PowerExchange、DataQualityを主力に展開してきたが、データの散在化が加速するなか、2008年以降にはMDM、ILM、クラウド関連ソリューションの導入が急速に増加してきている。この3分野のソリューションこそが、今、市場に求められていると判断した」(吉田氏)としている。

業種別による全製品導入トレンド

 「セクター」は、ターゲット業種の絞り込みに関する施策。データ統合に関する取り組みは、業種、業態を選ばず対応できるため、これまで同社は、特定の業種を選択することなく対応してきたという。しかし、2011年度については、過去の実績からベストプラクティスを提供できる業種として「金融サービス」、「製薬」、「保険」をピックアップ。さらに、IT投資への伸びが大きく期待でき、かつ大量のデータを扱う業種として「通信」にターゲットを絞り、集中してサービスを展開していく考え。

 「セールス」では、新たなソリューション展開に向けた販売戦略として、パートナーとの協業分野の拡充を図るとともに営業プロセスを変革し、販路の拡大を図る。「営業プロセスの変革では、自社営業によるハイタッチセールスを強化、人員を増強する一方で、パートナー支援体制の充実・強化を図るハイブリッド展開を目指す」(吉田氏)という。

 具体的には、自社営業では、新規顧客の開拓や新ソリューションの啓発・提案活動、新ソリューションの横展開によるデータ統合基盤の普及などを進めていく。また、パートナー施策については、新ソリューションを担う新パートナーとの協業体制の確立、新ソリューションの早期立ち上げに向けた販売、コンサルティング手法の集中教育やワークショップの開催、業界に精通したパートナーによる新ソリューションの展開などを進めていく。

 同社では、これらの施策を通じて、新ソリューションの拡販を図り、来年度以降、米国の成長率(約30%)を上回る成長を見込んでいる。

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(唐沢 正和)
2010/12/10 06:00