NEC、エコロジーな次世代オフィス「NEC玉川ソリューションセンター」を本格稼働

“オフィスまるごとエコ”でCO2排出量50%削減を目指す


企業ソリューション事業本部 主席事業主幹の松村光隆氏

 日本電気株式会社(以下、NEC)は、NEC玉川事業所において今年5月に竣工した「NEC玉川ソリューションセンター」を本格稼働した。「NEC玉川ソリューションセンター」は、地上12階建てで、建設面積約4400平方メートル、延床面積約4万8500平方メートル。“オフィスまるごとエコ”の先進モデルオフィスとして建設され、ソフトウェア開発部門のスタッフを中心に、約3000人が勤務しているという。

 企業ソリューション事業本部 主席事業主幹の松村光隆氏は、「NEC玉川ソリューションセンターは、建設企画の段階からオフィス運用に至るまで、環境に配慮することで、従来オフィス比でCO2排出量50%削減を目指している。さらに、省エネ対応のビル設備とともに、エネルギー消費の見える化や、省エネICTを活用した働く人たちのワークスタイル革新によって、CO2排出量削減だけでなく大幅なコスト削減も見込んでいる」と、同センターの狙いについて説明する。

 今回の見学会では、実際にセンター内各所をまわりながら、建物・インフラ面での省エネ対策、およびICT活用による省エネ対策の具体的な取り組みが紹介された。

 まず、建物・インフラ面での省エネ対策としては、共用部にLEDダウンライトや冷陰極管照明を採用することで、消費電力の削減とともに長寿命化を図っている。また、EVホールやトイレ、廊下などの共用部は、十分な自然採光によって照明数を減らし、消費電力を削減する。オフィスの照明には、1台の器具で2台分の明るさが確保できる高効率反射板照明を採用。さらに、天井に設置された昼光センサーにより、窓からの光を感知して各デスク上で700ルクスになるように照明の明るさを自動調整し、照明電力を最適化している。

共用部に設置されたLEDダウンライト省エネグリッドシステム天井を採用

 窓ガラスには、薄い金属膜がコーティングされたLow-eガラスを使用。日射による熱エネルギーを反射させ、室内の熱負荷を通常の約半分に低減するという。このほか、東西面の日射遮へい対策としてのPCリブ、中間期の外気を室内に取り込む自然換気システム、建物の高断熱化およびヒートアイランド対策としての屋上緑化や壁面緑化など、さまざまな省エネ対策が施されている。なお、オフィスの天井には、省エネグリッドシステム天井を採用。グリッドごとに取り外せるため、メンテナンスがしやすく、オフィスのレイアウト変更なども容易に行うことが可能となっている。

 次に、オフィスにおけるICTソリューションの活用による省エネ対策を見てみよう。まず、ペーパーレスへの取り組みでは、一人ひとりに2台目のディスプレイを用意することで、作業用の資料をプリントアウトせずに業務が行える環境を提供。また、会議室やミーティングコーナーには大型ディスプレイを標準装備し、紙資料を準備することなく会議や打ち合わせを行えるようにした。さらに、資料のプリントアウトに必要な複合機自体、1フロアあたりの設置数を減らすとともに、紙資料の電子化に積極活用するなどワークスタイルの革新を図ることでペーパーレス化を推進している。

ペーパーレス化を実現したオフィス会議室にはTV会議システムを標準装備

 遠隔会議の活用では、会議室にTV会議システムを標準装備し、いつでも国内・海外との遠隔会議を行えるようにした。TV会議システムには、従来よりも高品質な映像で、対面の臨場感を再現できるUC会議システムを採用している。また、個人のPCには、Webカメラとヘッドセットを用意し、自席からも手軽に参加できるWeb会議システムを提供する。

 エコ対策としては、さまざまな省電力設計によって消費電力を削減するエコノートPCや、シンクライアントを採用することで、高度なモビリティとセキュリティを両立。PCには、消費電力を見える化し、ムダな電力やCO2を自動的に削減するソフトウェアが搭載されている。さらに、社内のどこででもワイヤレスでネットワークに接続できる無線LAN環境を整備している。

エネルギー使用量見える化システム

 「NEC玉川ソリューションセンター」の1Fエントランスには、こうした省エネ対策の成果をビジュアルで表示する「エネルギー使用量見える化システム」が設置されており、全フロア合計の電力消費量やCO2排出量、達成状況などが一目でわかるようになっている。なお、同システムは、各フロアにも設置され、フロアごとの電力消費量やCO2排出量も把握することができる。

 同社では、「NEC玉川ソリューションセンター」の省エネ効果として、従来オフィス比50%削減となる年間3132トンのCO2排出量削減を目指している。このうち、省エネ対応のビル設備などの環境配慮施策で年間2002トン、ICTを活用したワークスタイル革新で年間1130トンの削減を見込む。さらに、コストについても、年間で3~4億円の削減を目指しており、印刷費(ペーパーレス化の推進)で5000万円、旅費交通費(遠隔会議の活用)で2億5000万円、各種工事費(高度なモビリティ)で3000万円、電力費(省エネICT機器の採用)で3000万円の削減を見込んでいる。

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(唐沢 正和)
2010/9/21 11:00