デル、超高速SSDやTeslaも搭載可能な高拡張性ブレードサーバー「Dell PowerEdge M610x」
高集積型のブレードや12コアOpteron搭載2ソケットラック型サーバーも
デル株式会社は8日、多様化する顧客ニーズに応えるため、サーバーのラインアップを拡充すると発表した。高集積型「Dell PowerEdge M710HD」、拡張性に優れる「Dell PowerEdge M610x」といったサーバーブレードを追加するほか、より価格性能比に優れたラック型サーバー「Dell PowerEdge R715」を発売する。
■「Efficient Enterprise」戦略を推進するためのサーバー群
ラージ・エンタープライズ・マーケティング サーバ・ブランド・マネージャの布谷恒和氏 |
デルではこれまでも、「シンプル化、標準化、自動化を通じてEfficient Enterprise(企業の効率化)を支援する」とのメッセージを継続して発信してきた。サーバー製品を提供する上でも、最新技術を採用した「Dell PowerEdge R910」「同 R810/R815」「同 M910」や、最新CPUであるXeon 5600番台(開発コード名:Westmere-EP)を搭載する製品群などをいち早く用意し、顧客の効率化を支援している。
また、イージェネラからOEMを受けて提供する「Dell PAN(Processing Area Network) System」についても、「すでにミッションクリティカル分野で大きな実績を上げている点や、シングルGUIですべてを管理できる統一性などが高く評価され、業務を問わず、引き合いが増えている」(ラージ・エンタープライズ・マーケティング サーバ・ブランド・マネージャの布谷恒和氏)とのこと。
こうした製品の充実を背景に、「ランニングコストの削減」「大容量・高速化への対応」「高集積・省電力」といった顧客のニーズに対して、デルでは、オープンで、十分な機能・性能を持ち、購入しやすい価格、といった3つのバランスを取ったアプローチで、広く対応してきという。
■高密度型や、高い拡張性を持つサーバーブレードを提供
ラージ・エンタープライズ・マーケティング サーバ・ブランド・マネージャの一志達也氏 |
今回提供する新製品も、その考え方の延長線上にあるものだ。
まず、ブレードサーバー製品については、従来のフルハイトサーバーブレード「Dell PowerEdge M710」の基本機能はそのままに、ハーフハイトに高集積化した「M710HD」を製品化した。この製品では、搭載できるドライブ数が、「M710」と比べて2台少ない最大2台(ホットスワップ対応)となっているものの、2基のXeon 5600番台(最大12コア×2)と、最大18DIMM(192GB)のメモリを搭載できる点は「M710」と同じで、「物理統合や仮想化など、リソースを極限まで集約したいお客さまに向く」(ラージ・エンタープライズ・マーケティング サーバ・ブランド・マネージャの一志達也氏)という。
また、デルのサーバーブレードで初めて、オンボードLANポート(LOM)をドーターカードで搭載した点も特徴。一志氏は、「当初はGigabit Ethernet(GbE)×4ポートを搭載するが、取り外して交換できるため、お客さまの選択肢を広げられる。今後は10GbEも提供する予定だ」と、このメリットを説明した。加えて、SDカードスロットを2つ内蔵するので、可用性を保った形で、ハイパーパイザーの起動も行えるとしている。
価格は27万2160円からで、8月中旬の発売を予定。
Dell PowerEdge M710HD | 710HDの特徴 |
Dell PowerEdge M610x |
ブレードサーバーの使用用途を大幅に拡張できるという |
サーバーブレードのもう一方「M610x」は、ハーフハイトのサーバーブレード「Dell PowerEdge M610」をベースに、PCI Express(PCIe) Gen2 x16スロットを2基拡張したフルハイトのサーバーブレード。最大2基のXeon 5600番台と、最大12DIMM(192GB)のメモリ、最大2基のディスクドライブを搭載できる点は「M610」と同じで、PCIeの搭載により、これまでのブレードサーバーで利用できなかった用途にも、活用が可能になる。
PCIeの具体的な用途として、一志氏は、SAS6e HBAを増設してテープライブラリへのバックアップ環境を設置したり、SAS6e HBAとPowerEdge RAID Controller(PERC)を増設してD2D2T環境を構築したり、といった例を紹介。さらに、超高速SSD「Fusion-IO iODrive」によるストレージI/Oの拡張や、NVIDIAのTeslaを用いたGPUコンピューティングにも活用できるとした。
SSDやTeslaの拡張ボードについては、8月中旬より順次OEMにて提供される予定で、「OEMで当社が販売することにより、サーバーとあわせた保守や出荷時点の組み込みと稼働テスト、といったメリットを提供可能。さらに、価格面でも相当安価になる」(一志氏)として、ユーザーのメリットを強調した。
価格は、「M610x」が29万2110円から、SSD拡張ボードが160GBのSLCタイプで105万円、640GBのMLCタイプで185万2200円。GPUコンピューティング用の拡張ボードは21万8000円から。出荷開始は、本体も8月下旬の予定だ。
SLCタイプのSSD拡張ボード | GPUコンピューティング用の拡張ボードも提供される |
加えて今回は、サーバーブレードを搭載する「M1000e」エンクロージャも強化される。現行ファンと比べて30%省電力、15%高効率な新型ファンを7月8日から提供。さらに、AC/DC変換効率が最大94%で、100~200V対応の2700W電源も、2010年中には出荷を開始する。いずれも、現行のファンや電源との互換性を持っており、標準でリプレースできるという。一志氏は、この新型電源について、「いよいよ、100V対応の日本向け電源を提供できた。競合では、100V搭載時はフル構成ができないところもあるが、当社では、5+1構成にしていただければ、制限なく搭載することが可能になっている」とアピールしている。
■価格性能比の高い、Opteron搭載の2ソケットサーバー
Dell PowerEdge R715 |
ラック型では、2Uサイズ筐体の「R715」が製品化された。最大12コアのOpteron 6100番台を2基、メモリを最大16DIMM(256GB)、2.5型ディスクドライブを最大6台搭載可能で、デュアルSDカードスロットも備えている。
AMD製のCPUを搭載するということで、価格性能比を求める企業、あるいは多くの物理コア数を必要とする企業などが主な販売対象。小規模な仮想化によるワークロード統合、アプリケーションサーバー、中規模データベースなどが適用分野になるという。
この製品について一志氏は、特にメモリの優位性に着目。「2DIMM/チャネル構成を採用しているため、3DIMM/チャネル構成の製品と比べて、同じ最大容量を持ちながら、構成変更が容易。また、チャネルに3DIMMを搭載する場合は、2DIMMに比べてメモリパフォーマンスが落ちてしまう。2DIMM/チャネルのこの製品であれば、そういったパフォーマンス低下の影響は受けにくい」と説明している。
「R715」の価格は52万7100円からで、発売は7月8日。なお、このモデルは必ず2基のCPUを搭載した形で出荷される。
R715の特徴 | メモリに着目した優位性 |