デル、Xeon 7500やOpteron 6100などを搭載したクラウド向けサーバー製品群

“バーチャル時代”のリーダーを宣言

代表取締役社長のジム・メリット氏

 デル株式会社は4月1日、次世代型データセンターを実現するサーバー、ストレージ、管理ソリューションなどを発表した。

 今回発表した新製品の背景について、同社代表取締役社長のジム・メリット氏は、「メインフレームやクライアント/サーバー、インターネットなど、コンピュータはいくつかの時代に分けることができるが、2010年代は仮想化技術やクラウド、ユビキタスなデータアクセスといった“バーチャル時代”に入っていく。この新しい時代のリーダーになるには、“Open(標準技術)”“Capable(十分な能力)”“Affordable(購入しやすい)”を、妥協することなくすべて提供できる企業。デルは、これまで業界に先駆けてダイレクトモデルでリーダーシップをとるなど、革新を続けており、新しい時代でもリーダーとなれる企業」と、IT新時代のリーダーになると宣言。

 具体的には、「デスクトップの効率化」「データセンターの効率化」「クラウドの効率化」を実現する「Efficient Enterprise Ecosystem(E3)」を発表。メリット氏は、「E3は、柔軟性を持ったダイナミックなソリューションを提供するIT環境を実現するもの。インテリジェントなインフラ、シンプルなインフラ管理、円滑なワークロード管理、インテリジェントなデータ管理、といった4つの基本フレームワークで構成される。このE3により、これまでIT投資において、なんらかの妥協が必要だったものを、妥協することなく最適なIT投資を実現することができる」と紹介。このE3により、企業のIT投資の1%分を収益として変換すること、そしてITシステムの維持管理費用を50%未満まで削減できるようにすることをコミットし、業界全体で2000億ドル規模の節約を実現するとした。


Efficient Enterprise EcosystemE3を構成する4つの基本フレームワーク

 今回発表したのは、クラウドプロバイダー向けサーバーの「PowerEdge C1100/C2100/C6100」、プライベートクラウド向けサーバーの「PowerEdge M910/R910/R810/R815」、重複排除ストレージアプライアンスの「Dell|EMC DD140/DD610/DD630」、ミッドレンジNASの「Dell|EMC NS-120/NS-480/NS-960」などのハードウェアのほか、「データセンターキャパシティアセスメント」「仮想化運用アセスメント」「仮想化ヘルスチェックサービス」といったデータセンター向けProConsultサービス。

 「PowerEdge C1100/C2100/C6100は、DTO(Designed-To-Order:フルカスタマイズ生産)で検索サイトといった超巨大スケールでの利用に最適化した製品をベースに、汎用化して提供するもの。同社ラージエンタープライズマーケティング ジャパン・マーケティング本部 サーバ・マーケティングマネージャーの布谷恒和氏は、「既存製品の場合、さまざまな用途で利用することを想定し、必要となる機能を追加する“足し算”の最適化を行って開発しているが、このCシリーズはアプリケーションを単一/均質利用したり、必要最小限の保守にするなど、いわゆる“引き算”で最適化しているのが特長。また、DTOで製造したサーバーは検索エンジン用サーバーとして最も導入台数の多いモデルをベースに開発するなど、高い実績を生かしているのも特長」と紹介した。

 PowerEdge C1100は、大容量メモリ・高効率電源を搭載した1Uサイズのラックマウントサーバー。HPCなどのコンピュートノードサーバーに位置づけられている。PowerEdge C2100は、データ分析やクラウドコンピューティングのプラットフォームに位置づけられた2Uサイズのラックマウント型サーバー。PowerEdge C6100は、2Uサイズの筐体に4台のサーバーと24台のHDDを搭載した共有インフラ向けのラックマウント型サーバー。「C6100は、サーバーノード部分もHDD部分もホットスワップに対応したサーバー。12 DIMMのメモリを搭載できる」(布谷氏)と、高密度サーバー環境を実現できる点を強調した。

 また、Cシリーズは、顧客サーバーのイメージをあらかじめ工場で事前ロードして提供したり、サーバーグループ単位・ラック単位・ラックグループ単位など、での導入に対応するなど、データセンター向けに最適化された形での納品にも対応している。


Cシリーズの基礎となっているDell DCSの対象Dell DCSでは検索サイトのトップ5のうち3社に導入Dell DCSとブレードサーバーの間を埋めるのが、Cシリーズ

PowerEdge C6100前面にはホットプラグ対応のHDDを24本収納背面には、ホットスワップ対応の4つのサーバーノードを収納

 価格は、PowerEdge C1100が53万1300円から、PowerEdge C2100が53万250円から、PowerEdge C6100が139万8600円から。4月1日より販売を開始する。

 PowerEdge M910/R910/R810/R815は、Xeon 7500番台およびOpteron 6100といった4ソケット向けプロセッサに対応したサーバー。「最大4つのプロセッサを搭載できるほか、PowerEdge R910で1TB(64 DIMM)のメモリを搭載できるなど、メモリ容量を大幅に強化しているのが特長。また、PowerEdge R810/R815は、デルとして初めての2Uサイズの4ソケットサーバー。これまでスペース面で4ソケットサーバーを利用できなかった企業でも導入可能となっている」と、大容量メモリを搭載しながら、省スペースを実現している点を強調した。

 また、PowerEdge M910/R810は、同社独自技術「Dell FlexMem Bridge」を利用することで、プロセッサが2つだけ搭載されている場合に、残りの2つのプロセッサにひも付いているメモリスロットにもアクセスできる。「通常はプロセッサに直結していないとメモリは利用できないが、パススルーすることですべてのメモリスロットを利用することができる。最大32 DIMMを利用できるので、VMwareやOracleなどソケット単位で課金するソフトをより効率的に利用することが可能」(布谷氏)と、大容量メモリを利用しやすい仕組みを標準機能として提供していると紹介した。


今回発表されたサーバー4製品2ソケット構成で4ソケットのメモリスロットにアクセスできるDell FlexMem BridgeOpteron 6100搭載のPowerEdge R815を利用することで、ラックあたり1008コアの高集積システムも可能

 PowerEdge M910は、Xeon 7500番台を搭載するブレードサーバー。最大32 DIMM、512GBのメモリを搭載できる。価格は、65万1210円から。4月1日より販売を開始する。

 PowerEdge R910は、Xeon 7500番台を搭載する4Uサイズのラックマウント型サーバー。最大64 DIMM、1TBのメモリを搭載できる。価格は、102万1650円から。4月1日より販売を開始する。

 PowerEdge R810は、Xeon 7500番台を搭載する2Uサイズのラックマウント型サーバー。最大32 DIMM、512GBのメモリを搭載できる。価格は、102万1650円から。4月1日より販売を開始する。

 PowerEdge R815は、Opteron 6100を搭載する2Uサイズのラックマウント型サーバー。最大32 DIMM、512GBのメモリを搭載できる。「12コアのOpteron 6100を使うことで、42Uラックで1008コアという高い集約率を実現することができる」(布谷氏)。5月中旬の発売を予定しており、価格は未定。

今回発表されたストレージアプライアンスとミッドレンジNAS
データセンター向けProConsultサービス
執行役員 システムズ・ソリューションズ統括本部長の町田栄作氏

 Dell|EMC DD140/DD610/DD630は、旧Data Domainのストレージアプライアンスをベースにしたシリーズ。高い重複排除技術が特長。価格は、Dell|EMC DD140が438万390円から、Dell|EMC DD610が617万2110円から、Dell|EMC DD630が1219万9320円から。4月1日より販売を開始する。

 Dell|EMC NS-120/NS-480/NS-960は、ミッドレンジクラスのNAS製品。4月上旬より販売する予定。価格は未定。

 データセンターキャパシティアセスメントは、冷却効率の高いデータセンターを設定するためのアセスメントサービス。仮想化運用アセスメントは、プライベートクラウド向けのアセスメントサービスで、効果的なプロビジョニング環境やリソースの消費環境、管理環境の最適化などを行う。仮想化ヘルスチェックサービスもプライベートクラウド向けのサービスで、既存の仮想化環境の評価を行い、リソース配分の最適化とセキュリティなどを推奨する。

 同社執行役員 システムズ・ソリューションズ統括本部長の町田栄作氏は、「日本企業のIT投資額は世界で2位であるのに、IT競争力では21位と低迷している。投資に見合った効果や成長力が得られていない。この背景にあるのが、レガシーシステムに対する投資金額が5割という現状。欧米だけでなく、ほかのアジア太平洋の国々と比べてもレガシーシステムが明確に残ったままになっている。今回発表した製品により、データセンターの効率化やクラウドの効率化といった“Efficient Enterprise”を実現する」と、意欲を示した。





(福浦 一広)

2010/4/1 17:00