ニュース

セールスフォース、パートナー向けにAIエージェント構築を支援する「Agentforce for ISV」を提供

 株式会社セールスフォース・ジャパン(以下、セールスフォース)は12日、パートナー向けにAIエージェント構築を支援する「Agentforce for ISV」の提供開始を発表した。同ソリューションにより、Salesforce PlatformパートナーがAgentforceおよびData 360を活用して、消費ベースの商用モデルで独自のフルスタックエージェンティックソリューションを構築、パッケージ化、収益化できるようにする。

 セールスフォースでは、AI時代を代表する大きなチャンスにおいては、急速に進化し、高まっていく顧客の期待に応えるために、スピード感のあるAIイノベーションの実現が不可欠だと説明する。しかし、成功の鍵はスピードだけではなく、信頼やコンプライアンス、スケーラビリティという、それぞれ譲ることのできない基準を同時に保証しなくてはならず、こうした厳格な基盤をゼロベースで構築しようとすれば、許容できないリスクを招き、市場投入の遅れや、機会損失につながるとしている。

 Agentforce for ISVはこうした課題を解決し、企業が独自の知的財産(IP)とビジネスノウハウをエンタープライズグレードのプラットフォーム上でパッケージ化できる、すぐに利用可能な基盤だと説明する。このプラットフォームが複雑なインフラ管理を担うことで、パートナーは純粋にイノベーションに集中できるようになる。

 AgentforceとData 360は、この新たなソリューションを支えるために相互に深く連携している。Data 360は顧客データのインテリジェントな基盤を提供し、Agentforceは能動的かつ自動化されたエンゲージメントのためのAIレイヤーを実現する。この組み合わせにより、統合されたAIネイティブビジネスを設計・販売する変革的な能力を獲得でき、企業としての信頼性への即時アクセス、使用量ベースの収益エンジン、市場投入までの時間の短縮を実現するとしている。また、Slack、Tableau、Marketing Cloudへの段階的なアクセスは、今年後半に順次提供される予定。

 Salesforce Platformパートナー向けに設計された3つの主要な要素としては、高付加価値ソリューションを極めて短期間で市場に投入できることと、信頼性やセキュリティ、そしてシームレスなプラットフォームの統合が確保されること、柔軟な従量課金型モデルにより、製品を高付加価値サービスへと変革できることを挙げている。

 また、Agentforceにより、アイデアの着想から市場投入までの時間を短縮し、スピードを新たな競争力へと変えるとして、その実現を支えるのが、Salesforce Platformのために設計された中核コンポーネントだとしている。

 Agentforceには、信頼性とセキュリティを備えた構築・設定・テスト・デプロイ・モニタリングのためのAIエージェント向けテンプレートが用意されており、これにより、顧客への価値提供までの時間を大幅に短縮する。パートナーはコアバリューを生かしたソリューションをパッケージ化し、標準のSalesforceコンポーネントやApex、フローと並行して展開できる。このパッケージ化機能により、手戻りを最小限に抑えつつ、パートナー独自の知的財産(IP)とカスタム機能をAIエージェントの主要な差別化要素として提供できる。

 組み込み型検索拡張生成(RAG)は、AgentforceのAtlas推論エンジンが複雑なデータ統合の処理を担い、ソリューションが初期状態から文脈を理解できるようにする。RAGと推論機能により、AIエージェントは自社データをすぐに理解し、よりインテリジェントな意思決定を行える。さらに、BYOLLM(独自LLMの持ち込み)にも対応する。

 自動化に向けても、開発ワークフロー全体を簡素化し、スムーズな状態を実現している。Agentforce Vibesは自然言語でベストプラクティスを提案し、コード生成やユニットテストの構築を実行する。MCPや開発環境のセットアップも不要で、すぐに開発を始められる。また、データの取得・検証・連携も自動化されており、煩雑な手作業を排除してスピードを最大化する。

 こうした俊敏性は、これまで手の届かなかったイノベーションを確実な競争優位性へと変え、極めて短期間で高度なソリューションを提供可能になるとしている。

 また、パートナーは、自社の裁量でビジネスモデルや価格戦略を自由に設計・運用でき、パートナーにとっての顧客と市場に最適なビジネスモデルと価格戦略を選択することで、柔軟な収益化が可能になるとしている。