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freee、実行支援型タレントマネジメントシステムに参入 「freee人事労務」のオートメーション化も推進

 フリー株式会社(以下、freee)は28日、HR分野の最新情報を発信するイベント「freee HR Day 2025」を開催。クラウド型人事労務システム「freee人事労務」にオートメーション機能を追加するほか、クラウド型給与システム「freee給与」向けのアウトソーシングサービス「freeeあんしん給与計算代行」、クラウド型タレントマネジメントシステム分野の新サービスを順次提供すると発表した。

 フリー 常務執行役員 Chief Growth Officerの髙村大器氏は、「当社が2024年から掲げている、ピープル・エンパワーメントを実現できる会社・人材をもっともっと増やしていきたい。そのために次のステップとして、3つの進化を発表する」と述べた。

“ピープル・エンパワーメント”3つの進化
フリー 常務執行役員 Chief Growth Officerの髙村大器氏

“ピープル・エンパワーメント”プロダクトの拡充を図る

 今回のイベントのサブタイトルは、「孤独に戦うヒーローたちの、決起集会」。フリーを導入している企業は社員数20人程度から300人程度であることが多く、人事労務に携わる社員は1人、ほかの業務との兼業というケースが多いという。こうした1人体制で人事・労務を担当する人に向けたサブタイトルとなっている。

 また、ピープル・エンパワーメントとして、少人数で人事・労務業務を進める中で、法や働き方改革へ対応しながら、ミスや抜け漏れが起こらないようプレッシャーの中で働く人を支援する。人事労務DXから、人材定着、人事採用、成長支援、従業員DXまで、人事・労務業務をトータルで支援するプラットフォームを提供することで、「時間を取り戻し、人に向き合うために提供するのがピープル・エンパワーメントプラットフォームだ」と、トータルで人事・労務ソリューションを提供する意味を説明した。

時間を取り戻すために、人事労務DXを提供
さらに、人と向き合うためのプロダクトを拡充

 さらに人事・労務担当者への支援強化を目的に、「新たに3つの進化を発表する」(髙村常務執行役員)と説明した。

 1つ目の進化は、「freee人事労務」に搭載されるオートメーション機能。10月28日から、β版の利用申し込みを開始した。

 1人体制や兼務で人事・労務業務を担当している場合、ミスや漏れに気がつくことは容易ではない。大企業の場合、複数人で人事・労務業務を担当しているため業務をカバーする体制があるが、少人数では、人事異動時の手当変更などで作業漏れが発生しやすい。入社・退社業務も頻度が低いため、抜け漏れが起きないか不安を持っている担当者が多いという。

 「例えば、新たに入社する人向けに必要な作業は、入社人数が多い企業であれば、実施する回数が多いので対応しやすい。それに対し、入社人数が年に1人程度となると、『あれ、この業務ってどうやってやるんだっけ?』ということになりがち。そうした際のミスや漏れをカバーするのがオートメーション機能。きっかけとなる事象が発生した際に、自動で対応依頼や通知が送られる設定とすることで、作業の抜け漏れを防止できるようになる」(フリー 執行役員 HRプロダクトCEOの和田矩明氏)。

 なお、「freee人事労務」内の通知機能を利用することはもちろん、日常利用しているLINE WORKSやSlackといったビジネスチャットに通知することもできる。また、オートメーション機能で作成された対応依頼は、従業員ポータルの中で進捗管理でき、確認作業にかかる時間を最短で済ませることが可能とした。

「freee人事労務」のオートメーション機能

 2つ目の進化となる「freeeあんしん給与計算代行」は、AIを併用することで低コストでの導入を実現したアウトソーシングサービスである。10月28日からβ版の利用申し込みを開始した。

 「アウトソーシングは、導入するだけでも非常に手間がかかると言われている。相手先に(自社について)知ってもらう必要があるほか、そもそもSaaSプロダクトの使い方そのものを覚えるのが非常に大変で、導入がうまくいかないケースが多いという声も聞いている。今回、AIの力を駆使し、低コストで導入しやすいアウトソーシングサービスを、『あんしん給与代行』としてリリースすることを決定した」(和田執行役員)。

 67.4%の経営者がSaaSの導入失敗を経験しているという調査結果を受け、初期設定から運用までを丸ごと代行することで、確実に早く運用を開始できるという。

 またアウトソーシングサービスを利用する際、従来は、情報共有などのタスクが増えることで業務効率化を実感しにくくなるという声が挙がっていた。そこでfreeeでは、人ではなくAIにリクエストを上げ、それに対する答えも迅速に返すことで、迅速なレスポンスと始めやすい価格を実現した。AIがリクエスト内容の不足や間違いをチェックし、さらに最終的には人による確認も加えることで、高品質なサービスを低コストで実現する。

freeeあんしん給与計算代行

 3つ目の進化は、「freeeAIタレントマネジメントシリーズ」の提供。「freee人事制度設計」と「freeeサーベイ」のβ版を10月28日から提供開始するとともに、「freee人事評価」を2026年夏に提供開始する予定とした。

 タレントマネジメントは、海外製の製品は高価格で大企業向け、国産製品も中堅企業以上をターゲットとしていることが多い分野だ。「確かに、タレントマネジメントシステムは人事担当者が何人もいる大企業向けになっていることが多いが、当社のタレントマネジメントシリーズは、そういう高度な管理分析型ではなく、中小企業でも使いやすい実行支援型の製品となっている。タレントマネジメントという言葉をあえて使っているが、管理分析型と実行支援型があるというすみ分けで、中小企業向けにちょうどいいものを提供しようという方針で開発を進めている」(髙村常務執行役員)。

 「freee人事制度設計」は、会社に最適な人事評価制度をfreeeが設計するサービス。経営者の思いや実現したいことをヒアリングし、freeeのコンサルタントが「評価シート」「等級制度」「報酬制度」など人事制度の設計から導入までをサポートする。評価制度の運用までの1年間をコンサルタントが伴走し、作成した人事制度をうまく運用できるよう支援していくとした。

freee人事制度設計

 2026年夏に公開予定の「freee人事評価(仮称)」は、目標設定や人事評価、1次評価、評価調整など、評価業務にまつわる一連のプロセスをfreeeで完結できるような仕様とすることを目指している。従業員マスタは「freee人事労務」と連携するため二重管理は不要で、シートの初期設定もExcelライクに登録していけるので、直感的で分かりやすく、初めて評価システムを使う人でも簡単に使える製品を目指すとのこと。

freee人事評価(仮称)