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日立、AIエージェント「Naivy」を活用し現場の安全性を高めるリスク危険予知支援システムを開発

現場拡張メタバースとRKY活動のノウハウを組み合わせた危険予知サポートを活用

 株式会社日立製作所(以下、日立)と株式会社日立プラントコンストラクションは7日、AIエージェント「Frontline Coordinator - Naivy」(以下、Naivy)を活用し、危険予知サポートで現場の安全性を高めるRKY(リスク危険予知)支援システムを開発したと発表した。

危険予知サポートで現場の安全性を高めるRKY支援システム活用イメージ

 Naivyは、メタバース空間で蓄積・生成される情報と現場でリアルタイムに発生する事象を効果的に統合・調整し、必要な情報を適切なタイミングで分かりやすく人やロボットに提供するAIエージェント。現場拡張メタバースなどのメタバースプラットフォームと組み合わせることで、非熟練者が経験の浅い業務に対応する場面でも、状況に応じた具体的な作業手順を直感的に可視化し、対象機器の特定や対処操作に迷うといった現場でのつまずきを軽減するという。

 今回開発されたRKY支援システムは、このNaivyを活用し、現場拡張メタバースとRKY活動のノウハウを組み合わせることで、危険予知サポートによって現場の安全性を高めるもの。日立がグローバルに蓄積してきた多様なドメインナレッジやAI技術に加え、日立プラントコンストラクションの発電所や受変電設備の建設およびメンテナンスで培ったノウハウを活用した“One Hitachi”のソリューションにより、現場ごとの状況に応じて潜在リスクや最適な安全対策を可視化するという。

 具体的には、現場拡張メタバースを用いて作業現場をメタバース上に再現するとともに、過去の災害事例やノウハウ集、直近の作業写真など従来はバラバラに管理されていた複数の情報ソースから、Naivyがメタバース上でナレッジを統合・検索・可視化する。こうして、視覚的に現場を再現し関連情報を一元的に提示することで、作業者は自身の現場で起こりうるリスクを直感的に理解し、リスクの存在やその背景を主体的に考えられるようになるとした。日立では、質の高いリスク対策を検討できる環境が整い、“自分ごと”としてとらえる安全意識が強化されると、そのメリットを説明している。

 また、Naivyが現場で蓄積されたさまざまなデータやノウハウを解析し、作業内容や現場状況に応じて潜在リスクや最適な対策案をタイムリーに提示する仕組みを備えた。例えば、建設現場でクレーン作業を行う場合のRKY活動では、「クレーンが転倒する」という労働災害のリスクに対して、作業者が発案した「クレーンを水平に保つために敷鉄板で養生する」という対策だけでなく、地盤が柔らかいという可能性を指摘し、より広い敷鉄板を敷くなど、具体的な対策案をNaivyが補強して提示するとのこと。

 なお、日立プラントコンストラクションが顧客の変電所でこのシステムを活用した実証実験を行った結果、潜在リスクへの気付きや、具体的な対策の積極的な発案など、安全意識の向上が図れたという。特に、過去の災害事例やノウハウ集、作業写真などの情報をNaivyが即時に解析・抽出することによる、潜在リスクや対策への気付きやすさが向上したほか、これらの必要な情報へのアクセスが迅速化されたことで、RKY活動の所要時間を約20%短縮するとともに、意思決定がスムーズに進むなど、業務効率化の効果も確認したとしている。