ニュース

NECが神戸DCを新設、国内外で社会ソリューション事業強化へ

 NECは17日、ICTを活用して社会インフラを高度化する「社会ソリューション事業」の基盤を担うデータセンター(DC)事業を国内外で強化すると発表した。

 具体的には、クラウド基盤サービス「NEC Cloud IaaS」とハウジングサービスのハイブリッド利用が可能な「NEC神戸データセンター」を、兵庫県神戸市内に2016年4月に新設する。2014年1月に開設した「NEC神奈川データセンター」と並ぶ、西日本のフラグシップDCとなる。

NEC神戸データセンター

 両サービスを組み合わせたハイブリッド利用により、顧客システム全体の最適化と運用効率化を実現する。マシンルームは4000平方m、ラック数は1500。大阪駅から約1時間、活断層から7km以上・海岸から9km以上離れ、自治体が定める洪水・土砂災害・液状化のハザードマップ被害想定区域外に立地。建屋には免震構造を採用し、満床時最大72時間の無給油連続運転が可能な自家発電装置や冗長化された電源設備を備える。

 NECの顔検出・顔照合エンジン「NeoFace」と小型・高精度な赤外線カメラを活用し、DCへの不正侵入を防止するほか、システムへのログインID管理や証跡管理により不正作業も防止する。マシンルームへの“共連れ”を防げる「ウォークスルー顔認証」も実装した。

 省力化では、1ラックに700台のサーバーを収容可能で、設置面積・消費電力を従来比1/4に削減した省電力・高集積サーバー「Micro Modular Server」のほか、冷媒の気化・液化の際の熱循環により効率よく冷やせる「相変化冷却ユニット」でマシンルーム全体を冷却。地下の免震層を通過させて冷却した外気による冷却も行う。また、太陽光発電で照明などの消費電力削減に活用するほか、余剰電力や夜間の割安な電力を蓄えて活用。これらにより、国内最高級のPUE 1.18を達成した。

 NEC神戸DCの開設と併せて、海外DCも拡充する。NECの海外現地法人や現地企業との合併会社が有するDCに加えて、国内外パートナー企業との協業により、DC拠点を拡充。これまでのIaaSやDCの設計・開発・運用を通じて得たノウハウを基に「クラウドリファレンスシステム」を整備し、NEC自身が海外でクラウド基盤サービスを提供するとともに、顧客やパートナー企業の基盤早期立ち上げに貢献するという。

 また、これら国内外のDCや顧客、パートナー企業のDCを結ぶDC間ネットワークも整備。SDNで仮想化し、低コスト・迅速に、場所も意識することなく複数DC間でのICTリソース調達を可能にした。運用管理プロセスも国内外で標準化し、効率化を図るとのこと。

 NECが現在注力する「社会ソリューション事業」の基盤として、データセンター事業を国内外で強化し、クラウド基盤事業において2017年度に1200億円の売り上げをめざす。

川島 弘之