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九州大の研究開発向け新スパコンが稼働、実効性能は1PFLOPSにも
学内外の研究者へ提供
(2014/2/3 06:00)
九州大学情報基盤研究開発センターは、スーパーコンピュータによる計算サービスをネットワークを介して学内外の研究者に提供する「高性能アプリケーションサーバシステム」の試験稼動を終え、2013年12月27日より本格稼働を開始した。
日立のサーバーなどを利用したPCクラスタ型スパコン。720.6TFLOPSの総合理論演算性能を備え、従来システム比で約28倍の性能を実現。1TFLOPSあたりの消費電力を従来比1/17に抑えた。
同センターで稼動している高性能演算サーバーも連携させて演算性能評価を行った結果、1PFLOPSの実効性能を達成しているという。
同センターは、1969年から全国の大学や研究所の研究者に対して高度な計算サービスを提供する全国共同利用施設。従来システムは2009年5月に稼動。学内外の研究者による流体解析や素粒子研究などの大規模科学技術計算に利用されてきた。
今回、演算性能を大幅に向上することで、高度化する研究者の要望に対応。同センターでも防災・減災に資する地球変動予測や次世代ものづくりといった研究に活用するほか、さまざまな研究開発のさらなる効率化とスピード化を実現する計算機環境として、引き続き学内外の研究者に提供する。
日立製品でPCクラスタ型スパコンとして構成
同システムでは、日立の「HA8000-tc/HT210」を965ノード搭載し、汎用サーバーを並列接続したPCクラスタ型スーパーコンピュータを構成。HA8000-tc/HT210にXeon E5-2697 v2を、演算加速機構にXeon Phi 5110Pを搭載し、さまざまな分野の計算プログラムに対応する高い計算性能を実現した。
大容量メモリを必要とする計算環境には「SR16000 モデルVM1」を採用。1ノードに16TBの大容量共有メモリを搭載した製品で、CPUには32個のPOWER7を搭載、8.1TFLOPSの性能を備える。
このほか、並列処理を行う複数ノード間でファイル共有させるため、「Hitachi Striping File System」を採用し、高速なデータ転送を実現。ストレージは「Hitachi Unified Storage 100シリーズ」で合計約4.1PBの大容量を実現するとともに、日立独自のストレージコントローラ自動負荷分散機能により、特定ストレージへの負荷集中を避けている。
省エネのためには、高効率電源や冷却ファンを採用するほか、ラックには水冷装置を装備したドアを搭載。サーバーから排出される熱が直接冷却されるため、センター内の空調設備負荷も抑えられるようになっている。