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TIS、共栄産業に「生成AIプラットフォーム」を導入、見積書作成業務の効率化を支援
2025年3月6日 10:00
TIS株式会社は5日、共栄産業株式会社に「生成AIプラットフォーム」を導入し、見積書作成業務の効率化を支援したと発表した。
TISの生成AIプラットフォームは、社内のナレッジを検索できる機能を標準搭載したプラットフォーム。自社環境にカスタマイズして構築する個別開発型と、すぐに利用できるSaaS型を用意している。今回のプロジェクトは個別開発型の生成AIプラットフォームにより、2024年3月から10月にかけて開発を行い、2024年11月に正式に運用が開始された。
共栄産業は、さまざまな産業分野で活用される特殊なホースなどの、少量・多品種・短納期での製造に強みを持つ企業。そのため、他社での生産が難しい案件の相談が多く、1社・1案件あたりの生産難易度が高く、発生頻度が低いことが特徴だが。共栄産業は4000社以上の幅広い業界に取引先企業を有しており、結果として相談件数は増加傾向にあり、その分野も多岐にわたるという。
共栄産業では、これらの取引先企業からの問い合わせ対応に際し、社内で対応可能な有識者が限定され、業務が属人化していることに課題を抱えていた。そこで、共栄産業は、問い合わせ時から見積書作成業務までの効率化のため、生成AIを活用したチャットボットの導入に向けた検討を開始した。
TISの生成AIプラットフォームは、1)個別のニーズに応じて、オーダーメイドでシステムの構築や改善が可能であった点、2)運用開始後もナレッジを蓄積し、問い合わせ対応および見積書作成の精度向上の可能性があった点、3)1対1のチャット利用だけでなく、複数名でのチャット利用を可能とすることで、社内での情報共有ができる点、4)外部データにはない社内のナレッジを蓄積して生成AIが回答することで、情報を半自動的に育てることができるほか、データの中から独自情報が醸成できる可能性がある点――から採用に至ったという。
生成AIプラットフォーム導入による効果としては、問い合わせ対応および見積書作成業務の効率化、属人化の低減や、有識者からの迅速な返答から見積もり作成時間の短縮、早期の見積もり提示による受注率・利益率のアップに寄与した点が挙げられている。また、どこからでもチャットで参加でき、問い合わせの回答が迅速化。加えて社内の情報共有のためのコミュニケーションツールとしても機能することや、既存ナレッジを更新するのではなく、チャットのやり取りの中で新しい情報を半自動的に蓄積。有識者が先んじた回答も蓄積できることで生成AIの回答精度も向上、業務支援に貢献することが挙げられている。
今後、共栄産業では生成AIプラットフォームを、顧客問い合わせへの回答業務や見積もり依頼窓口としての活用を検討し、顧客ニーズに先んじて情報を提供することによる付加価値のある営業活動の促進、営業効果の拡大に貢献すると説明。さらに、顧客からの問い合わせの中から、市場にはまだ出ていないトレンドなどを先行して把握し、技術的な問い合わせにも迅速に回答することで、受注確度の向上や積極的な営業活動や社内の教育訓練などへの展開につなげていくとしている。
また、共栄産業の社内向けのナレッジ共有の強化にも、生成AIプラットフォームを活用。これにより、営業担当者が各部門(生産管理・生産・技術など)の技術者とのやり取りを効率的に管理し、ナレッジとして蓄積することを目指す。これにより、これまで負担が増加していた社内有識者の工数削減と、生成AIの活用による業務効率化を実現するとしている。