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富士通、機密性の高いデータをプライベート領域で管理して生成AIを利用できる「Fujitsu クラウドサービス Generative AI Platform」
2025年2月13日 13:10
富士通株式会社は13日、企業や団体における生成AIの安心安全な活用ニーズの高まりを受け、データの機密性とクラウドの使いやすさを併せ持つ「Fujitsu クラウドサービス Generative AI Platform」の提供を2025年度から日本国内で開始し、順次グローバルにも展開していくと発表した。また、サービスのトライアル利用の受け付けを、日本国内で開始した。
富士通では、企業における生成AIを活用した生産性向上においては、企画時のアイデア検討や議事録作成、プログラムコードの自動生成など、汎用性が高い業務領域では普及が進みやすい一方で、機密情報や個人情報を取り扱う業務では、AIによる意図しない学習リスクや情報漏えい、情報の保管場所に対する社内規定などの課題があり、生成AIの活用が限定的となっていると説明。そのため、機密性の高い情報を安全に保管し業務活用できる生成AIのサービスが求められているという。
Fujitsu クラウドサービス Generative AI Platformは、こうしたニーズに対応するため、顧客データをプライベート領域で管理でき、顧客が生成AIで機密情報を扱えるように、富士通のデータセンターからオンデマンド利用可能なクラウド型生成AIサービスを提供する。
サービスは、エフサステクノロジーズ株式会社の生成AI基盤「Private AI Platform on PRIMERGY」や、米Super Micro Computer(以下、Supermicro)のGPUサーバーと、AIサービス「Fujitsu Kozuchi」の企業向けLLM(大規模言語モデル)「Takane」や、生成AIセキュリティ強化技術といった製品や技術を組み合わせて提供する。さらに、他社LLM製品など顧客ニーズに合わせて順次拡充を予定する。
Fujitsu クラウドサービス Generative AI Platformは、クラウド上のプライベート領域でデータを管理し、機密性の高い情報も生成AIで安心安全に活用可能。サービスでは、データを顧客ごとに割り当てられたクラウド上のプライベート領域に保管することで、社内規定や経済安全保障上の懸念などで、パブリッククラウド上にデータを保管できない業務において、機密性の高い情報も安心安全に生成AIで活用することを可能にする。
ファインチューニング用のデータや、ファインチューニング後のLLM、RAGのデータをプライベート領域に保管することで、顧客が保管したデータが、顧客の意図しない学習に用いられることを防止する。
高価なGPUリソースをクラウド上で共同利用し、コストを削減する。サービスでは、データをプライベート領域へ確保しつつ、推論および学習用GPUサーバーを共有型で提供することで、時間当たりの利用コストを削減する。
また、推論用・学習用に標準化されたGPUサーバーを使用することで、生成AIシステムに必要な全ての環境を個別構築する場合に比べて、初期費用を大幅に抑えて利用を開始できる。
なお、サービスと同等のサービスをオンプレミス環境で利用したい顧客には、エフサステクノロジーズから「Private AI Platform on PRIMERGY」およびSupermicroのGPUサーバーと、システム構築や運用サービスを提供する。
さらに、高度な生成AIセキュリティ強化技術とクラウドセキュリティ対策・運用ノウハウにより、生成AIをセキュアかつオンデマンドで利用できる。サービスでは、富士通の生成AIセキュリティ強化技術を採用し、例えば、利用者がLLM経由で意図せずに参照権限のない情報を引き出してしまうことを防ぐことで、安心・安全な利用を可能にする。
また、富士通が培ってきた基幹システム向けクラウドサービスのセキュリティ対策や運用ノウハウに基づき、脆弱性対応や第三者監査を行い、JDCCティア4相当の富士通のデータセンターからクラウドサービスとして提供することで、高いセキュリティと利便性を両立した、オンデマンド利用を可能にする。
富士通ではサービスの正式提供に先立ち、顧客プライベート領域におけるRAG利用などの一部機能を利用可能な先行トライアルを実施する。受付期間は2月13日~3月31日。
富士通は、Fujitsu クラウドサービス Generative AI Platformを、高度なコンピューティング技術とソフトウェア技術を誰もが容易に利用できるサービス群「Fujitsu Computing as a Service」のラインアップに、生成AIサービスとして追加する。富士通はサービスを通じて、生成AIの業務利用における初期導入から継続的改善までトータルで支援し、生成AIを活用した顧客の業務効率化や生産性向上を支援するとともに、顧客のビジネス変革を支援していくとしている。