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豊田通商、TISの支援で仮想デスクトップ基盤をクラウドへ移行

 TIS株式会社は10日、豊田通商株式会社の仮想デスクトップ基盤(VDI)を、「Azure Virtual Desktop導入・運用サービス」によって、クラウドのDesktop as a Service(以下、DaaS)に移行支援したと発表した。

 TISの「Azure Virtual Desktop導入・運用サービス」は、Microsoft Azure上で提供されるDaaS「Azure Virtual Desktop」の、コンサルティングから計画・構築・運用までをサポートするトータル支援サービス。今回、豊田通商のDaaS移行に際しては、同社の既存環境で多く採用されているマイクロソフト製品との親和性の高い、Azure Virtual Desktopを選択した。

「Azure Virtual Desktop導入・運用サービス」提供イメージ

 豊田通商は2012年、Windowsのアップグレードの管理効率向上と社外作業の効率化のため、データセンターにVDIを構築し、本社に勤務する約100人が利用を開始した。2020年には、コロナ禍での全社規模の在宅勤務に対応するため、オンプレミスのVDIのリソース強化を計画し、ユーザー上限約400人の基盤設計を見直し、約4000人規模に対応できるようサーバー増設を実施した。

 しかし、物理的なリソースは約10倍になったものの、PCの利用が集中する時間帯や月末・月初は速度低下が避けられず、PC操作時のパフォーマンス面に課題が残った。社員の業務や職務ごとにリソースを増減するチューニングを試みるも、現行の運用体制での対応は限界に近づいていたことに加え、当時はコロナ禍で物流が滞り、サーバー増設を検討したものの物品調達のめどが立たない状況だったという。

 こうした背景から、豊田通商は2021年、必要な時に必要なリソースを拡張できるよう、クラウドでVDIを提供するDaaSへの移行を決定した。今回の導入計画は、豊田通商グループ各社に順次展開していくことを目標としており、第1弾として同年5月から、株式会社豊通シスコムの約700人を対象としたDaaS導入を開始し、2022年1月に完了した。

 2022年6月から豊田通商の約5000人を対象としたDaaS導入においても、豊通シスコムへの導入で実証した基盤設計をもとに最適化を図り、半年間でのスムーズな導入が実現した。

 豊田通商では、「Azure Virtual Desktop導入・運用サービス」を評価したポイントとして、豊田通商のクライアント環境はWindowsをはじめマイクロソフト製品が中心であり、Microsoft Azure環境との親和性が高い点や、現行のWindows 10からWindows 11へアップグレードすることを想定し、並行稼働が容易である点、従来利用していたVDI基盤もCitrix製品を採用しており、AVDを「Citrix Cloud」を組み合わせて管理することでエンドユーザーにとって使い慣れたUIのままDaaSへ移行できる点などを挙げている。

 また、DaaS導入によるメリットとしては、リソース制約からの脱却と快適な操作性、情報漏えいリスクの軽減、複数のグループ会社をまたぐ業務の効率化、基盤管理への工数削減などを挙げている。