ニュース

Denodo Technologiesの2025年の国内事業戦略、「顧客の経営課題への対応」「パートナー連携強化」に注力

 データ統合・管理ソリューションを開発、提供するDenodo Technologies株式会社は22日、2025年の国内事業戦略に関する記者説明会を開催した。

 説明会ではまず、Denodo Technologies リージョナル・バイスプレジデント&ジャパン・ゼネラルマネージャーの中山尚美氏が、グローバルを含めた同社の事業概況について説明。

 「グローバルでは現在、23か国に30オフィスを展開しており、従業員は700人を超えている。顧客数は、主要業界の多くのFortune 500およびForbes Global2000企業を含む1200社以上、パートナー企業数は300社以上となり、ビジネスも約20~30%の成長を続けている。その中で日本リージョンは、世界でもトップクラスの成長率を達成し、国内の導入企業は55社まで拡大した。特に、大量のデータを抱える大手企業を中心に幅広い業種で導入が進んでおり、昨年は、建設業の大手各社に当社ソリューションが導入された」という。

Denodo Technologies リージョナル・バイスプレジデント&ジャパン・ゼネラルマネージャーの中山尚美氏

 こうした状況を踏まえて、2025年に向けた重要施策としては、「顧客の経営課題への対応強化」「既存顧客のサポート強化」「パートナーとの連携強化」の3つに注力する方針を示した。「顧客の経営課題への対応強化」では、これまでプロダクトアウトのアプローチで顧客への提案を行っていたが、今後は顧客の経営課題を解決するためのソリューション提案を強化していく。この取り組みの一つとして、昨年リリースした最新版「Denodo Platform 9.1」では、生成AIの活用を支援する「Denodo AI SDK」を搭載している。「最新のプラットフォームによって、当社ソリューションは、ITインフラのモダナイゼーションからデータ民主化、CX(顧客体験)の向上、運用効率化、ガバナンス・リスク・コンプライアンスの一元化、そして生成AIの活用促進まで、顧客が抱えるさまざまな経営課題を解決することが可能となった」としている。

顧客の経営課題を解決するDenodoソリューション

 「既存顧客のサポート強化」は、昨年から継続して取り組んでいる重点施策で、国内における導入企業数が増加してきたことを受け、カスタマーサクセスチームの拡充を図っていく。

 「パートナーとの連携強化」に関しては、Denodo Technologies パートナービジネス戦略部長の赤羽善浩氏が、2025年度のパートナー戦略を発表。「日本は、SIerなどITベンダーに所属するIT人材の割合が依然として高く、海外に比べてITベンダーに頼る企業が圧倒的に多いのが実情である。一方で、日本では企業における生成AIの業務利用が遅れており、これからニーズが本格化してくることが予測される。こうした背景を踏まえて、2025年はパートナー企業の重要性がさらに高まると考え、パートナービジネスの拡大とエコシステムの強化に注力していく」との方針を示した。

Denodo Technologies パートナービジネス戦略部長の赤羽善浩氏

 同社のパートナービジネスは、SI/販売パートナー(SIer、コンサル系企業など国内10社)、テクノロジーパートナー(BI、データウェアハウス、SaaS、NonSQL、従来型RDBなど)、クラウドベンダー(AWS、Azure、Googleなどクラウドサービスプロバイダー)の3つに分類される。中でも、パートナービジネスの中核となるSI/販売パートナー向けの施策としては、パートナー社内での認知度アップや、アカウント営業同士の密な連携、ユースケースにフォーカスした提案活動、共同マーケティングの推進、カスタマーサクセスの協業強化、AI連携によるSIビジネスの拡大、パートナー独自の価値訴求などを展開していく。

2025年度のパートナー戦略

 また、テクノロジーパートナー向けの施策としては、AI関連パートナーのエコシステムの拡大とともに、共同販促やセミナー、アカウント営業同士の密な連携によって協業の強化を図る。そして、クラウドベンダー向けの施策としては、プライベートオファーによる販路拡大を目指すとともに、BedrockやAzure Open AIなどの有効活用を推進していく。

 最後に、「Denodo Platform 9.1」で新たに搭載されたAIソフトウェア開発キット「Denodo AI SDK」の概要について、Denodo Technologies テクニカルセールスディレクターの三浦大洋氏が紹介した。「『Denodo AI SDK』は、生成AIを活用した次世代エージェントとなるもの。現在、企業がAIを業務で活用するためには、検索拡張生成(RAG)の構築が大きな課題となるが、『Denodo AI SDK』にはRAGアプリケーション提供に必要なアーティファクトがすべて含まれているため、開発を高速化することができる」という。

Denodo Technologies テクニカルセールスディレクターの三浦大洋氏

 具体的には、「Denodo AI SDK」を活用することで、RAGアプリケーションを迅速かつ効率的に構築し、市場投入までの時間を短縮できる。また、検索モデルと生成モデルを組み合わせて、回答の精度と関連性を向上することが可能となる。さらに、各種データソースと簡単に統合できるため、さまざまなユースケースに柔軟に対応することができる。そして、より正確でコンテキストを意識した情報をユーザーに提供し、全体的なデータ体験の向上を図ることができる。三浦氏は、「『Denodo Platform』によるデータの論理統合と『Denodo AI SDK』を組み合わせることで、RAGアプリケーションを新しい形に進化させることが可能になる」とアピールした。