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Lenovo、「Smarter AI for All」に向けた新たなAIポートフォリオを発表

 レノボ・ジャパン合同会社(以下、レノボ)は26日、レノボの年次イノベーションイベント「Lenovo Tech World Japan 2024」で、「Smarter AI for All」に向けた新たな包括的なAIソリューション、サービス、デバイス、新技術を発表した。

 レノボは数年前から、来たるべきAI時代に向け「Smarter AI for All」というビジョンを掲げ、その実現に向け、あらゆるレイヤーで顧客にAIの恩恵をもたらすための体制を整えてきたと説明。これまで80を超える製品プラットフォームを立ち上げ、世界中に4つのグローバルイノベーションセンターを開設するなどの取り組みを行っているという。

 また、2023/24年度には、成長と変革のための投資として、今後3年間で、AIデバイス、AIインフラ、AIソリューションへ10億米ドルの投資することも発表し、イノベーションを加速していくとしている。

 レノボでは、「あらゆる領域でAIの恩恵を届ける」ためには、「あらゆる場所でAIが動作するワークロードが必要」と考え、ハイブリッドAIを提唱している。この考えは「パーソナルAI」「エンタープライズAI」「パブリックAI」の3つのフレームワークに基づいている。

 「パーソナルAI」のフレームワークにおいてはさらに、一人ひとりに寄り添う「Personalize」、時間の使い方を変える「Productive」、デバイス内で保護される「Protected」の3つのPを提唱している。10月に米国シアトルで開催された年次のグローバルイベント「Lenovo Tech World '24(以下、Tech World )」では、この3つのPを具現化するクライアントアプリケーション「Lenovo AI Now」を発表した(日本語対応および日本での展開は未定)。

 Lenovo AI Nowは、コンピューティング体験を強化するためのローカルAIエージェントで、PC上で直接動作する。パーソナルナレッジベースと自然なインタラクション理解能力を組み合わせて、レノボのPCの演算機能とセキュリティ保護機能に基づき、よりスマートで安全なAI体験を提供する。

 Lenovo AI Nowは、クラウド処理に依存せず、ユーザーの個人知識ベース (PKB) とのリアルタイムのやり取りを可能にする。これにより、すべてのやり取りがデバイス上のローカルに保存されるため、データのプライバシーが強化される。ユーザーは、Lenovo AI Nowを使用して、ドキュメント管理や会議の要約からデバイス制御やコンテンツ生成まで、さまざまなタスクを自動化および簡素化できる。

 Lenovo AI Nowのナレッジアシスタントは、情報の取得や質問、内容の要約、パーソナルナレッジベースに基づいたテキストベースの生成などが可能。また、PCアシスタントはコンピューターの専門知識やスキルがなくても、PCの動作を向上させられる。

 エンタープライズ領域では、生成AIへの投資が経営陣の最優先事項となっているとして、生成AIの恩恵を持続的に企業や組織が受けるために、クラウドに加えて、エッジ、クライアントも含めたハイブリッドなインフラを考えることが大切だと説明。一方、AIの導入が進むにつれ、データセンターでは、熱密度の上昇に対応する再設計が必要になっており、パフォーマンスだけでなく、サステナビリティとの両立が重要だとしている。

 この課題に向け、レノボはTech Worldにおいて、第6世代の垂直式液体冷却システムである「ThinkSystem N1380 Neptune」、およびNeptune水冷技術を採用する高性能サーバー「ThinkSystem SC777 V4 Neptune」を発表した。両製品は、AIやHPCデータセンター向けに設計されており、データセンター用の特殊空調なしに、100KW超のサーバーラックを運用できるようにする。

 また、エンタープライズ領域においてAIを活用するには、費用対効果(ROI)の改善が重要だと説明。この課題解決に向けてレノボは、Tech Worldにおいて、NVIDIAとの協力により開発されたハイブリッドAIソリューション「Lenovo Hybrid AI Advantage with NVIDIA」を発表した。このソリューションは、組織が迅速に成果を出すことを支援する。レノボのフルスタック機能と包括的なAIライブラリ「Lenovo AI Library」、NVIDIAのAIソフトウェア、アクセスレーテッドコンピューティング、ネットワーキングを組み合わせることで、組織がデータやインテリジェンスをより迅速かつ効率的に事業成果につなげ、AIの採用を推進し、より高い投資利益率(ROI)を実現できるようにする。

 Lenovo AI Libraryは、ドメイン固有言語モデルや機能エージェントおよびバーティカルエージェントを含む、実証されたAIユースケースアクセラレーターによりハイブリッドAIを実現する。マーケティング、IT運用、法務、製品開発、カスタマーサービスなどの複数領域の主要なユースケースを網羅する、Lenovo AI Libraryの事前検証済みのソリューションにより、展開を迅速化し、AIからの成果を速やかに得られるようにする。

 また、レノボとスコット・モーガン財団(SMF)はTech Worldにおいて、筋萎縮性側索硬化症(ALS)やその他の重度の障害を持つ人々のための、予測AI、超リアルなアバター、個別化された声、そして視線追跡を組み合わせたAI駆動型ソリューションを発表した。

 この統合されたソリューションは、SMFが設計し、レノボが構築した円形キーボードインターフェイス、レノボの予測AI、ElevenLabsによる個別化されたAI音声のレプリカ、D-IDの超リアルなアバター、IrisBondの視線追跡技術を組み合わせ、迅速かつ正確な個人的なコミュニケーションを提供する。このソリューションは、生成AIをアクセシビリティの課題に適用する新たな可能性を示し、「Smarter AI for All」を提供するという共通のビジョンをさらに前進させるものだとしている。

 また、レノボはTech Worldで、Innovations in Dementiaと共同で、認知症やアルツハイマー病を抱える人々の体験に基づくカスタムAIを搭載したフォトリアルな3Dアバター「アルツハイマー・インテリジェンス」を発表した。この概念実証プロジェクトにより、認知症の診断を受けた人々やその家族は、24時間いつでも会話型アバターにアクセスでき、正確性、プライバシー、そして思慮深さを重視した厳選されたアドバイスを得られる。

 ユーザーが音声認識を通じて質問をすると、LLMはデータセットにクエリを実行し、ユーザーの質問に対してテキストベースの回答を提供する。また、「感情分析」を活用することで、返信の背後にある感情が分析され、AIが話す際の表情に反映される。