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アカマイ、Kubernetes環境の構築を簡素化する「Akamai App Platform」を発表
2024年11月13日 06:00
アカマイ・テクノロジーズ合同会社は、クラウドコンピューティングの新サービスについて説明会を開催し、Kubernetes環境の構築を簡素化する「Akamai App Platform」や、エンタープライズ向けのKubernetesソリューションなどを紹介した。
Akamai App Platformは、米Akamai Technologiesが12日(米国時間)に発表した新プラットフォームで、今月よりベータ版を提供する。米Akamai Technologies クラウド担当 プロダクトマネジメント バイスプレジデントのショーン・マイケルズ(Shawn Michels)氏は、Akamai App Platformについて、「マルチクラウド環境への移行を希望する市場の声に応え、分散型マルチクラウド環境をKubernetesで展開する際の複雑さに対応するものだ」と語る。
Akamai App Platformには、Kubernetesクラスタ上でクラウドネイティブアプリケーションを実行する際に必要な機能を備えたテンプレートや、事前設定されたオープンソースプロジェクトをシームレスに統合し、本番環境のワークロードへの導入や管理を簡素化するフレームワークが用意されている。また、アプリケーションを構築してデプロイし、保護および保守を行うためのセルフサービス環境と、クラウドネイティブにおけるベストプラクティスや、オープンソースツールに基づいたテンプレートのカタログを提供する。
「従来、Kubernetesを展開するには2つの選択肢が用意されていた。ひとつは自社で構築する方法だが、それにはさまざまな技術を自ら使いこなす必要があり、環境構築に数週間から数カ月もの時間がかかる。もうひとつは、ハイパースケーラーが提供する環境をそのまま利用する方法だが、独自の技術を利用するため、マルチクラウド展開や環境移行に制約がかかる可能性がある。そこでアカマイは新たな選択肢として、Akamai App Platformを提供し、これらの課題を解決する」と、マイケルズ氏は述べている。
またマイケルズ氏は、Akamai App Platformに加え、エンタープライズ向けのマネージドKubernetesサービスとして「Linode Kubernetes Engine - Enterprise」(LKE Enterprise)のベータ版も11月に提供開始することを明らかにした。
LKE Enterpriseは、専用のコントロールプレーンや大容量イングレス、大規模クラスタへの対応など、高いパフォーマンスと信頼性を求めるエンタープライズ向けの機能を備えている。これにより、「小規模な組織から大企業まで、あらゆる規模の企業がKubernetes環境をグローバルに展開できるようになる」とマイケルズ氏は述べている。
マネージドデータベースサービスやオブジェクトストレージも紹介
次にマイケルズ氏が紹介したのは、パートナー企業のAivenによるマネージドデータベースサービスだ。同サービスは11月末より提供開始する。「AkamaiのInfrastructure as a Service(IaaS)プラットフォームとマネージドソリューションを組み合わせて使いたいという顧客からの要望に応えたものだ」(マイケルズ氏)という。
同サービスでは、まずPostgreSQLとMySQLデータベースをサポート。将来的にはRedisへの対応も予定している。マイケルズ氏は、「マネージドデータベースサービスの導入により、高度なアプリケーションをより簡単に開発できるようになり、従来自社でデータベースを運用していた企業もAkamaiのサービスが利用しやすくなる」としている。
オブジェクトストレージソリューションも機能強化する。新バージョンとなる「Object Storage Gen 2」では、エンタープライズワークロードにも対応、最大リクエスト処理数を従来の5000から2万へと4倍に増強する。また、ストレージ容量の上限も1ペタバイトから5ペタバイトに引き上げ、オブジェクト数も10億から100億に増量する。この機能強化により、「メディアやゲーム、次世代SaaSなど、高性能を求めるエンタープライズ向けのユースケースに最適化されたストレージ環境が整う」とマイケルズ氏は述べている。
2025年の注力分野は
最後にマイケルズ氏は、2025年の方針として、「基盤となる機能を強化するほか、差別化できるソリューションを提供する。また、パートナーとの連携も強化する」とした。
基盤の機能としては、「まだ計画段階ではあるが、オブザーバビリティやアイデンティティ&アクセス管理など、プラットフォームの機能を強化するさまざまなリリースを予定している」という。また、「主要な市場セグメントに対応した差別化できる新ソリューションの開発にも注力する」とマイケルズ氏。特に、メディア、クラウドネイティブ、AI推論の3つの分野に重点を置くという。
パートナーについては、「Akamaiにとって、オープンで活気のあるパートナーエコシステムを構築することは非常に重要だ。2024年の成功において、ISVは重要な戦略の一部となったが、2025年以降も引き続き重要な役割を果たすことになる」とマイケルズ氏。単にISVやパートナーの数を増やすだけでなく、「各業種に対応するパートナーを置き、基盤となるプラットフォーム上で密接に連携した機能を提供できるパートナーと協力していきたい」とした。