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「クラウドコンピューティングでも超分散型、完全自動化、効率性を重視する」とアカマイCEO
2024年3月25日 06:15
アカマイ・テクノロジーズ合同会社は22日、事業戦略説明会を開催し、同社のCDN(コンテンツデリバリネットワーク)やセキュリティ事業にて展開してきた超分散型、完全自動化、効率性を重視する姿勢を、クラウドコンピューティングの分野でも実践する考えを示した。
米Akamai Technologies, Inc. CEO 兼 共同創業者 トム・レイトン(Tom Leighton)氏はまず、クラウドの現状について「アプリケーションがより簡単かつ迅速に展開できるようになり、市場投入までの時間短縮を実現している。現在の市場規模は、IaaS市場だけで1410億ドルにものぼっている」と話す。
その一方で、「以前はクラウドも安価だったが、現在では高価になり、課金体系も複雑になってきた。セキュリティに関しても、ハイブリッドクラウドなどでセキュリティホールを狙って攻撃者に侵入されたという話もよく聞く。また、データセンターでは大規模なサービス停止の恐れもある」と、懸念点についても言及。さらには、「クラウドプロバイダーが、メディアやコマースといった領域ではユーザー企業の競合となることもある。つまり、ライバル企業に対して料金を支払っているのみならず、重要なデータを共有していることにもなるのだ」と指摘した。
こうした状況に対し、レイトン氏は「もっと良いクラウドが作れるはずだ」と語る。同氏の言う理想的なプラットフォームとは、超分散型で完全に自動化され、効率性と信頼性が高く、ポータブルで汎用的なプラットフォームだ。「Akamaiはこのようなプラットフォームを実現する」とレイトン氏は主張する。
「Akamaiはすでに、CDNとクラウドセキュリティ向けにそのようなプラットフォームを実現している。そして現在、クラウドコンピューティングにも対応する理想のプラットフォームを実現しつつある」(レイトン氏)。
レイトン氏は、AkamaiがまずCDNの分野で「超分散型で完全に自動化され、効率性を重視したことにより、パフォーマンスと拡張性、信頼性が高まり、低コストを実現した」と話す。現在Akamaiは、世界750都市にて4100以上のエッジPoP(Point of Presence)を持ち、日本でも26都市にて187のエッジPoPを有しているという。
また、セキュリティの分野でも、Akamaiの革新により「大量のボット集団や高度な攻撃者に対する多層防御を実現し、リアルタイムのセキュリティインテリジェンスとサポートを提供できている」とレイトン氏。現在同社にとって最大の事業となったセキュリティ分野は、インフラセキュリティ、アプリケーションとAPIのセキュリティ、ゼロトラストセキュリティの3本で事業を展開しているという。
セキュリティ事業について、アカマイ・テクノロジーズ 職務執行者社長の日隈寛和氏は、「昨年同事業は全世界で前年比15%成長し、日本ではさらにこの数字を上回る成長を遂げている」と説明。その背景として日隈氏は、「APIのトラフィック量が非常に増えており、APIセキュリティへの関心が高まっていることがひとつ。Akamaiでは、AIを活用した挙動分析をしており、そのソリューションが注目されている。また、ゼロトラストへの関心も高く、Akamaiのマイクロセグメンテーション技術やエンタープライズアプリケーションアクセス技術がこの分野で活用されている」とした。
クラウドコンピューティングの分野でも、「超分散型、完全自動化、効率性を重視することにより、CDNやセキュリティでやってきたことを実現する」とレイトン氏は語る。
現在同社では、「Generalized Edge Compute(Gecko)」という名称で、クラウドコンピューティング機能をエッジネットワークに組み込むことを目標としているが、今後このGecko対応都市を数百都市にまで拡張する考えだ。「現時点でのGecko対応都市は10都市。今年中には100都市にて対応する」とレイトン氏。また、仮想マシンやコンテナの立ち上げも、「現在の事前プロビジョニングから、来年には完全に自動化することを目指している」という。
Akamaiでは、「Akamai Connected Cloud」というブランド名でサービスを展開しており、レイトン氏はこれが「世界でも最も分散したクラウドプラットフォームだ」と主張する。「Akamai自身、大手クラウド事業者からAkamai Connected Cloudに移行したところ、パフォーマンスが高まり、2023年はコストが40%削減できた」という。
日隈氏も、「クラウドのコストが高くなってきたと懸念する顧客は多い。当社では、超分散型クラウドコンピューティングの提供を目指しており、その道半ばではあるが、現時点でも既存のCDNと組み合わせることで、クラウドのデータ転送コストを大幅に削減することが可能だ」と述べ、同社ソリューションのコストメリットを強調した。