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freee、「freee業務委託管理」に11月施行のフリーランス新法対応機能を追加

 フリー株式会社(freee)は10月31日、フリーランスへの業務委託管理サービス「freee業務委託管理」において、11月より施行されるフリーランス新法に対応すると発表した。

freee業務委託管理でフリーランス新法に対応

 フリーランス新法とは、業務を委託する事業者から不当な扱いを受けやすいフリーランスの労働環境保護を目的とした法律で、契約条件を明示することや、60日以内に報酬を支払うことなど、発注者への順守事項が設けられている。

 フリー 政府渉外マネージャーの髙橋歩氏は、「これまで受発注の業務で意識されてきた法律といえば、主に下請事業者を守る下請法のみだったが、下請法は資本金1000万円を超える法人が対象となるため、資本金1000万円以下のスモールビジネスはあまり意識することがなかった。一方、11月から施行されるフリーランス新法は小規模事業者同士の取引も対象となるため、スモールビジネスにとってもインパクトが大きい」としている。

下請法ではカバーされなかった取引も対象に
フリー 政府渉外マネージャー 髙橋歩氏

 フリーランス新法で発注者が守るべき事項は、業務委託期間によって決まっているが、例えば取引条件や支払条件の明示、募集情報の正確な表示、ハラスメント行為に対する体制整備は、すべての業務委託期間において対象となる。髙橋氏は、「違反行為があった場合は、下請法同様の罰則が設けられている。また、公正取引委員会から社名や違反事案が公表されると、企業は大きなダメージを受けることになる」と警告する。

発注者が守るべき事項

 施行目前の新法にも関わらず、フリーが9月に実施した調査では、新法への対応について「何も準備していない」との回答が82%にのぼるなど、企業における同法律への対応準備が進んでいないことが明らかになった。今回freee業務委託管理にてフリーランス新法に対応した機能を提供するのも、こうしたことが背景にある。

新法対応の準備状況は「何もしていない」が最多

 freee業務委託管理は、企業とフリーランスの間に発生する契約、発注、請求、支払いといった管理業務を一元管理するクラウドサービスだ。フリー freee業務委託管理 事業部長の高澤真之介氏は、「freee業務委託管理を活用することで、発注時にフリーランス新法にて明示が義務付けられている項目を網羅した発注が可能だ。条件の変更時は履歴が残るほか、支払期日も違反の対象になりそうな場合はアラートが出る」と説明する。

フリーランス新法にのっとった発注が可能に
フリー freee業務委託管理 事業部長 高澤真之介氏

 例えば、フリーランス新法では、業務の委託日やその内容、報酬額、支払期日など、業務発注時に明示すべき事項が定められているが、freee業務委託管理では発注時に案内に沿って入力するだけで、その項目をすべてカバーできるという。

 また、無自覚による法令違反を回避できるよう、報酬を減額した場合の「報酬減額時アラート機能」や、60日以内に報酬を支払うための「支払期日アラート」といったアラート機能も用意。freee業務委託管理のメッセージ機能を使い、企業担当者とフリーランスがやり取りすることも可能だ。

 このほか、新法で定められたハラスメント行為に関する体制整備として、freee業務委託管理上に企業が設定できる「ハラスメント相談窓口の案内欄」を新たに設置。フリーランスに対してハラスメントの相談窓口を案内できるようになった。

 freee業務委託管理は、月額1万6000円より利用可能だ。

 すでにfreee業務委託管理を利用している株式会社ユーキャン 教育事業部 講座指導部 指導業務管理課 課長の増尾崇宏氏は、「サービスの導入前は、担当者が毎月発注書の作成や請求書処理を行うなど、人的負担が大きかったほか、発注漏れや請求書の受け取り漏れに気づきにくいというコンプライアンスリスクもあったが、そういった課題が解決された」とコメント。また、PXC株式会社 AMAIZIN事業グループ プロダクションマネジメントユニット ユニットリーダーの大邉勇介氏は、「以前は請求書の作成ミスに起因する差し戻しが発生することがあったが、導入後はそのようなこともなくなった」と述べた。

左から、フリー 髙橋歩氏、PXC 大邉勇介氏、ユーキャン 増尾崇宏氏、フリー 高澤真之介氏